アップライトピアノやグランドピアノは、一度置いたら、めったに動かせません。
なにしろ、ピアノは大きくて重いですからね。
『自分で動かせたらいいのに』って思うこと、ありますよね。
でも、ピアノって『自分で移動させる』ことはできるのでしょうか?
もしできるとしたら、どういう方法で動かせばよいのでしょうか。
ということで、この記事では
- ピアノは自分で移動させられるのかどうか
- ピアノを移動させたい時にはどうしたらよいのか
について解説していきます。
大切なピアノを安全に移動させるために、ぜひ読んでくださいね!
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そもそもピアノって自分で移動させられるの?
まず、
『一般人が、ピアノを自分で移動させることはできるのかどうか』
について、調査した結果をお伝えしましょう。
なお、この記事で『ピアノ』と書く場合は、基本的には、
- アップライトピアノ
- グランドピアノ
のことを指します。
自分でピアノを移動させるのはNG!
結論から言うと、
自分でピアノを移動させるのは、絶対にやめましょう。
なぜかというと、
人にとってもピアノにとっても、危ないからです。
自分で動かしてよいピアノがあるとすれば、こういったコンパクトな電子ピアノくらいです。
メモ
電子ピアノであっても、
- 普通の電子ピアノより重い
- アップライトピアノやグランドピアノと同等の大きさ・重さがある
- 階段の上り下りを伴う移動
といった場合は、自分で移動させるのはやめておきましょう。
なぜ自分で移動させてはいけないのか?
ピアノを自分で移動させてはいけない理由は
- ピアノはとても重い
- ケガをする可能性がある
- ピアノは繊細なので、音が変わったりする可能性がある
- 移動している途中で、動かせなくなることもある
といったことからです。
これらの理由について詳しくお伝えしましょう。
ピアノはどのくらいの重さ?
ピアノは、どれくらいの重さかと言うと
アップライトピアノ
⇒約200~300kg
グランドピアノ
⇒約260~600kg
これだけ重いと、ちょっと動かすだけでも大変です。
ケガしたり周りにぶつけたりする可能性がある
『重くて大きいものを動かす』のには、
- 体に負荷がかかって腰や背中などを傷める
- 何かの拍子に足の上に落としたら、骨折をしかねない
といった危険性があります。
また、ケガをしなかったとしても
- 周りの物にぶつけて、ピアノに傷が付いてしまう
- ピアノの一部分に荷重や無理な力がかかり、壊れてしまう
- 周りの家具や家電製品などにぶつけて壊してしまう
- 壁にぶつけて、壁を傷めてしまう
という可能性もあります。
ピアノは繊細な楽器である
ピアノは、一見頑丈そうに見えるかもしれませんが、とても繊細な楽器なんです。
アップライトピアノもグランドピアノも、中にはたくさんの部品が緻密に組み入れられています。
この1つ1つの部品の調整を変えるだけで、音質や響きが変わります。
ということは、動かし方によっては、たった数メートル動かしただけでも、
- 音が合わなくなる
- 響きがおかしくなる
- 一見問題ないように見えても、外から見えない内部の部品の寿命や性能に影響が出てしまう
ということも、あり得ます。
万が一、移動中に落としたり強くぶつけたりしたら、壊れてしまうかもしれません。
メモ
ピアノの内部が、どんなか興味がある人は、『ピアノの内部』で画像検索してみてください。
移動中に動かせなくなってしまう可能性がある
一般人がピアノを移動させると、途中で動かせなくなってしまう可能性もあります。
それもあり得ますね。
なにしろ、数百kgもある物を動かすわけですから。
でも、それだけではありません。
たとえばピアノを別の部屋に移動させる時に、
- 部屋の出口まで持ってきたはいいが、出口を曲がって廊下に出られない
- 廊下の角を曲がれなくなり、そのまま前にも後ろにも行けなくなる
という事態になってしまう可能性があるのです。
ピアノが立ち往生して、人が部屋に閉じ込められたり廊下を通れなくなったりしたら、大変です。
『自分で動かそうとして、動かせなくなってしまった』と、運搬業者にSOSの連絡が入ることも、実際にあるんですよ。
ピアノは、大きさも幅もそれなりにあります。
移動の仕方や、部屋から出したり廊下を曲がったりするときなどにも、技術がいるのです。
ネットに書いてある『自分でピアノを移動させる方法』について
たしかに、ネット上の体験談などを読むと、できそうな気がしますよね。
中には、『女性一人でグランドピアノを動かした』なんていう話もあります。
でも、危ないことには変わりないので、真似しないでください。
『無事に移動させられたのは運が良かった』くらいに思っておいたほうが良いですよ。
ネットで見つかる方法には、
- インシュレーターを外し、ピアノについているキャスターで移動させる
