『安心安全で体にも優しく、暖かさもとても快適』
と言われ、人気の
『ガス床暖房』。
「そんなに良いなら、うちでも使いたいな…」
と思う人も多いことでしょう。
でも、ガス床暖房を新しく設置するとなると気になるのが
『設置にかかる費用』
ですよね。
暖房器具はランニングコストもかかるわけですから、設置費用はなるべく抑えたいもの。
そこで今回は、ガス床暖房の設置にかかる費用や、設置費用を抑えるコツ、フローリングの張替えなどについてお話しします。
「ガス床暖房、良さそうだな…」
と思っているあなた、ぜひ読んでくださいね!
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ガス床暖房の設置費用はどれくらいかかる?
ガス床暖房設置に必要な費用
ガス床暖房を設置するのに必要な費用は、
- 床を全面張り替えて設置するか、今ある床の上に設置するか
- どのくらいの広さに設置するか
- 床の解体や補修などが必要かどうか
- 新しく給湯器を設置するか
- 追加の断熱材や工事の有無
などによって変わってきます。
では、具体的にそれぞれの費用について、見てみましょう。
まず、床暖房にかかる費用は、目安としては、
- 床を全面張り替える場合…約8~11万円
- 今ある床の上に設置する場合…約5~8万円
その他にかかる費用としては、
- 給湯器の増設が必要だと、給湯器の設置費用に約25~100万円
- 床の解体や補修の工事として、10畳程度のフローリングなら約15万円くらい
- 段差解消やドアの高さの差を調整する工事費用
- 断熱材の追加費用
があります。
トータルでどれくらいになるかは、工事を頼む業者に確認が必要ですが、
大まかに見て、だいたい80~130万円くらいです。
具体的な事例をあげると
- リビングとダイニングキッチン、約18畳の広さ
- 今ある床の上に床暖房を設置する
- ドアや間仕切りなどの段差解消の工事をする
- 家は一戸建て
という例では、約130万円かかっています。
(参考 床暖房施工の費用とコツ!床暖房で冬を快適に乗り切ろう )
全面張替えと床上に設置、どちらが良い?
床暖房の設置費用は、
床を張り替えより今ある床の上に設置するほうが安いです。
でも、費用が安く済むからと言って、床の上に設置すれば良いというものでもありません。
どちらの方法が良いかは、床下や床の状態も見て決める必要があります。
たとえば、今ある床がかなり傷んでいる場合は、無理にその上に床暖房を設置すると、
さらに傷んでしまったりすること
もあるからです。
専門家に床の状況などを見てもらい、どちらの工事方法にするか決めてください。
では、
『最終的には、業者と相談して決める』
ということを前提に、
- 床を張り替えて床暖房を設置する
- 床の上に床暖房を設置する
この2つ、それぞれどんな違いがあるのか、見てみましょう。
床を張り替えて床暖房を設置する場合
この方法だと、
- 床を張り替えるので、段差ができず、今までと同じ床の高さにできる
- 仕上がりがきれい
- 床下の断熱材も新しくできるので、最新の良い断熱材を使える
というメリットがあります。
とくに
『床に段差ができず、今までと同じ床の高さに出来る』
というのが大きなメリット。
高齢者や足が不自由な人がいるなど、家をバリアフリーにしたい人には、おすすめです。
ただし、やはり床の上に設置するよりも、工事の費用や期間はかかります。
工事期間は、状況にもよりますが、だいたい3~4日ほど。
また、床下にスペースのないマンションでは、この方法を取ることはできません。
床の上に床暖房を設置する場合
床の上に床暖房を設置する場合は、
- 床の上に温水マットなどの熱源を設置し、その上に床材を敷く
- 熱源と仕上げ材が一体になったタイプの床暖房を設置する
2つの方法があります。
床をはがして張り替える必要がないので、工事期間が短く、騒音や室内の汚れも少なくて済みます。
また、この方法なら、床下にスペースのないマンションでも床暖房を設置できます。
費用的に安いのも、助かりますね。
ただし、床の上にまた床を作るわけですから、
床の高さが今までより高くなってしまいます。
となると、
- 床に段差ができてしまう
- ドアの開閉や、出入りが不便になる
ということを解消する工事が必要になるのです。
たとえば、床暖房を入れない場所にも、床を敷いて段差をなくしたり、ドアの下の部分を切ってスムーズに開け閉めできるようにする工事です。
また、床の状況によっては、
補強工事が必要な場合もあります。
『床の上に設置するのは、張り替えるより安く済む』
というのは基本ではありますが、追加工事を含めたトータルの費用を確認してください。
『床の張り替え』と『床上に設置』の比較
では、床を張り替えて床暖房を設置する場合と、床の上に設置する場合を、一覧で比べてみましょう。
床をはがして張り替える | 床上に設置する | |
1畳あたりの施工費用 | 約8~11万円 | 約5~8万円 |
工事にかかる日数 | 3~4日程度 | 1~2日程度 |
追加の工事 | 必要な場合は、断熱材の追加
| 今ある床の補強や、床の段差解消、ドアの下を切るなど。 |
メリット | 床に段差ができず、きれいに仕上がる。 ドアの下を切ったり、段差を解消するための工程も要らない。 断熱材も追加すると、最新の断熱力のあるものを使える。 | 床下にスペースのないマンションでも、設置できる。 工事の騒音や室内の汚れも少なくて済む。 |
