毎月ポストに届く、プロパンガスの検針票。
その数字を見て、天を仰いだ経験はありませんか?
- お風呂の設定温度を下げ、シャワーは秒で済ませ、家族に「早く出なさい!」と檄を飛ばす…。
涙ぐましい努力をしても、
なぜかガス代だけはビクともしないことへの、静かな絶望感。 - ネットで「プロパンガス 節約」と検索すれば、出てくるのは怪しげな広告と専門用語のオンパレード。
「結局、何を信じて、何から手をつければいいの…?」と、
情報の海で遭難しかけている徒労感。 - 「ガス会社は変更できる」と聞いても、「手続きが面倒そう」「今の会社や大家さんから何か言われたらどうしよう…」と、
行動する前の見えない壁に、ため息をついてしまう無力感。
そう、あなたのその悩み、痛いほどよく分かります。
なぜなら、そのすべては、ついこの間までの私自身の姿だからです。
プロパンガス業界は、意図的に情報を複雑にし、私たち消費者が「まあ、こんなものか」と諦めてしまうように巧みに設計されています。
料金の不透明さや比較のしにくさは、決して偶然ではありません。
それは、あなたを今の高い料金プランに縛り付けておくための、計算され尽くした「仕組み」なのです。
そんな状況に「もう、いい加減にして!」と立ち上がったのが、私です。
都内でフルタイム勤務しながら小学生の息子を育てる、ごく普通の40代主婦。特別な知識があったわけではありません。
ただ、家計簿と毎日にらめっこする中で、この理不尽な「ガス代」という名の固定費を、どうしても野放しにはできなかったのです。
この記事は、そんな私が徹底的に調査し、分析した「対プロパンガス完全攻略マニュアル」です。
まずは北九州市の主要プレイヤー「株式会社新光」さんを丸裸にして、あなたのガス代がなぜ高いのか、その構造的な問題を根っこから解き明かしていきます。
この記事を読み終える頃、あなたは自身のガス代が高い理由を専門家レベルで理解し、もはや誰の情報に惑わされることもなくなります。
そして、高いガス代を前にただため息をつくだけだった昨日から解放され、自らの手で家計を劇的に改善するための、確かな自信と具体的な知識を手にしているはずです。
結論から申し上げましょう。あなたのガス代は、もっと安くなります。
いいえ、安くするのが、当たり前なのです。
この記事でその理論武装を固め、次にお伝えする方法を実践すれば、あなたも私のように、年間8万円というとてつもない節約を達成できるのですから。
最初のミッションあなたの契約相手は、本当に「その新光」?
さて、攻略の第一歩は、敵の正確な特定から。
あなたの家のガス、契約相手は本当に「株式会社新光」さんでしょうか?
「え、当たり前でしょ?」
と思ったあなた、実はここに最初の罠が潜んでいるのです。
北九州というエリアには、まるで忍者のように、しかし堂々と、「新光」の名を掲げるガス関連企業が少なくとも3社存在します。
これはもう、人気ラーメン屋の「のれん分け」みたいなレベルの話ではありません。
それぞれが独立した会社である可能性があり、当然、料金体系もサービスも全くの別物。
これを把握せずに料金の話を進めるのは、違う敵の攻略本を読んでいるようなものなのです。
さあ、お手元の検針票(いわば敵のデータシートです)を引っ張り出して、一緒に答え合わせをしてみましょう。
北九州に存在する、三者三様の「新光」たち
私の調査網にかかった「新光」さんたちは、以下の3社。
資本関係などの詳細は一般公開されておらず、私たち消費者からは、その関係性は深い霧の中です。
1. 最もよく知られた本丸?:「株式会社新光」(若松区)
- 所在地: 福岡県北九州市若松区南二島3-4-1
- 創業: 1960年の「中野燃料店」がルーツ。60年以上の歴史を持つ、地域の重鎮です。
- 事業内容: LPガスはもちろん、ガソリンスタンド(藤ノ木SS)も経営する総合エネルギー企業。
- ウェブサイト: shinkou-lpg.co.jp
- 注目ポイント: 地域に長く貢献してきた安定感は抜群。災害対応型給油所を運営するなど、地域のインフラとしての責任感も感じられます。しかし、最大の謎は、公式サイトで具体的な料金プランが一般公開されていないこと。「ご利用のお客様ページで詳細を公開」というスタイルは、まるで会員制レストランのようで、一見さんには料金がさっぱり分かりません。この記事では、主にこの会社をターゲットに話を進めていきます。
2. 暮らしのサポーター:「株式会社新光機器」(小倉南区)
- 所在地: 福岡県北九州市小倉南区横代北町2-5-28
- 事業内容: LPガスに加え、給湯器やエアコンなど住宅設備全般を手がけています。