- 何人もで持ち上げて運ぶ
- 軍手や毛布に乗せて引っ張る
- 段ボールに乗せてその上を滑らせ、少しずつ移動させる
- 何人もで運ぶ
- 『ピアノリフター』を使う
といった方法があります。
では、これらの『自分で移動させる方法』について、詳しく見ていきましょう。
『キャスターが付いているから移動させられる』は間違い
ピアノの足には、キャスターが付いていますよね。
でも、だからといって移動させられるわけではありません。
ピアノのキャスターは、ピアノの重さや大きさに対してとても小さいです。
ピアノそのものの重さもかなりあるので、ちょっとしたでこぼこに引っかかって動かなくなってしまいます。
でこぼこに引っかかったのを無理に力づくで押すと、
- キャスターが壊れる
- ピアノの足が折れる
- ピアノが倒れて壊れたり、ケガをしたりする
という可能性もあります。
ピアノのキャスターは、あくまでもピアノ工場などで移動させるためのもの。
一般家庭の室内での移動向けではないのです。
『人数があれば移動できる』も間違い
『重いものなら、何人もで力を合わせて運べばいいんじゃないか』と思うかもしれませんね。
でもピアノの場合は、大人数で運べば良いというものではありません。
ピアノを傷めてしまう可能性があるからです。
『重い物を持ち上げる』ときには、手をかけて持ち上げる場所に負荷がかかります。
何人もで手をかけると、いろいろな場所に負荷がかかりますよね。
ピアノの弱い部分やデリケートな部分に負荷がかかると、壊れたりゆがんだりしてしまうことがあるのです。
逆に言うと、
ピアノは、負荷がかかっても大丈夫な場所が限られている
ということです。
だから、ただ移動させるだけでも、ピアノ運搬のノウハウのある人が、適した人数と方法で行う必要があるのです。
軍手や段ボール、毛布などに乗せて移動させるのは危険
『自分でピアノを移動させた』という経験談の中には
- ピアノのキャスターと床の間に軍手や段ボールを挟んで、床を少しずつ滑らせて移動させた
- ピアノを毛布に乗せて、少しずつ移動させた
といった話もあります。
『ピアノと床の間に摩擦の少ないものを挟む』という方法ですが、
危ないので、絶対に真似しないでください!
- 軍手などを挟むためにピアノを持ち上げる時に、腰や背中を痛めてしまう
- 動かしているときにピアノが転倒し、壊れてしまう
という可能性もありますし、
万が一、転倒したピアノの下敷きになったりしたら、大ケガになりかねません。
それに、もし一人で動かしている時にピアノが倒れたら、起こせなくなってしまいますよね。
ですから、ネットに『1人で移動できた』という話が書いてあっても、やらないでください。
ピアノを動かす道具を使うのはどうなのか?
ピアノを動かす道具として『ピアノリフター』という道具があります。
これは、アップライトピアノを移動させるために作られたアイテムで、
- てこの原理でピアノを少し持ち上げ、キャスターの下に滑りの良い板とシートを敷く
- シートの上を少しずつ滑らせて移動させる
という使い方をします。
『ピアノリフター』を使えば、たしかに毛布や段ボールなどより移動させやすいでしょう。
とはいえ、何かの拍子にピアノが倒れてしまうリスクがあることには、変わりありません。
また、ピアノリフターは、あくまでも同じ部屋の中を動かすことを前提としたアイテム。
別の部屋への移動や引っ越しの移動には、向きません。
そして、ピアノリフターは58,000円もします(2020年9月24日現在)。
そう頻繁にない『ピアノの移動』のための出費としては、コストが良いとは言えません。
一方、業者に頼んだ場合は、だいたい8,000~15,000円くらいです。
(作業内容や出張費などで、料金は変わります。)
となると、業者に頼んだほうが良いですよね。
メモ
グランドピアノ用には、ジャッキ付きのグランドピアノ専用台車もあります。
ただ、これも45万円くらいはするので、やはり買うより業者に頼んだほうが安く済みます。
ピアノは置いたら動かさない前提で設置する
はい、そうです!
つまり
ピアノは、『一度置いたら、よほどのことがない限りは動かせない』という前提で設置する必要がある
ということです。
なので、ピアノを最初に設置する時に、よく考えて場所を決めてくださいね。
模様替えの時も、やむを得ない場合以外は、ピアノの場所はそのままにしておきましょう。
ちなみに、マンションでピアノを弾く場合には、ピアノをどこに置くかで、上下両隣の家への音の伝わり具合が変わります。
集合住宅の場合は、防音のことなども考えて設置しましょう。
ピアノの置き方と防音の関係については、こちらに詳しく書いてあります。
併せて読んでくださいね。
関連記事:引っ越しや模様替えなどでピアノを自分で移動させる方法はあるの?
模様替えや引っ越しでピアノを移動させたいときには?
ピアノの移動は専門の業者に頼むのが安心!
