『これからアパートやマンションの部屋を借りる』
という時に、ぜひ部屋選びのポイントの一つにしたいのが
『ガス』です。
プロパンガスの物件は都市ガス物件よりマイナスに見られがちです。
でも、プロパンガスにもメリットがあります。
都市ガスかプロパンガスか、選べるにせよ選べないにせよ、
メリットもデメリットも知ったうえで、部屋選びをしたいですよね。
ということで、賃貸住宅のプロパンガスのメリットとデメリットについてお話しします。
また、デメリットの部分は軽減することもできるので、その方法もお伝えしましょう。
「これから部屋探し」
というあなた、ぜひ読んでくださいね!
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賃貸集合住宅でのプロパンガスのメリットとデメリット
アパートやマンションのプロパンガスのデメリット
アパートやマンションなど、賃貸集合住宅のプロパンガスのデメリットは、
主に料金的な面です。
では、どんなデメリットがあるのでしょうか。
デメリット1 プロパンガスは都市ガスより料金が高い
『都市ガスよりプロパンガスのほうが料金が高い』
と、聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。
プロパンガスの料金が高いわけは、
- ガスボンベの配送や交換、ガスの開閉栓などに、人件費がかかる
- 前から自由料金だったために、ガス料金を高く設定するガス会社も多い
- 賃貸の場合、ガスの設備費や、ガス会社が付けた設備の費用が上乗せされる
- 入居者がガス会社を決められないのをいいことに、中には高値を付けるガス会社もある
ということがあります。
プロパンガスは、往々にして都市ガスより料金が高くなりがちです。
でも、アパートやマンションなどの賃貸の場合、
- プロパンガスを設置した時の初期費用
- ガス会社がサービスで付けた、エアコンやドアフォンなどの設備費
が、入居者のガス料金に上乗せされるので、さらに高くなりやすいのです。
なお、設備費がどれくらいになるかは、
大家さんがガス会社にどれくらいの設備を用意してもらったか
によります。
ポイント
『どの賃貸でもエアコンやドアフォンなどが、ガス会社の付けた設備』
というわけではありません。
ガス料金のうち、どのくらいが設備費になるかは、入居の時に説明してもらえます。
確認してみてください。
デメリット2 保証金を取られることがある
プロパンガスのアパートやマンションに入ると、ガス会社から
『保証金』
を求められることがあります。
これは、万が一入居者がガス代を払わずに退去してしまった時に、未納分を補うために取るものです。
だいたい10,000円くらいのことがほとんどですが、
ガス料金をきちんと払っていれば、退去する時に返してもらえます。
また、
- 保証人を付ける
- 住民票や印鑑証明の提出
- 職場に在籍しているかどうかの確認
といった方法で、保証金なしでガス会社と契約できる場合もあります。
けっこう厳しい条件ですが、ガス会社にしてみれば、確実に料金を払ってもらうためにこうしているのです。
ポイント
『保証金を払ったのに、ガス会社がもらっていないと言い張る』
というようなトラブルもあったりするので、
保証金を払ったら、必ず『預かり証』をもらっておきましょう。
デメリット3 入居者がガス会社を選ぶことができない
アパートやマンションなど、また一戸建てでも、
賃貸住宅のガス会社を決める権限は、大家さんにあります。
といっても、
入居者がガス会社を選ぶことはできません。
また、アパートやマンションは、一棟ごとにガス会社と契約します。
そのため、
『自分の部屋だけ、このガス会社にしてほしい』
ということも、できません。
といっても、『賃貸住宅だと、ガス会社を変えることがまったくできない』というわけではありません。
大家さんに、
とお願いして、了承を得ることが必要です。
デメリット4 ガス会社によっては、余分に値上げしてしまうこともある
もちろん、すべてのガス会社ではないのですが、中には
- 入居者がガス会社を変えられない
- 大家さんが入居者のガス料金を把握していない
ということに乗じて、
大家さんが知らない間に値上げしてしまうガス会社もあります。
このように、
『大家さんが良心的なガス会社を選ばないと、入居者が不利をこうむってしまう』
というのが、賃貸住宅のプロパンガスのデメリットと言えるでしょう。
デメリット5 ガスは扱いに注意が必要
これは、都市ガスでもプロパンガスでも、賃貸でも持ち家でも同じです。
なので、『オール電化と比べてのデメリット』と言える部分ですが、ガスには
- 火災
- 不完全燃焼による、一酸化炭素の発生
- ガス漏れ
というリスクがあります。
ガスを使う時には、