- ウェブサイト: shinko100.co.jp
- 注目ポイント: 24時間対応の電話窓口や、ガス料金でポイントが貯まる「ファミリークラブ」など、独自のサービスが光ります。暮らしに密着したサービスを展開している印象ですが、こちらも残念ながら、ウェブサイト上で料金単価は非公開。霧はさらに深まります。
3. 唯一、懐を見せた謎の存在:「新光プロパン瓦斯株式会社」
- 所在地・ウェブサイト: 不明。
- 注目ポイント: 今回の調査で、唯一「基本料金2,100円、従量単価550円/㎥~」という具体的な料金表を開示していた、情報戦におけるキーマンです。しかし、その正体はベールに包まれており、法人としての実態や上記2社との関係は一切不明。関連会社なのか、はたまた全くの別人なのか…。ただ、この会社が示してくれた具体的な数字は、後ほど私たちが料金の妥当性を測る上で、非常に重要な「ものさし」となります。
この「特定作業」が、なぜあなたの財布を救うのか
「まあ、うちの検針票に書いてある会社でしょ?」
と軽く考えてはいけません。
この情報の混濁こそが、プロパンガス業界が長年維持してきた「情報の非対称性」という名の、巨大な堀なのです。
消費者が簡単に価格を比較できない状況。
それは、ガス会社にとっては顧客を他社に奪われずに済む、実に都合の良い「情報の壁」として機能します。
あなたが「ガス代、高いかも…」と疑問に思っても、比べる相手の情報が曖昧なら、「まあ、こんなものか」と納得(本当は諦め)してしまい、行動に移す気力すら削がれてしまうのです。
だからこそ、断言します。
あなたの家計防衛、最初の、そして最も重要な一歩は、
検針票と契約書を睨めっこして、契約相手の「正式名称」と「住所」を正確に特定すること。
この作業を終えて初めて、この攻略本はあなたのための最強の武器となるのです。
敵情視察「株式会社新光(若松区)」の素顔
さて、あなたの契約相手が若松区の「株式会社新光」さんだと特定できたとしましょう。
次のステップは、相手の素性を知ること。どんな歴史を持ち、どんなサービスを提供しているのか。
それを知ることで、今後の交渉や判断が格段に有利になります。
地域と共に60年。その歴史が持つ意味
株式会社新光さんのルーツは、東京オリンピックが開催された1960年代、まさに日本の高度経済成長期にあります。
一軒の燃料店から始まり、地域の発展と共にエネルギー供給という大役を担い、半世紀以上にわたって北九州の暮らしを支えてきました。
これは、単に「古い会社」という意味ではありません。
60年以上も事業を継続できているのは、地域からの信頼がなければ不可能です。
突発的なトラブルや、悪質な営業とは無縁の、堅実な経営をしてきた証左と言えるでしょう。
特にプロパンガスのような生活インフラでは、この「安心感」は何物にも代えがたい価値を持ちます。
LPガスだけじゃない。地域のライフラインを担う責任感
彼らの事業はLPガスだけに留まりません。
ガソリンスタンドを運営し、特にそれが災害時にも稼働する「中核給油所」である点は見逃せません。
これは、万が一の時にも地域のエネルギー供給を止めないという、強い使命感の表れ。
単なる利益追求だけでなく、地域社会への貢献を意識している企業姿勢がうかがえます。
この多角的な事業は、経営の安定にも繋がります。
つまり、会社の都合で急に事業をたたんだり、サービスが不安定になったりするリスクは極めて低い、と考えることができます。
顧客サービスから見える「誠実さ」と「課題」
公開されているサービス内容を見てみましょう。
- 支払い方法: 銀行振込や口座振替に加え、2025年1月からクレジットカード決済に対応。時代の流れを読み、顧客の利便性を向上させようという意欲が見えます。これは素直に評価できるポイントです。
- 開栓・閉栓: 土日祝も対応可能。引っ越しなどで忙しい私たちにとっては、非常にありがたいサービスです。
- 保証金: 新規契約時に10,000円の保証金が必要。これは業界では一般的な慣習で、退去時に返金されます。
これらの情報から見えてくるのは、真面目で、堅実で、地域に根差した企業の姿です。
しかし、です。
どんなに人柄の良い友人でも、お金の貸し借りが不透明だったら、少し不安になりますよね。それと同じです。
株式会社新光さんの最大の課題は、繰り返しになりますが、
料金体系という、契約の根幹に関わる情報を一般に公開していない
という点。
この一点が、どんなに素晴らしい企業理念やサービスも霞ませてしまうほどの、大きな「霧」となっているのです。
戦力分析「新光」の料金は、市場でどのポジションにいるのか?
