日本は、『災害大国』と言っても過言ではない国です。
特に、ここ数年は、気候変動もあってか、毎年のように大きな水害が起きています。
また、南海トラフの巨大地震が来る確率も、取りざたされています。
となれば、いざという時のための備えが大切ですね。
ライフラインが途絶えた時の食事作りを考えると、カセットコンロも検討したいですよね。
一方で、どんなメリットやデメリットがあるかも、知っておきたいものです。
ということで、今回は
- カセットコンロは防災グッズとして必要か不要か
- 災害時のカセットコンロのメリットやデメリット
について解説します。
ぜひ読んで、災害への備えの参考にしてくださいね!
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防災用品にカセットコンロは必要?不要?
カセットコンロは災害対策として用意するべき?
結論から言うと、
防災用品として、カセットコンロを用意しておくことを強くおすすめします。
災害の時には、電気やガスが止まってしまうこともありますよね。
となれば、電気やガスから独立した熱器具がないと、お湯を沸かすこともできなくなってしまいます。
でも、カセットコンロがあれば、レトルト食品を温めたり、温かいお茶を飲んだりできます。
特に、
- 都市ガス
- オール電化
を利用している人には、必須と言っても過言ではありません。
都市ガスや電気は、プロパンガスに比べて復旧に時間がかかるからです。
また、
『障害のある家族や要介護の家族、ペットがいるなどの事情で、なるべく自宅避難したい』
という人も、ぜひカセットコンロを備えておいてください。
たしかに、『食べられれば良い』というだけなら、不可能ではありません。
でも、災害時は体力を使う作業も多いですし、いつもと違うことや不安なこともあって、心身ともに普段よりもエネルギーを使うものです。
そんなときに温かい食事や飲み物を摂れると、心も体もホッとできますよ!
防災用品としてのカセットコンロの優先順位
カセットコンロは、
『自宅避難のための防災用品』として、優先順位が高いほうです。
温かい食事を作るためだけでなく、
- 井戸水を一度沸かしてから飲む
- 煮沸消毒に使う
といった使い方もできるからです。
東日本大震災の時には、筆者の家も水道が止まり、井戸水を分けてもらいました。
でも井戸水は、場合によっては飲む前に一度沸騰させる必要があるのです。
そういったことも考えると、カセットコンロは優先順位の高い防災用品と言えます。
カセットコンロは避難所でも使える?
災害時にカセットコンロがあるととても助かりますが、
避難所では使えないことも多いです。
ですから、基本的には『自宅避難用の防災用品』と考えておいてください。
なぜ使えないことが多いかというと、
- 人が多い場所、人の通行のある場所で使うのは危ない
- 室内での使用を禁止される可能性がある
- 避難所の敷地内では、駐車場などの屋外でも火気の使用を禁止されたり制限されたりすることもある
といったことからです。
屋外で使えるしても、雨が降ったり風が吹いたりしていると、火がつきにくくなります。
また、温かくない食事を食べる人たちがいる中で自分たちだけ温かい食事をとっていると、他の避難者との間でトラブルになる可能性もあります。
避難所では使えないと考えておいたほうが良いでしょう。
災害時のカセットコンロのメリットとデメリット
災害時でのカセットコンロのメリット
カセットコンロを用意しておくと、災害の時にどんなメリットがあるかというと、
- 電気もプロパンガスや都市ガスも使わず、火が使える
- 簡単に安全に火を起こせて、火の始末も簡単
- 屋内で使える
- 火力が強く、安定している
- 普段使っている鍋やフライパンで調理ができる
ということです。
電気もプロパンガスや都市ガスも要らない
カセットコンロの燃料は、『カセットボンベ』だけ。
電気やガスが止まっていても、使うことができます。
このメリットがあるからこそ、防災用品として重宝されるのです。
火を起こすのも消すのも簡単。
カセットコンロは、
カセットボンベをセットして、つまみを回すだけ
で火を起こすことができます。
着火剤も何も要りません。
火を消すときも、つまみを『消』にするだけで消火でき、消火確認も簡単です。
一方、炭を使う七輪やバーベキュー用のコンロ、たき火などは、
- 慣れていないと、火を起こすのに時間と手間がかかる
- 確実に火が消えたか、注意深く確認する必要がある
といった大変さがありますよね。
