合成洗剤を使わずに油汚れの掃除をしたいときのアイテムに
- セスキ炭酸ソーダ
- 重曹
がありますよね。
このセスキ炭酸ソーダと重曹は、どちらもアルカリ性の性質を持っていて、油汚れを効果的に落としてくれます。
それは考えてもみませんでした。
実際どうなんでしょう?
ということで、今回は
セスキ炭酸ソーダと重曹を混ぜると、より効果的に掃除ができるのかどうか
について、調べてみました!
実際に2つを混ぜて掃除をしてみたレポートも載せているので、ぜひ読んでくださいね!
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セスキと重曹を混ぜるとパワーアップできる?
結論から言うと、
『セスキ炭酸ソーダに重曹を混ぜても、油汚れを落とす効果が高まる』という期待はできません。
なぜ効果が高まらない可能性が高いのか、解説していきましょう。
まず、
セスキ炭酸ソーダは簡単に言うと、『炭酸水素ナトリウム(重曹)』と『炭酸ナトリウム』を合わせたものです。
つまり、セスキ炭酸ソーダには、すでに重曹(=炭酸水素ナトリウム)が含まれているのです。
メモ
セスキ炭酸ソーダの化学式は
『Na2CO3・NaHCO3・2H2O(順に炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水分子2つ)』
です。
セスキ炭酸ソーダは重曹よりもアルカリ性が強く、汚れを落とす力も高いです。
それはおそらく、『Na2CO3・NaHCO3・2H2O』の組み合わせで発揮される力なのでしょう。
だとすれば重曹(炭酸水素ナトリウム)だけを加えても、炭酸ナトリウムが足りないため、増えた分の重曹は『重曹』としての機能しかないと考えられます。
そして、重曹はセスキ炭酸ソーダよりも弱いアルカリ性ですから、強化することはできないでしょう。
もう1つ、『効果が高まらない』と考えられる理由は、
『セスキ炭酸ソーダと重曹を混ぜる』という使い方を勧める情報が見つからないことです。
もし『セスキ炭酸ソーダに重曹を足すとパワーアップできる』ということなら、とっくにいろいろな人が取り上げて実践しているはずですよね。
それが、『効果が落ちる』という情報も見当たらないのです。
筆者の化学の知識では、セスキ炭酸ソーダと重曹の濃度や量、溶かす水の温度などによって掃除効果が上がったり下がったりするかどうかまではわかりません。
でも、良い話も悪い話もないということは、『毒にも薬にもならない』と判断して良いでしょう。
実際に掃除してみた! 『セスキ炭酸ソーダ+重曹』の効き目は?
『セスキ炭酸ソーダと重曹を混ぜても、良くも悪くもならない可能性が高い』
という結論ではあるのですが、
実際に掃除をした場合、本当に何も違いはないのでしょうか?
ということで、
- ガスコンロ天板の油汚れ
- 魚焼きグリル庫内のかなり頑固な汚れ
を落とす力に違いがあるか、試してみました。
今回比較したのは、
セスキ炭酸ソーダ水
⇒約50℃、250ml弱のお湯にセスキ炭酸ソーダを小さじ1杯溶かす
セスキ炭酸ソーダ+重曹水
⇒約50℃、250ml弱のお湯に、セスキ炭酸ソーダと重曹を小さじ1杯ずつ溶かす
なお、この実験は、あくまでも一般的なキッチンで一般の人ができる範囲の内容です。
また、汚れを落とすのにかかった力や時間なども、筆者の主観です。
実験1ガスコンロ天板の掃除
まず、ガスコンロ天板に付いた油れを落としてみました。
油汚れに
セスキ炭酸ソーダ水
⇒赤丸で囲んだ部分
セスキ炭酸ソーダ+重曹水
⇒青丸で囲んだ部分
を直接垂らし、こすってみました。
(セスキ炭酸ソーダ+重曹の水に浮いている白い粒は、溶け残りです。)
結果、どちらもピカピカです!
汚れがスイスイ落ちるのが気持ち良くて周りの汚れまでこすってしまったので、どこがそれぞれのエリアだったかわからなくなってしまいました(笑)
このくらいの油汚れなら、どちらでもきれいに落とせるということですね。
実験2魚焼きグリルの庫内の汚れに挑戦!
では、数年かけて蓄積された魚焼きグリル庫内の汚れはどうでしょうか?
今回は実験なので、入り口両側の狭い範囲だけを掃除します。
掃除前の状態がこれです。
グリル庫内は、
- セスキ炭酸ソーダ水とセスキ炭酸ソーダ+重曹水を、それぞれキッチンペーパーに染み込ませる
- 汚れ部分に貼り付け、約30分置く
- 貼っていたキッチンペーパーでこする
- 水拭きする
という方法で掃除を試みました。
キッチンペーパーを貼り付けて…
30分たったら、キッチンペーパーを丸めてごしごしこすります。
力を入れてこすったら、予想以上にきれいになりました!
これも主観的な感想ですが、
汚れを落とすのに必要な力と時間は、どちらも同じくらいでした。
掃除をしてみてわかったこと
今回、実際にセスキ炭酸ソーダ水とセスキ炭酸ソーダ+重曹水を使って掃除をした感想は、
- セスキ炭酸ソーダ水に重曹を入れたからといって、特別に汚れ落ちが良くなるわけではない
- 逆に、セスキ炭酸ソーダ水に重曹を入れても、汚れ落ちが悪くなるわけでもない
ということでした。
であれば、特に重曹を混ぜる必要性もないですね。
なお、今回の実験は条件や環境を精密に管理した状況での実験ではありません。
環境や条件が違えば、今回の実験と違う結果が出る可能性もあります。
セスキ水と重曹入りセスキ水を比べてみた!