デメリット | マンションなど、床下にスペースがない場合は、床を貼り替えて床暖房を設置することができない。 | 床に段差が出来たり、出入り口やクローゼットのドアが開け閉めできなくなったりすることがある。 それを解消する工事が必要。 |
どんな状況に向いているか | 高齢者や足の不自由な人がいるなど、家をバリアフリーにしたい場合。 | マンションで床暖房を設置したい場合。 |
どちらの方法が良いかは、費用はもちろん、家や床の状況に合わせて考えることが大切です。
費用が安いからと言っても、無理に合わない方法を取ると、後で修理が必要になってしまうこともあります。
安くあげようとして、結果的にかえって高くついたら、残念ですよね。
『状況に合う方法を選ぶ』ことが一番の節約になります。
業者に家や床の状況を見てもらって、よく相談して決めてください。
ガス床暖房の設置費用を抑えるコツ
ガス床暖房の設置にかかる費用は、工法以外にも
どのくらいの範囲に設置するか
でも変わります。
『効率良く暖房できる場所に、なるべく少ない範囲』
で設置すると、設置面積を小さくし、なおかつ効率的に暖房できるのです。
設置面積が小さければ、ランニングコストも抑えられますね。
具体的には、
- 部屋の面積の5~7割の広さに設置する
- 効率よく暖房できるように、部屋の使い方に合わせて人がいる場所や通る場所に設置する
と考えると良いです。
床暖房をどのくらいの範囲に設置するか
床暖房は、5~7割の面積に設置すれば、十分な暖房効果を得ることができます。
たとえば
『12畳の部屋に床暖房を敷く』=『12畳の床暖房を設置する』
というイメージがあるかもしれませんね。
でも実際には、
効率良く配置すれば、5畳~8畳半くらいの設置面積で十分
なのです。
部屋の広さに対してどのくらいの割合の床暖房にするかは、建物にもよりますが、
- 戸建て住宅なら、6割以上
- マンションなら5割以上
が目安です。
「そんなもので大丈夫なの?」
と思うかもしれませんが、温水式の床暖房は、
『広い部屋に、なるべく少ない範囲で設置する』
ということにも向いているので、大丈夫。
温水式床暖房は、パネルを通る温水と輻射熱で部屋が暖められるので、設置した範囲が少なくても、十分部屋を暖められるからです。
床暖房の上手な配置の仕方
では、どんなことを考えて配置すると、『効率のいい配置』になるのでしょうか。
それは
- ソファーやいすなどに座った時、足が床に触れる
- 部屋の中を歩く時に通る
- 床に座ってくつろぐ
という場所を中心に設置すると良いのです。
逆に言うと、
- ソファやテレビ台、本棚やテーブル、ベッドなどの家具が置いてある場所
- 壁際の、通ったり足が床に触れたりしない場所
というところに床暖房を設置する必要はないということです。
なので、床暖房を設置する時には
- どこに大きな家具を置くか
- 部屋のどこに人が座るか
- 部屋の中で、人が歩くのはどこか
ということも考えながら、設置する場所を決めていくと良いですよ。
家具の下を避けて設置したほうが良い理由
床暖房を大きな家具の下に設置しないほうが良いのは、
『床暖房がムダになってしまう』
ということもありますが、もう1つ、大事な理由があります。
それは
『家具や床を傷める可能性がある』
ということ。
床暖房の上に木製の家具などを直接置くと、その部分に熱がこもってしまいます。
熱がこもると、
家具が変形したり、ゆがんだりしてしまうこと
もありますし、床材が傷むこともあります。
とくに、高価なものや精巧な調度品などは、注意が必要です。
せっかくの家具やフローリングは、なるべく傷めたくないですよね。
そういう意味でも、床暖房の上には大きな家具や重い家具を置かないほうが良いのです。
もちろん、床暖房の上には何も置けない、ということではありません。
たとえば、
- 床と木製の調度品の間には板を一枚敷く
- ピアノなどの重い家具を置く場合にはパッドを敷く
といった対策もあります。
ただし、これも自己判断しないほうが良いでしょう。
詳しくは業者に確認して下さいね。
ガス床暖房の工事について
次に、ガス床暖房を設置する時には、どんな工事をするのかについて、見てみましょう。
床をはがして設置する場合
まず、床をはがして設置する場合の工事は
- 床をはがす
- 必要であれば、断熱材を設置する
- 床下に床暖房パネルを設置する
- 床暖房パネルと温水の配管をつなぐ
- 床暖房パネルの上に床材を敷く
- 室外機(給湯器など)と温水の配管をつなぐ
- リモコンを設置する
- 試運転
- 工事完了
という手順になります。
工事にかかる日数は、だいたい3~4日。
床をはがすところから始めるので、工事も大掛かりですし、時間もかかります。
床の上に設置する場合
次は、床をはがさずに今ある床の上に設置する場合です。
- 床に床暖房パネルを設置する
- 床暖房パネルと温水の配管をつなぐ
- 床暖房パネルの上に床材を敷く
- 室外機(給湯器など)と温水の配管をつなぐ
- リモコンを設置する
- 試運転
- 工事完了
と、基本的にはこのような工程です。
さらに、必要に応じて
- 床の補強
- 床暖房がないところにも床材を敷いて、高さを合わせる
- ドアの下の所を切ったりして、開閉に支障がないいようにする
といった工事をします。
ところで、『電気式床暖房』ってどうなの?