いよいよ本丸、料金の分析です。
あなたの家のガス代は、果たして「適正」なのでしょうか?
この章では、先ほどの謎の存在「新光プロパン瓦斯株式会社」が示してくれた料金を「ものさし」に、北九州エリアの平均価格、そして私たちが目指すべきゴールである「適正価格」を徹底比較します。
ガス料金の解体新書:「基本料金」と「従量料金」
まずは基本から。
プロパンガス料金は、ほとんどの場合、2つのパーツから成り立っています。
これを知らないと、検針票の数字はただの暗号にしか見えません。
- 基本料金:これは、ガスを全く使わなくても毎月かかる固定費です。ガスの配送網や保安体制を維持するための、いわば「インフラ維持協力金」。ガスボンベやメーターのレンタル料、定期点検の人件費などが含まれています。
- 従量料金:こちらは、実際に使ったガスの量に応じてかかる変動費。「1㎥あたりの単価 × 使用量」で計算されます。原料費や配送費がこれにあたります。
つまり、あなたのガス代は
(基本料金 +(従量単価 × 使用量))× 消費税
という式で成り立っているのです。
重要なのは、この「基本料金」と「従量単価」がいくらなのか、です。
ものさし登場:「新光プロパン瓦斯」の料金でシミュレーション
ここで、唯一料金を公開してくれた「新光プロパン瓦斯」さんの数字(税抜:基本料金2,100円、従量単価550円/㎥~)を元に、一般的な家庭の月額料金を計算してみましょう。
ガス使用量 (m³) | 想定される世帯 | 請求額合計 (税込) | 年間換算 |
---|---|---|---|
5 m³ | 単身、共働き夫婦 | 5,335円 | 64,020円 |
10 m³ | 3人家族(我が家もこのくらい) | 8,360円 | 100,320円 |
15 m³ | 4人家族、お風呂好き | 11,110円 | 133,320円 |
20 m³ | 冬場の大家族 | 13,860円 | 166,320円 |
さあ、あなたの検針票と見比べてみてください。
特に3人家族の目安である10m³で8,360円。
これが、まず最初の比較基準点となります。
市場の罠:「平均価格」は「安心価格」ではない
ここで、多くの人が陥る思考の罠があります。
「うちの料金、地域の平均くらいだから、まあいっか」。
これは、危険な思い込みです。
プロパンガス業界、特に競争が活発でないエリアでは、
地域全体の料金相場が、不当に高い水準で安定してしまっている
ケースが少なくありません。
これは、経済産業省の調査でも指摘されている事実です。
つまり、「みんなで渡れば怖くない」ならぬ、「みんなで高く払えば疑問に思われない」という、消費者にとっては悪夢のような状況が生まれているのです。
データが暴く、衝撃の差額
LPガス消費者協会の調査(福岡県):
- 平均価格(10m³): 約9,852円
- 適正価格(10m³): 約6,534円
- その差額は、月々3,318円。年間にして39,816円です。
年間、約4万円。
これはもう、誤差ではありません。
家族でちょっと良いレストランで食事ができる金額です。
いや、なんなら近場の温泉旅行にだって行けてしまいます。
このお金が、知らず知らずのうちに、毎年どこかへ消えているとしたら…?