カセットコンロなら、素人でも使い始めるのも使い終わるのも簡単で安全なのです。
屋内で使える
七輪やバーベキューコンロなどだと、家の中で使うわけにもいきません。
でも、カセットコンロなら、家の中で、それもテーブルの上で使うことができます。
ただし、
必要に応じて換気をするなど、使い方を守って使ってください。
火力がしっかりしていて、安定している
カセットコンロは、調理をするのに十分で安定した火力を出せるように作られています。
また、
- 着火したすぐ後から強火で使うこともできる
- 火加減をつまみで簡単に調整できるので、弱火でじっくり温めることも、強火でパワフルに火を通すこともできる
というところも便利ですよ。
普段使っている調理器具で調理ができる
カセットコンロでも、普段ガスコンロで使っているのと同じ鍋やフライパンが使えます。
ですから、
- 特別な調理器具を用意する必要がない
- 使い慣れた鍋やフライパンを使える
というメリットがあります。
ただし、
- カセットボンベの部分を覆うほど大きい調理器具
- セラミックや陶板など、蓄熱性のある調理器具
を使うと、ボンベが過熱して爆発する危険性もあります。
調理器具の材質や大きさには、十分注意して使ってくださいね。
災害時でのカセットコンロのデメリット
防災グッズとしてのカセットコンロのデメリットとしては、
- カセットボンベの備蓄や管理も必要
- 気温が低いと火が付きにくいことがある
- 屋外など、風がある所で使うと火が消えてしまうことがある
- コンロは約10年で寿命を迎える
ということです。
カセットボンベの備蓄や管理が必要
当然ですが、カセットコンロを使うには、カセットボンベも必要です。
なので、災害に備えることを考えると、
3日~1週間分のカセットボンベを備蓄しておく必要があります。
何本くらいのボンベが必要か、コンロメーカーの『イワタニ』のサイトによると、
とのこと。
4人家族なら、20本近く必要になる計算になりますね。
さらに、カセットボンベの備蓄を保管するときには
- 直射日光が当たらず、近くに火気のない、40℃以下の湿気の少ない場所に保管する
- 棚の上などの落下しやすい場所を避け、子どもやペットが触らないようにする
- ボンベの使用期限が過ぎないように、使いながら使った分を補充して備蓄する(ローリングストック)
といった注意も必要です。
こういった管理の面倒さが、デメリットの1つです。
気温が低いと火がつきにくいことがある
カセットボンベのガスは、普通の室内なら問題なく使えます。
でも、冬の災害で暖房が使えない状態だと、火がつきにくくなってしまうことがあります。
特に、安いボンベだと、低温では火が付きにくくなりやすいです。
なので、
- 冬の気温を考えてある程度『イソブタン』が入っているカセットボンベを選ぶ
- 冬の気温が0℃、もしくは氷点下になる可能性があるなら、低温の環境に対応できるカセットボンベを選ぶ
といった必要もあります。
なお、アウトドア用のOD缶のカセットボンベには、極寒地対応のものもありますが、
- OD缶はコンロと同じメーカーのボンベを選ぶ必要がある
- 極寒地対応となると、それなりに値段も高い
というデメリットも出てきます。
なお、カセットコンロの火が消えてしまう原因については、こちらの記事で解説しています。
関連記事:カセットコンロが点火しない!電池で点火する仕組みと寿命を解説
屋外など、風がある所で使うと火が消えてしまうことがある
普通のカセットコンロは、風に弱いです。
屋外で使うには、あまり向いていません。
もし屋外でも使う可能性があるのであれば、
- 風対策がされているカセットコンロを用意する
- 風よけのアルミのボードなども用意しておく
といった必要があります。
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コンロにも寿命がある
カセットコンロは、製造から約10年で寿命が来ます。
ボンベを取り付ける部分のゴムパッキンが劣化してしまうのです。
ですから、
災害が来なくてまったく使っていないとしても、製造から10年経ったら買い替えなければなりません。
防災用品は、使う機会がないにこしたことはありませんが、もったいない感じもしますね。
でも、安全のためですから、きちんと買い替えるようにしましょう。
カセットコンロの寿命については、こちらの記事で解説しています。
関連記事:カセットコンロが点火しない!電池で点火する仕組みと寿命を解説
防災グッズに適したカセットコンロの選び方は?