床暖房には、大きく分けて2種類あります。
1つは、これまで紹介してきた『温水式床暖房』。
もう1つは、『電気式床暖房』です。
この記事では、『ガス温水式床暖房』を中心にしていますが、ここで少し『電気式床暖房』の設置についてもお話しておきましょう。
温水式床暖房は、床下にお湯を巡らせて暖房します。
一方、『電気式床暖房』は、電熱線や炭素繊維といった発熱体を床下に設置して、電気の熱で床を暖めます。
この暖め方の違いが、温水式と電気式の一番の違いです。
設置の方法は、温水式も電気式も変わりありません。
電気式床暖房の設置費用
設置費用は、これも設置範囲や工法、使う床材によりますが、
- 戸建ての8畳間
- 床を全張替えし、和室から洋室にする
という工事で、約110万円くらいとのこと。
だいたいにおいては、電気式床暖房の方が、設置費用自体は安く済みます。
ただし、電気式床暖房は、設置費用は安くても、ランニングコストが高くなってしまいます。
設置費用とランニングコストを足して考えると、はじめは電気式床暖房が安いですが、
だいたい40ヵ月(1年のうち使うのを4~5か月とすると、8~10年)くらいで逆転し、温水式のほうが安くなります。
長い目で見た時のコストも、考えて選んでくださいね。
電気式床暖房と温水式床暖房の比較
床暖房を設置する時に、電気式と温水式、どちらにするかも考えますよね。
ということで、ざっと比較してみましょう。
温水式 | 電気ヒーター式 | |
設置費 | 高い。 床下の配管の設置や、給湯器が必要なため。 | 安い。 電気ヒーターのパネルだけで、給湯器などの熱源機が要らない。 |
ランニングコスト | 安い。 効率の良い給湯器を選べば、さらにコストを安くできる。 | 高い 他の暖房器具が必要になったりすると、よけいにコストがかかる。 |
メンテナンス | 定期的に、給湯器や配管のメンテナンスや点検が必要。 点検には費用もかかる。 | メンテナンスは基本的に要らない。 |
立ち上がりの早さ | 立ち上がりが遅い。 暖まるのに時間がかかる。 | 立ち上がりが早く、暖まるのが早い。 |
温度のムラ | 温度のムラはできにくい。 | 電熱線によっては、つなぎ目が冷えて、暖かさにムラがでてしまうことがある。 |
どんな使い方に向いているか | リビングやダイニングなど、広い場所。 長時間使う。 | キッチンや脱衣所、個室など、あまり広くない場所。 短時間しか使わない。 使う頻度が少ない。 |
低温やけどなどの可能性 | 低温やけどになる可能性が少なく、安全。 赤ちゃんや高齢者のいる家庭でも、安心して使える。 | 長時間使う場合は、低温やけどに注意が必要。 |
温水式と電気式では、このような違いがあります。
どちらを選ぶかは、
- 床暖房を設置する場所
- 床暖房をどんなふうに使いたいか
- 長期的に見て、コストがどうか
など、いろいろな角度から考えて検討すると良いでしょう。
ガス床暖房設置時のフローリングのリフォームについて
ガス床暖房を設置する時には、
- 床を張替える
- 床の上に設置して、その上に床を張る
という2つの方法がありますが、いずれにしても
『床を新しくする』
ということになりますよね。
この、『床をリフォームする』ということ、床暖房の設置には必須なのでしょうか?