【最終審判】あなたのガス代は「適正」か?一目瞭然の比較表
この衝撃を、より視覚的に理解していただくために、決定的な比較表を作成しました。
基準は月間10m³使用時の料金(税込)です。
比較対象 | 月額料金 (税込) | 年間費用 (税込) | 適正価格との年間差額 |
---|---|---|---|
【ゴール】福岡県 適正価格 | 6,534円 | 78,408円 | 基準 |
【ものさし】新光プロパン瓦斯 | 8,360円 | 100,320円 | -21,912円 |
【九州の平均】石油情報センター | 9,177円 | 110,124円 | -31,716円 |
【福岡県の平均】LPガス消費者協会 | 9,852円 | 118,224円 | -39,816円 |
この表が意味することは、たった一つ。
たとえあなたのガス代が「新光プロパン瓦斯」さんと同じ水準で、地域の平均よりは安かったとしても、それは
「高すぎる料金」の中で、ほんの少しマシなだけ
ということです。
私たちが目指すべきは、平均点ではありません。
正当な価格である「適正価格」なのです。
料金を公開していない「株式会社新光(若松区)」さんの料金が、この地域の平均価格帯にあると仮定すれば、あなたが毎年失っている金額は、2万円から4万円の範囲にある可能性が極めて高い、と言わざるを得ません。
歴史は語るなぜ、ガス代はゾンビのようにじわじわ上がり続けるのか
料金が高い理由はわかりました。
しかし、なぜ「上がり続ける」のでしょうか。
まるで、気づかれないように少しずつ体重が増えていくかのように、ガス代は静かに、しかし確実に上昇してきました。
その背景には、私たちの暮らしからは遠い、世界の経済情勢という巨大な波があります。
あなたの家のガスボンベは、世界と繋がっている
私たちが使っているプロパンガスの大半は、サウジアラビアなどの中東諸国やアメリカからの輸入品です。
船に乗って、はるばる日本までやってきます。
そのため、国内の料金は、以下のような国際情勢の荒波をダイレクトに受けてしまうのです。
- 為替(円安)という名のボディブロー:これが、ここ数年で最も効いているパンチです。ガスの輸入はドル建て。私が社会人になった頃は1ドル110円くらいだったのが、今や…(遠い目)。仮に1ドル110円が150円になれば、海外から同じものを買うのに、日本円で約1.4倍も多く払わなければなりません。この負担は、巡り巡って私たちのガス料金に重くのしかかります。
- サウジCPという名の「仕入れ値」:日本の輸入価格の基準となっているのが、サウジアラビアの国営会社が決めるCP(コントラクトプライス)です。原油価格や国際紛争、世界の景気など、様々な要因で毎月変動します。このCPが上がれば、ガス会社の仕入れ値も上がり、料金の値上げ圧力となります。
- 国際情勢という名の「嵐」:世界のどこかで紛争が起きたり、経済危機が起きたりすると、エネルギー市場は大きく揺れます。そうした「嵐」は、回り回って、あなたの家のガスボンベを揺るがすのです。
値上げは光速、値下げは亀の歩み
株式会社新光さんの公式サイトにも、2022年以降、年に1~2回のペースで料金改定のお知らせが掲載されています。
これは、世界の情勢に合わせて価格を見直している、という誠実さの表れとも取れます。
しかし、業界全体には、消費者として知っておくべき、ある「クセ」があります。
それは、
「仕入れ値が上がった時の値上げは迅速だが、仕入れ値が下がった時の値下げは非常にゆっくり、あるいは行われない」
という傾向です。
まるで、上りエスカレーターには喜んで乗るけれど、下りエスカレーターの前では立ち止まってしまうかのようです。
この結果、ガス料金は長い目で見ると、階段を上がるように、じわじわと上昇を続けていくことになるのです。
未来予測:ガス代は下がる?それとも…?
では、今後どうなるのか。未来には、料金を押し上げる「向かい風」と、押し下げる「追い風」の両方が吹いています。
- 向かい風(上昇要因): 脱炭素社会への移行コスト、ガス設備の老朽化対策費、そして配送ドライバーの人手不足(2024年問題)など、コスト増の要因は山積みです。
- 追い風(下降要因): 政府や自治体による負担軽減の補助金。そして何より、この記事を読んでいる「あなた」が、賢い消費者として行動すること。これこそが、業界の価格競争を促し、料金を適正化させる最大の力なのです。
住民たちの声新光の評判と、業界に巣食う妖怪たち
料金の次は、サービスの質、つまり「評判」です。
どんなに安くても、トラブル続きでは困りますからね。
ここでは、株式会社新光さんの評判を、様々な角度から探ってみます。
そして、プロパンガス業界に時折出没するという、「妖怪」のような悪質業者の手口にも触れておきましょう。
ネットの海に、利用者の「声」は届いていない?