掃除でのパワーアップは見込めないとしても、セスキ炭酸ソーダだけの水と、セスキ炭酸ソーダ+重曹水とではどう違うか、気になりますよね。
というか、筆者は気になります(笑)
そこで、同じ容量のコップ1杯(250ml弱)の約50℃のお湯に
- セスキ炭酸ソーダ小さじ1杯
- セスキ炭酸ソーダ小さじ1杯+重曹小さじ1杯
- 重曹小さじ2杯
を入れた水を作って、いろいろ比べてみました。
(重曹水を小さじ2.5杯としたのは、掃除に使う重曹水の作り方が水100mlに対して小さじ1杯だからです。)
なお、この実験も、あくまでも一般家庭のキッチンで簡単にできる範囲の実験です。
リトマス試験紙も、正確に測れるほどの精度がないものを使っています。
精密な実験ではないことをご了承ください。
お湯に入れたときの様子の違い
まず、それぞれ約50℃のお湯に入れた様子を比べてみましょう。
どれも最初は白濁したのですが、その後、
セスキ炭酸ソーダ水
⇒わりと早く下のほうから透明になっていき、水面に溶け残りと思われる白い物が少し浮く
セスキ炭酸ソーダ+重曹水
⇒セスキ炭酸ソーダのみよりも少しゆっくり透明になって、水面と底に溶け残りと思われる物が発生する+お湯の中を細かい気泡が昇っていく
重曹水
⇒徐々に透明になっていき、底に溶け残りが出る+コップの内側に細かい気泡が付く
という状態になりました。
セスキ+重曹水と重曹水で溶け残りが出たのは、過飽和状態になったためと考えられます。
アルカリ度はどう違う?
リトマス試験紙を使って、アルカリ度を比べてみました。
(せっかくなので、水、キッチン用マジックリン、クエン酸水もリトマス試験紙に付けてみました。)
なお、リトマス試験紙は比較的安いものなので、だいたいの目安と捉えてください。
画像だと、ちょっとわかりにくいですが、色で判断するとアルカリ性が強い順に
セスキ炭酸ソーダ>セスキ炭酸ソーダ+重曹>重曹水
となりました。
メモ
ちなみに、セスキ炭酸ソーダ水と重曹水のpHは一般的には
セスキ炭酸ソーダ水
⇒9.8~10
重曹水
⇒8.2
くらいです。
クエン酸を入れた時の違い
重曹もセスキ炭酸ソーダも、クエン酸を入れると泡が出ますよね。
その泡の出具合に差があるのかどうか、実験してみました。
クエン酸の量は、どれも小さじ1杯です。
次は、動画でご覧いただきましょう。
このように
セスキ炭酸ソーダ水
⇒はじめは細かい泡が出るが、後になって泡の粒が大きくなり、大きい泡が長く残る
セスキ炭酸ソーダ+重曹水
⇒早いうちから大きな泡が出るが、その後は小さな泡になり、水面を覆う泡が消えるのが早い
重曹水
⇒他の2つに比べて泡の出が激しく、いったん収まりそうになってまた激しく発泡し、シュワシュワする時間が長い
という違いがありました。
セスキ炭酸ソーダも重曹もアルカリ性ですが、
- セスキのみ、セスキ+重曹、重曹水で泡の出方が違う
- アルカリ性が強いほど激しく長時間泡が出るとは限らない
という点が興味深いですね。
セスキ+重曹の割合(今回の実験では1:1)や重曹の量を変えたら、また違う泡の出方になるかもしれません。
興味のある人は、掃除で余ったセスキ炭酸ソーダ水や重曹水で試してみてくださいね。
セスキ炭酸ソーダと重曹、どう使い分ける?
セスキ炭酸ソーダと重曹は、混ぜても特に掃除に効果があるわけではありません。
となれば、使い分けが大事ですよね。
はい、ざっくり説明すると
- 油脂系やたんぱく質の汚れには、基本的にはセスキ炭酸ソーダを使う
- 研磨効果を使って汚れを落とすときや、アルカリ性が極力弱いほうが良いときには、重曹を使う
という風に使い分けるのがおすすめです。
もちろん重曹も、スプレーで使うことができますし、油脂系汚れを落とせます。
ただ、『どちらがより油脂系汚れに強いか』で言えば、セスキ炭酸ソーダです。
普通に油汚れを落とすなら、最初からセスキ炭酸ソーダを使ったほうが手っ取り早いですよ。
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まとめ
セスキ炭酸ソーダも重曹も、油汚れやたんぱく質汚れに強い洗剤です。
しかし、セスキ炭酸ソーダに重曹を混ぜても、洗浄効果は強くも弱くもなりません。
実際に混ぜて掃除してみましたが、セスキ炭酸ソーダだけのお湯でも重曹を混ぜたお湯でも、汚れを落とすまでの時間や労力には、差を感じませんでした。
リトマス試験紙でpHを調べてみても、
セスキ炭酸ソーダだけのほうが、セスキ炭酸ソーダ+重曹よりもアルカリ性が強い
という結果だったのです。
なので混ぜずに、
セスキ炭酸ソーダ
⇒油汚れを落とすときは、基本的にはセスキがおすすめ
重曹
⇒鍋の焦げ落としなど、研磨効果を使いたいとき
⇒なるべく弱いアルカリ性で汚れを落としたいとき
という風に使い分けるのが良いですね!
洗剤は、混ぜればパワーアップするとは限りません。
適材適所で上手に使っていきましょう!