これまで使っていた床を、設置後も床材として使うことはできないのでしょうか。
そのあたりについて、お話ししましょう。
ガス床暖房を設置する時には、フローリングの張替えが必要
結論から言うと、
ガス床暖房を設置する時には、床材も替える必要があります。
なぜかというと、床暖房には床暖房用の床材を使う必要があるからです。
一般的な床に使われている床材は、熱や乾燥に弱いです。
そのため、これまで使っていた床材を床暖房設置後にまた使うと、床暖房の熱で反り返ったり、割れたりしてしまうことがあります。
また、普通の床材だと、床の表面に熱を伝えにくいのです。
一方、床暖房用の床材は
- 熱や乾燥に強い
- 熱を効率的に床の表面に伝えられる
- 熱によってホルムアルデヒドなどの化学物質が発生しないように加工されている
という特長があります。
つまり、
『床暖房のメリットを生かし、安心安全に使うには、床暖房用の床材が必要』
ということなのです。
これまで使っていた床を再利用できないのは、もったいない気がするかもしれませんね。
でも、せっかく床暖房を入れるのですから、床暖房のメリットを生かせる床材を使ったほうが、リターンが多くなりますよ。
床暖房向けの床材の種類
では、床暖房にはどんな床材があるのでしょうか。
今は、フローリング以外にもいろいろな床材がありますし、フローリングでも種類が豊富です。
簡単に紹介しましょう!
ナチュラルな雰囲気が人気の『無垢フローリング』
無垢材はこれまで、
『熱や乾燥の影響を受けやすいので床暖房向きではない』
と言われてきました。
でも最近は、熱による木の膨張や収縮をを抑える加工ができるようになっています。
そのため、床暖房の床にも使いやすい無垢フローリングが出てきているのです。
無垢フローリングは温度上昇がゆっくりなので、じっくりと部屋を暖めるタイプの床暖房によく使われています。
- 自然の風合いや素材感が好き
- ナチュラルな雰囲気の部屋にしたい
という人に好評です。
熱伝導率が高く、個性的な風合いの『竹のフローリング』
竹はもともと、温度や湿度の変化によって、膨らんだり縮んだりすることが少ない素材です。
また、抗菌や殺菌力もあり、衛生面でも抜群。
そして耐久力もあって傷がつきにくいと、とても頼もしい素材です。
そのため、店舗など多くの人が土足で歩くような場所でも、竹が床材として使われています。
ところどころに竹の節が入っているので、ちょっと個性的な雰囲気になります。
『フローリングでも、普通のフローリングとは一味違った雰囲気の部屋にしたい』
という人には、検討する価値があるでしょう。
丈夫で使いやすい『挽板フローリング』
『挽板(ひきいた)』とは、鋸刃で切り出した厚い板を、合板と重ね合わせた板のこと。
厚い板を合板にしているので、木の反り返りや収縮などがとても少なく、変形しにくいです。
丈夫で、メンテナンスもとても楽です。
木にもよりますが、外見は無垢フローリングのように見えるものもあります。
表面の木材は、好きな木の種類を選べるので、部屋全体のインテリアと合わせやすく、部屋を好きな雰囲気にしていけるのが好評の床材です。
木以外のフローリング
床暖房の床には、木のフローリング以外にも、たとえば、
- 塩ビシート
- コルク
- タイル
- 畳
- カーペット
と、いろいろな床材があります。
畳やカーペットもありますが、これももちろん、床暖房用のものです。
たとえば、好きな色合いのカーペットにするのも、楽しいですよね。
畳もあるので、和室を和室のまま、床暖房を入れて使うことも、できますよね。
部屋の雰囲気をがらっと変えるも良し、今の雰囲気が好きなら、それをキープできる床材を選ぶも良し。
せっかくの床のリフォームですから、楽しんで床材を選んでくださいね!
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まとめ
ガス床暖房を設置するのに、どのくらいの費用が掛かるかは、設置する範囲や工法にもよりますが、だいたい
- 床を全面張り替えるなら、1畳あたり約8~11万円
- 今ある床の上に設置するなら、1畳あたり約5~8万円
と、このくらいの費用が掛かります。
それにプラスして、
給湯器の費用や追加工事の費用
が入りますが、これは状況にもよります。
床暖房を設置するとなったら、
- どこに、どんな風に床暖房を設置したいか
- 床の張り替えと、床の上に床暖房を設置するのでは、どちらが合っているか
- 床暖房をどう配置したら、少ない設置範囲で効率よく設置できるか
などを考え、業者とよく相談してくださいね。
床暖房を設置するなら、床のリフォームは必須です。
床のリフォームも工事も、大変そうだなと思うかもしれませんが、大規模な模様替えをするチャンスでもありますよね。
冬が暖かく快適に過ごせるようになって、お部屋の雰囲気も変わって…。
そんな生活の変化も、ぜひ楽しんでくださいね!