驚いたことに、「株式会社新光(若松区)」に関する、一般消費者からの直接的な口コミやレビューは、ネット上ではほとんど見つかりませんでした。
これは、何を意味するのでしょうか。
一つの可能性は、良くも悪も「空気のような存在」であること。
大きな不満はないけれど、感動するほどのサービスでもない。
だから、わざわざ口コミを書く人がいない、という状況です。
しかし、ライターの視点から見ると、少し違った景色が見えてきます。
2025年の今、地域密着のサービス業で、ネット上に全くと言っていいほど顧客の声が存在しないのは、やや不自然です。
これは、顧客との積極的なコミュニケーションや、オープンな情報発信にあまり関心がない、という企業体質の表れかもしれません。
内部からの声:社員レビューが示す「社風」
そこで視点を変え、転職情報サイトに掲載されていた、元従業員とされる方々の声を見てみましょう。
会社の内部を知る、貴重な手がかりです。
- 「アットホームで穏やかな社風」
- 「部署の垣根を越えて助け合う文化」
- 「温厚な人が多く、人間関係は良好」
これらの声から浮かび上がるのは、従業員を大切にする、古き良き日本の会社の姿です。
このような穏やかな社風の会社が、顧客に対して悪質な営業をすることは考えにくいでしょう。
これは、契約する上での一つの「安心材料」にはなります。
ただ、ここにも落とし穴があります。
「人柄は良い」「長年の付き合いだから」。
そういった情が、
料金が市場の適正価格から大きく乖離しているという、厳しい現実から目を逸らさせてしまう
「心地よい呪縛」になってはいないでしょうか。
ご用心!プロパンガス業界の妖怪図鑑
株式会社新光さんがそうだという話では決してありませんが、業界全体には、消費者を騙そうとする「妖怪」のような業者が存在します。
国民生活センターに寄せられる相談が後を絶ちません。
- 妖怪「かならず安くなる」: 「今のガス代は高すぎる!うちなら半額に!」と甘い言葉で近づき、最初は安い料金を提示。しかし、数ヶ月後から気づかれないようにジワジワと値上げし、気づけば元より高くなっているという、最もポピュラーな妖怪。
- 妖怪「なりすまし点検員」: 「保安点検です」「この地域は全部うちのガスに切り替わりました」などと嘘をつき、家に上がり込んで強引に契約を迫る。
- 妖怪「解約金おいてけ」: いざ解約しようとすると、「配管の撤去費用だ」などと、法外な違約金を請求してくる。
これらの妖怪から身を守るための呪文は、たった一つ。
「その場で決めません」。
どんなに良い話に聞こえても、必ず「家族に相談します」「一度考えます」と伝え、複数の会社から話を聞くこと。
これが鉄則です。
なぜ?の深層心理プロパンガス料金が高止まりする「3つの構造」
「なぜ、うちはこんなに高いの?」
その答えは、個々のガス会社の努力不足だけではありません。業界全体が抱える、根深い「構造」にあります。
この構造を理解すると、あなたのガス代が高いのは、決してあなたのせいではない、ということが分かります。
構造1:個別配送という「おもてなし」が生むコスト
プロパンガスと都市ガスの決定的な違いは、その届け方です。
都市ガスが地下のパイプラインで一斉に送られるのに対し、プロパンガスは、各家庭に設置されたボンベに、一軒一軒トラックで配送されます。
この「個別配送」は、一見すると手厚いサービスですが、その裏では莫大なコストが発生しています。
人件費、車両費、ガソリン代…。
さらに、各家庭のボンベやメーターの管理・点検費用もかかります。
これらのコストは、すべて月々のガス料金として、私たちが負担しているのです。
構造2:競争なき「談合カルチャー」と自由料金制の矛盾
プロパンガスは「自由料金制」。
本来なら、会社間の競争で価格は安くなるはず。
しかし、現実はその逆です。
多くの地域では、昔からのガス会社同士が、お互いの顧客を奪い合わない「暗黙の了解」のようなものが存在すると言われています。