- 火を使っている時は、消すまでその場を離れない(離れる時は必ず消す)
- 換気をする
- ガス器具はガスに合ったものを使い、時々掃除や点検をする
- ガス漏れ警報器を、正しい場所に取り付ける
という基本を、忘れないでくださいね。
アパートやマンションのプロパンガスのメリット
いろいろとデメリットを見てきましたが、次はメリットについて挙げます。
デメリットは経済的な部分が多かったですが、
メリットはプロパンガスの特長
が現れているものが多いんですよ。
メリット1 災害時の復旧が早い
プロパンガスの一番のメリットは、
都市ガスに比べて災害に強く、復旧するのが早いこと。
都市ガスは、ガスタンクから建物までを、ガスの導管でつないで供給しています。
しかも、ガスの導管は地下を通っています。
大きな災害があると、点検や修復する箇所も多く、作業も大掛かり。
そのため、都市ガスは点検と復旧をするまでに時間がかかるのです。
一方プロパンガスは、ガスボンベに詰めて、ガスを使う建物の敷地に置いてあります。
つまり、『ガスボンベからガス器具までの間に異常がない』と確認できれば、すぐ供給を再開できるのです。
もし異常があったとしても、修復は建物単位なので、作業も規模が小さくて済みます。
プロパンガスは、災害の多い日本にうってつけのガスなのです。
メリット2 火力が強い
プロパンガスは
- IHコンロ
- 都市ガス
- プロパンガス
の中で、一番火力が強く、強い火力が必要な揚げ物や中華料理などにも、向いています。
『しっかりした火力の火で、おいしい料理を作りたい』
と、料理に凝りたい人には、プロパンガスがおすすめですよ。
メリット3 熱量が高いので、都市ガスより少ない量で済む
都市ガスの熱量は、およそ11,000Kcal/立方メートル。
一方、プロパンガスの熱量は、およそ24,000Kcal/立方メートルです。
倍以上違いますね。
つまり、同じ熱量を得るならば、プロパンガスは都市ガスの半分くらいの量で済んでしまうのです。
メモ
実際に家庭で使う量は
- ガス器具の性能や熱効率
- ガスの使い方
- 家族の人数
といったことで変わるので、単純に『プロパンガスは都市ガスの半分の量で済む』とはいきません。
でも、年間の平均使用量などを比べると、おおむねプロパンガスのほうが、使用量が少なくて済みます。
メリット4 プロパンガス会社が物件の設備を整えてくれることも多い
デメリットのところでも触れましたが、アパートやマンションを建てる時にガス会社がガス周り以外の
- エアコン
- ウォッシュレット
- インターフォン
- キッチンや洗面所などのリフォーム
というような設備も整えてくれることが、よくあります。
良い設備が整っているのは、うれしいですよね。
もっとも先に書いたように、こうした設備にかかる費用は、ガス料金に上乗せされます。
「家賃に設備費が含まれてなくても、ガス代として払うのは納得いかない」
と考えるか、
「もしガス会社に頼まずに大家さんが設備を整えても、その分家賃が高くなるから同じ。」
と考えるかは、人によって違ってきそうですね。
メリット5 都市ガスに比べ、家賃が安いこともある
プロパンガスの物件では、都市ガスより家賃を安く設定している場合もあります。
ということは、
『ガス料金と家賃』を合わせて考えると、必ずしも都市ガスより極端に高くなるとは限らない
ということです。
うまくすれば、『ガス料金+家賃』が都市ガスより安い物件も見つけられるでしょう。
家賃は自分の努力で減らすことはできませんが、ガスはある程度、努力して減らせます。
なので、
『ガス料金+家賃で考えて、ガス節約の努力をする』
というふうに部屋選びをするのも手ですよ。
プロパンガスの料金対策
プロパンガスのデメリットの多くは、料金など、経済的な面です。
経済的なデメリットって、結構大きいですよね。
でも、このデメリットは軽減することができます。
その方法について、お話ししましょう。
物件探しの時点で、ガス料金の安いところを探す
賃貸のプロパンガスの料金対策で一番手っ取り早いのは、
『ガス料金の安い物件を探す』
ということです。
では、どうしたらガス料金の安いところを見つけられるかというと、
良さそうな物件があったら、不動産屋さんにガス料金を聞いてみることです。
ガス料金は、
- 基本料金
- 従量単価
の2種類があるので、両方聞いてくださいね。
不動産屋さんの方ではガス料金がわからない場合は
- 動産屋さんに、お目当ての物件で契約しているガス会社を教えてもらう
- ガス会社に電話して、賃貸の場合の基本料金と従量単価を問い合わせる
(部屋を見に行った時に、ガスボンベをチェックしておく。)
という方法で知ることができます。
また、
『設備費などはありますか?』
ということも、聞いてみましょう。
ガス料金にどのくらい設備費が含まれているのかも、教えてもらえるかもしれません。