模様替えでも引っ越しでも、
ピアノの移動は、ピアノ運搬を専門とした業者に頼むのが一番です。
- きちんとしたノウハウと技術でピアノを移動させてくれるので、安心
- ピアノも周りの家具なども傷めることなく、安全に作業をしてくれる
- ケガをする心配がない
- 自分でやるより時間がかからない
といったことから、自分で移動させるより、断然メリットが多いです。
『自分でやったほうが安く済むんじゃないか』と思う人もいるでしょうが、
- ピアノが壊れて修理するとなれば、業者に頼む以上のコストがかかる
- ケガをしてしまったら治療費がかかるだけでなく、場合によってはその後の生活にも影響しかねない
といったことを考えたら、業者に頼んだほうがコストも抑えられるんですよ!
まったく問題ありません!
もちろん、基本的に模様替えは、ピアノを動かさずにするほうが良いです。
でも、状況によっては、
- どうしてもピアノを移動させたい
- ピアノを置く位置を変えなければならなくなった
- 別の部屋にピアノを移動させる必要が出てきた
ということもありますよね。
そういう時は、ほんの数メートルの移動でも、遠慮なく業者に頼んでください。
業者に頼むときのポイント
ピアノの移動や引っ越しを業者に頼むときのポイントとして
- ピアノの運搬業者の探し方
- 業者に依頼するときに伝えること
- 業者に来てもらう前に準備しておくこと
をチェックしておきましょう。
ピアノの運搬業者を探すには
ピアノの運搬業者を探すには、
- 普段お世話になっている調律師さんに紹介してもらう
- ピアノを売っている楽器店などで紹介してもらう
という方法があります。
人やお店を介すると、信用できるところを紹介してもらえますし、紹介された側も信頼に値する仕事をしようとします。
ですから、ネットで探すよりは、『紹介してもらう』という探し方がおすすめです。
加えて、引っ越しの場合は、
- 前もって運搬業者を見つけておき、引越し業者に『ピアノ運搬はここに頼みたい』と相談する
- 引っ越しを、ピアノ運搬専門の業者と提携している引っ越し業者に依頼する
というのも、おすすめです。
なぜかというと、
引越し業者によっては、『ピアノの運搬もうちでやります』と言うものの、ピアノの運搬の知識や技術が不十分なスタッフが運んでしまうケースがあるからです。
逆に、おすすめできないのは
- 家具運搬中心の業者で、ピアノの運搬に専門性を持つスタッフがいるかどうかがわからない業者に頼む
- 『便利屋』などに頼む
という方法です。
大切なピアノですから、安心して頼める業者を選んでくださいね。
運搬業者に連絡する前に確認しておきたいこと
業者に連絡する時には、前もって
- ピアノの種類(アップライトピアノ/グランドピアノ/電子ピアノ)
- ピアノの大きさ(グランドピアノの場合、『C3』『C5』などで大きさがわかる)
- 移動元と移動先の場所や状況(一戸建て、マンションなど)
- 今ピアノを置いてある部屋と、移動先の部屋が何階か
- 階段やエレベーターなどを使えるかどうか
などをメモしておきましょう。
もちろん、わかる範囲で大丈夫です。
こういった情報を基に見積もりを出してもらえますし、必要があれば下見に来てくれます。
運搬業者が来る前の準備
ピアノを移動させる業者や日程などが決まったら、業者が来る前に、
- ピアノの上に置いてあるものをどかす
- ピアノの周りやピアノが通る所に物があるなら、どかしてピアノを移動させやすくしておく
- ピアノの移動先のスペースを空け、掃除をしておく
といった準備をしておきましょう。
ピアノの周りや通り道、ピアノの移動先は、広めに場所を空けておいてください。
この準備は、けっこう大事です。
きちんと準備しておくと、作業がスムーズに進みますよ!
移動の後は調律を
ピアノは、ちょっと動かしただけでも音が変わることがあります。
ですから、
ピアノを移動させた後は、調律師にピアノの調律をしてもらいましょう。
新しい場所や新しい家で、気持ちよくピアノが弾けますよ!
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まとめ
模様替えでも引っ越しでも、
ピアノの移動は、必ずピアノ運搬の専門業者に依頼しましょう。
一般人が、ピアノを動かそうとすると
- 重さで腰や背中などを傷める
- バランスを崩してピアノが倒れ、ピアノが壊れたり人がケガをしたりする
といった危険性があります。
また、ピアノは繊細な楽器なので、
- 力がかかる場所によっては、ピアノを傷めてしまう
- ぶつけたり倒したりすると、内部の部品にも影響が出る
ということもあるのです。
引っ越しはもちろん、模様替えでの数メートルくらいの移動であっても、ピアノを移動させるときは、必ずピアノ運搬専門の業者に頼んでください。
プロに頼むのが、人にとってもピアノにとっても最も安全で、安心です。
コストも移動にかかる時間も、自分で移動させるより、ずっと抑えられますよ!