これは、法的なカルテル(談合)ではありませんが、結果として価格競争が起きない「凪」の状態を生み出しています。
競争がないため、先ほど述べた「値上げは迅速、値下げはしない」という慣行がまかり通ってしまう。
自由なはずの市場が、消費者にとっては不自由な結果を生んでいるのです。
構造3:「無償貸与」という名の、甘くて危険な罠
そして、これが最も巧妙で、根深い問題です。
「無償貸与契約」。
アパートを建てる大家さんや、家を新築する施主に対して、ガス会社が「給湯器、無料で設置しますよ」と持ちかけます。
大家さんたちは初期投資が抑えられて大喜び。
しかし、その「無料」の給湯器代は、その後十数年にわたって、
何も知らない入居者であるあなたのガス料金に、こっそり上乗せされて回収され続けるのです。
これは、まるで「スマホ本体0円」のからくりと同じ。
ただし、縛られる期間が10年以上と、比較にならないほど長いだけ。
あなたが知らないうちに、誰かのための設備代を、割高なガス代として支払い続けている。
これが、集合住宅のガス代が特に高くなりがちな、最大の理由です。
夜明けは近い2025年法改正という、消費者への追い風
これまで解説してきた、暗く、霧の深いプロパンガスの海。
しかし、希望の光が見えてきました。
2025年4月1日、この業界の常識を根底から覆す、画期的な法律の改正が施行されたのです。
これは、消費者である私たちにとって、まさに「夜明け」を告げる鐘の音です。
国が動いた!「九州は競争が遅れている」と公式認定
この法改正の背景には、経済産業省が
「九州地域は、関東などと比べて競争が立ち遅れている」
と、公式に問題認識を示したことがあります。
国が「このエリアのガス料金は、健全な競争のもとで決まっていない可能性がある」と認めた。これは、非常に大きな一歩です。
あなたの武器となる「3つの新ルール」
改正されたLPガス法は、私たち消費者に3つの強力な武器を与えてくれました。
武器1:料金の「見える化」義務
これまで非公開が許されてきた
ガス料金プランが、ウェブサイトなどで公表することが義務化
されました。
これにより、私たちは自宅にいながら、複数の会社の料金を簡単に比較検討できるようになったのです。
情報の霧が、法律によって強制的に晴らされたのです。
さらに、料金の内訳を「基本料金」「従量料金」「設備利用料」に分けて示す「三部料金制」も推奨され、料金の透明性が格段に向上しました。
武器2:「無償貸与」の禁止
諸悪の根源とも言えた、ガスと関係のない設備(エアコン等)の費用をガス料金に上乗せする
「無償貸与」が、ついに禁止
されました。
これにより、私たちは純粋なガスの価格で、サービスを判断できるようになります。
武器3:契約時の「説明責任」強化
契約時には、料金体系や解約条件について、ガス会社が消費者に対して、より詳細かつ分かりやすく説明することが義務付けられました。
「よく分からないまま契約してしまった」
という事態を防ぎ、私たちを守るための盾となります。
この法改正は、まさにゲームのルールそのものを変える、歴史的な転換点です。
これまでガス会社の「言い値」で払うしかなかった状況から、私たちが主体的に「選ぶ」時代へと、本格的に移行したのです。
家計防衛・最終フェーズガス代を劇的に安くする、実践的アクションプラン
さあ、すべての知識と武器は揃いました。
ここからは、実際にあなたのガス代を「適正価格」まで引き下げるための、具体的な行動計画です。
これはもう、節約術というより「奪還作戦」です。
年間数万円の未来のために、最後のミッションに挑みましょう。
プランA:現在のガス会社との「価格交渉」
いきなり乗り換える前に、まずは現在のガス会社に交渉してみる価値はあります。
長年の付き合いがあるなら、なおさらです。
交渉のコツ
- 感情ではなく、データで語る: 「高い!」と怒るのではなく、「他社さんでは、この地域で基本料金〇〇円、従量単価〇〇円というプランがあるようです。御社で、この価格に近づけていただくことは可能でしょうか?」と、具体的な数字(この記事の比較表や、比較サイトで得た情報)を提示します。