(入居する予定になっていれば、ガス会社から確実に教えてもらえます。)
物件を探す時は、いくつかの物件の家賃や間取りなどを比べると思います。
その時に、ガス代も一緒にチェックして比べると良いですね。
それから、地域の相場を知っておくのも役に立ちます。
お目当ての物件のガス料金が安いかどうか、だいたいの目安にできるからです。
地域の相場は、ガス会社変更サービスなどのサイトで調べることができます。
ただ、ガス会社変更サービスのサイトに載っている料金は、戸建ての場合が多いので、注意してください。
地域差などもありますが、賃貸のガス料金はだいたい
基本料金…戸建てより300円前後高い
従量単価…戸建てより70円~100円くらい高い
と思っておくと良いでしょう。
メモ
入居の時には、
『基本料金、従量料金と、ガス料金の中に設備費がどれくらい含まれているか』
も教えてもらえるはずです。
しっかり確認しておいてくださいね。
大家さんにガス会社の変更をお願いする
もし、入居した後で
- 使い過ぎていないのに、どう考えてもガス代が高すぎる
- 入居したころより、ガス代がかなり上がっている
ということがあったら、
大家さんに、ガス会社の変更をお願いしてみましょう。
アパートやマンションのガス料金を下げるには、大家さんに
- 今使っているガス会社への料金交渉をお願いする
- ガス会社を変更してもらう
という、2つの方法がありますが、
ガス会社変更のほうが、効果があります。
なぜかというと、交渉で値下げしてもらっても、しばらくするとまた上がってしまう可能性があるからです。
それよりは、
- 適正価格でガスを提供してくれる
- 不当な値上げはしない
というガス会社にしてもらったほうが、安心です。
大家さんにガス会社変更をお願いするのには、いくつか大事なポイントがあります。
そのポイントをお教えしましょう。
ポイント1 ガス代が高いことを、具体的に伝える
大家さんに相談する時には
- ガスの基本料金と従量料金
- なるべく直近のガスの請求書
- ガス会社変更サービスの料金診断の結果
を持って行きましょう。
『料金診断』は、ガス会社変更サービスのサイトでできます。
『賃貸向け』の診断があるサイトを利用してください。
この診断をすると、
- 今のガス料金が地域相場と比べてどうか
- だいたいどのくらい安くなる可能性があるのか
といったことがわかります。
(診断結果の内容は、ガス会社変更サービスのサイトによって違います。)
診断結果も、プリントアウトして持って行くと良いでしょう。
数字を目に見える形で伝えることで、『料金が高い』ということが伝わりやすくなります。
説得力も増すので、料金の状況や診断結果は、口頭ではなく、目に見える形で持って行ってくださいね。
ポイント2 複数の入居者で一緒に相談する
複数の入居者で相談に行くと、
- 一人の意見ではない
- 他の入居者もガス代に困っている
ということが伝わります。
といっても、大勢で大家さんのところに行くわけにはいかないですよね。
そんな時は、署名を集めて持って行くのも、効果的です。
大勢からの意見となると、大家さんが考えてくれる可能性は広がりますよ。
ポイント3 大家さんにもメリットがあることを伝える
ガス代が安くなると、大家さんにとっては、
- 入居者が長く住みたい物件になる
- 他の物件より選ばれやすくなり、空室も埋まりやすくなる
- 『ガス代が高いから家賃を安くする』という方法をしなくて済む
といったメリットがあります。
このメリットをしっかり伝えてください。
大家さんにもメリットがあるとなれば、気持ちも動きやすくなるでしょう。
大家さんにできるだけ手間をかけさせないことを伝える
大家さんに交渉する時は、
- 『ガス会社変更サービス』を利用すれば、楽に良いガス会社を探すことができる
- ガス会社を変更するにあたって、できることは手伝う
ということも、伝えましょう。
『ガス会社を変える』
ということを、負担に思う大家さんもいるかもしれません。
そのハードルを下げるためです。
ガス会社変更で大変なのは、
- 価格もサービスも優良なガス会社を探す
- 今までのガス会社と解約する
というところですよね。
でも、ガス会社変更サービスでは、その大変なところを代行してくれたり、助けてくれたりします。
しかも
無料
です。
メモ
ガス会社変更サービスについては、こちらの記事で詳しく書いています。
『こういうサービスが利用できますよ』
と、大家さんに伝えてくださいね。
ポイント4 契約期間や残債金がある場合
アパートやマンションのガス会社変更で引っかかりやすいのが、
設備費などの貸付貸与契約の残債金や、契約期間が残っている場合です。
でも、
貸付貸与契約を新しいガス会社に引き継ぐ形にして、今よりガス料金が安くできる可能性もあります。