- 「乗り換え」のカードをチラつかせる: 「この料金のままですと、残念ながら他社への切り替えも検討せざるを得ません」と、冷静に、しかしハッキリと伝えましょう。顧客流出は、ガス会社にとって最大の痛手です。
この交渉だけで、料金を見直してくれるケースも少なくありません。
まずは試してみる価値、大いにありです。
プランB:最も効果的!供給会社の「乗り換え(スイッチング)」
交渉が不調に終わった場合、あるいは、もっと根本的に解決したい場合は、迷わず「乗り換え」を実行しましょう。
これが最も効果的で、確実な方法です。
乗り換えは、あなたが思うより10倍カンタン
- 比較サイトで相見積もりを取る: 「enepi(エネピ)」などの無料比較サイトを使い、必ず2~3社から見積もりを取り寄せます。料金だけでなく、契約後の「不当値上げ防止の保証」があるかどうかも、重要なチェックポイントです。
- 申し込みはネットで完結: 新しい会社が決まったら、申し込みはウェブサイトで数分で完了します。
- 面倒な手続きは全てお任せ: なんと、現在のガス会社への解約連絡は、新しい会社が代行してくれます。あなたがやることは、後日、新しいガスメーターに交換するための、1時間程度の作業に立ち会うだけ。ガスが使えない時間もほとんどありません。
そう、乗り換えは、スマホのキャリアを乗り換えるより、ずっと簡単なのです。
【特別ミッション】賃貸物件にお住まいの方へ
「うちは賃貸だから、大家さんが決めた会社だし…」
と諦めているあなた。諦めるのはまだ早い。
交渉の道はあります。
- 大家さん・管理会社への伝え方:まずは低姿勢で、「ガス料金の見直しを検討しているのですが、現在のガス会社から、より料金の安い会社へ変更することは可能でしょうか?」と相談します。
- その際、「無償貸与契約」の可能性に触れ、「もし給湯器などがガス会社の所有物で、変更が難しいようでしたら、その旨を教えていただけますか」と、状況を確認します。
- 大家さんにとっても、入居者の満足度向上はメリットです。意外とあっさり許可が下りるケースも多いのです。
日常でできる「チリツモ」防衛術
会社の乗り換えという大きな作戦と並行して、日々の暮らしでできる小さな防衛術も実践しましょう。
- お風呂: 設定温度を1℃下げる(年間約1,500円の節約)。家族が続けて入る。浴槽のフタは調理中の鍋のフタと同じくらい重要です。
- キッチン: 炎が鍋底からはみ出さない「中火の達人」になる。圧力鍋は時短と節約のスーパーヒーローです。
この知識を「現金」に変える最後のステップへ
さて、長い長いレポートをここまで読んでくださったあなたなら、もうプロパンガス料金の専門家と言っても過言ではありません。
北九州市の「新光」さんの実態、料金相場のカラクリ、そして法改正という追い風まで、すべてを理解したはずです。
しかし、知識はそれだけでは1円にもなりません。
この知識を、あなたの銀行口座に「年間8万円」という具体的な現金として反映させて初めて、この攻略本は意味を持つのです。
「理論は分かった。じゃあ、具体的に、スマホでポチポチするだけで、どうやって会社を変えるの?」
「本当に電話交渉なしで、そんなに安くなるの?」
その疑問に答えるのが、私の次の役目です。
上の記事では、私が実際にプロパンガス会社を乗り換えた際の記録を公開しています。
- 私が実際に使った「比較サイト」の名前
- 申し込み画面のスクリーンショット付きの、具体的な入力手順
- 新しいガス会社とのやり取りの全貌
- そして、8万円以上の節約を達成した、感動のビフォーアフター
など、あなたが明日から、いえ、この後すぐにでも行動に移せるよう、徹底的に「実践」にこだわって書き上げました。
難しい話は一切ありません。
ただ、真似してポチポチするだけです。
この記事で得た「知識」という名のエンジンに、次の記事で手に入れる「具体的な行動」という名の燃料を注ぎ込んでください。
あなたの家計が、劇的に変わる瞬間は、もうすぐそこです。