この場合、どのくらい安くなるかは契約状況や残債金の状況、新しいガス会社の判断にもより、残債金がない場合ほどは、安くならないことが多いです。
また、貸借貸与の契約を引き継いでくれるかどうかも、新しいガス会社次第です
でも、いくらかガス料金が下がる可能性はあるので、
大家さんに、『まずはガス会社変更サービスに相談を』と伝えてみましょう。
ガス会社に値下げ交渉
もし
- 契約の状況などでガス会社を変えられない
- 大家さんがガス会社の変更をOKしてくれない
という場合は、
- 大家さんに、ガス会社への値下げ交渉をお願いする
- 自分で直接、ガス会社に値下げ交渉をする
という方法もあります。
大家さんにお願いする時もガス会社に直接交渉する場合も、大家さんに相談する時同様、
- ガスの基本料金と従量料金
- 直近のガスの請求書
を用意しておきましょう。
ただ、これで確実に料金が下がるかどうかは、やってみないとわかりません。
というのも、もしそのガス会社が不当な値上げをするような会社であった場合、
一旦値下げしても、しばらくするとまた値上げしてしまう可能性があるからです。
それに、
そもそも交渉されて値下げし、その価格を維持できるなら、良心的な会社なら初めから安くしていますよね。
これが、
『値下げ交渉より、ガス会社変更のほうが効果がある』
という理由でもあるのです。
とはいえ、やってみる価値はあります。
ガス会社への交渉の仕方も、こちらの記事に書いてあるので、あわせて読んでみてください。
関連記事:賃貸の家でプロパンガス代を節約したい!ガス会社の変更は可能?
ガス料金がどうにもならない時は?
ガス会社を変えることも出来ず、料金交渉も上手くいかず、できる節約もし尽くした…。
それでもガス代で困っているなら、
- ガス料金が安いところに引越す
- ガスを解約して、電気で賄う
という方法もあります。
もし
- 通勤や通学などに支障がない場所に、ガス料金が安く、良い物件がある
- 契約更新のタイミングなども大丈夫
- 引越しの手間や費用と照らし合わせても、メリットの方が大きい
というなら、引越しを検討すると良いでしょう。
ガスを解約する場合は、
当然、電気代が増えます。
カセットコンロで調理をするとなれば、そのコストもかかりますし、お風呂を沸かすバスヒーターも必要でしょう。
となると、ガス解約は
- ガスでやっていたことを電気で賄うための新しい機器を購入する費用
- 電気に代えた場合に増える電気代
といったことを、よく考えて検討する必要があります。
そもそもなぜ、賃貸でプロパンガスを使うのか?
都市ガスが使える地域なのに、プロパンガスにしているアパートやマンションもありますよね。
「せっかく都市ガスが使えるのに…」
と思うかもしれませんが、
プロパンガスを使うのは、大家さん側にもメリットがあるからです。
どんなメリットかというと
- アパートやマンションにガスを設置する費用が抑えられる
- ガス会社が、エアコンなどのいろいろな設備を無料でサービスしてくれる
- ガス設備のメンテナンス費用も抑えられる
といったことです。
つまり、大家さんにしてみれば、
『自分が出す費用は押さえて、設備を整えられる』
のが大きなメリットなんです。
しかし、これまで書いてきたように、問題は
大家さんが払わないで済んだ分が、入居者のガス料金に乗せられる
ということです。
となれば、入居者ができることは
できるだけ、適正料金のガス会社と契約している物件を選ぶこと。
適正料金のガスの物件を選ぶことは、もちろん経済的なメリットがあります。
でも、それだけではありません。
適正料金の物件を選ぶ人が増えることで、適正料金の物件が増える
というメリットもあります。
つまり、他の賃貸住宅に住みたい人にとっても良いことがあるのです。
物件選びの時にガス料金まで調べるのは、ちょっと面倒かも知れませんね。
でも、後々の生活のためにも、しっかり意識して物件を選んでください。
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まとめ
プロパンガスは、火力も強く、災害にも強く、メリットの多いガスです。
とはいえ、料金が高くなりがちとなると、敬遠したくなりますよね。
でも、料金が適正なガス会社を利用している物件を選べば、経済的な面のデメリットは、軽減できます。
ということは、プロパンガスがメリットだらけのものとして使える、ということです。
ぜひがんばって、良い料金の物件を探してください。
そして、入居した後に、料金が高かったり、値上がりして困ったときは
大家さんに、ガス会社変更をお願いしてみてください。
ガス会社の変更は大家さんにもメリットが大きいです。
今後の経営のためにもなりますし、入居者思いの大家さんなら、きっと考えてくれると思いますよ。