どういうのを選ぶと良いの?
大事なポイントですよね。
まず、基本としておすすめなのが、
『圧力感知安全装置』が付いている
⇒カセットボンベが加熱されてボンベの圧力が高まると、自動的にガスを止めて消火する
『内炎式』である
⇒加熱効率が良く、炎を効率よく調理器具に当てることができる
『ヒートパネル内蔵型』である
⇒コンロの炎の熱の一部をガスボンベに伝えるので、気温が低くてもガスが気化しやすく、火力が安定しやすい
というコンロを選ぶことです。
これは、日常的に使うためにカセットコンロを選ぶ時にも、おすすめのポイントです。
さらに、
屋外で使う可能性がある
⇒風対策がしてあるなど、アウトドアでも使える機種を選ぶ
寒い場所で使う可能性がある
⇒低温時対応のカセットボンベで使える機種を選ぶ
といったことも考えて選ぶと良いですよ。
そして、大事なのが
『自分にとって使いやすいコンロを選ぶ』
ということです。
使いやすいほうが、いざという時に安心して使えますからね。
なお、先にも触れましたが、
真冬に厳しい寒さになる地域で使うなら、真冬のアウトドア向けのカセットコンロとボンベを用意しておくことをおすすめします。
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冬のアウトドア向けだと、下図のタイプのコンロとボンベが多いです。
コンパクトで持ち運びもしやすいですよ!
防災にカセットコンロを用意するときの注意点
カセットコンロを防災用品として用意しておくときには、注意しておきたいことがあります。
それは
- 普段から使い慣れておく
- 使いやすい時に取り出しやすい場所に保管する
- テント内や車内では絶対に使わない
ということです。
普段から使い慣れておく
防災用品で大事なのは、『備えておくだけではなく、使えるようにしておく』ということです。
いざという時に使い方が分からなかったり、上手く使えなかったりしたら、困りますよね。
また、災害時には電気がつかず、薄暗い場所で使うこともあるかもしれません。
そういう状況でも、スムーズに使えるようにしておきたいものです。
なので、
普段から時々使っておいて、使い方や使うときの注意事項などを身につけておきましょう。
保管場所に注意!
防災用品は
- いざという時にすぐ取り出せる
- 落ちてきた物が当たったりしない
という場所に保管しましょう。
どんなに立派な備えをしていても、災害の時に使えなかったら、役に立ちません。
災害時、特に大きな地震の時には、
- 物置にしまったら、物置の戸が開かなくなって出せなかった
- 地震で家の中が散らかってしまい、置いてある場所にたどり着くのが大変
なんてこともありうるものです。
なので、『取り出しやすい場所』にしまっておいてください。
また、カセットコンロはガス器具ですから、壊れたものを使うわけにはいきません。
『地震で落ちたものが当たって壊れたりしない場所』ということも考えて、保管場所を選んでくださいね。
車内やテントでは絶対に使わない
これは車内やテントで避難生活をする場合の注意ですが、
車内やテントなど、狭い空間では絶対にガス器具を使ってはいけません!
- 一酸化炭素中毒になる
- 車両火災やテントでの火災を起こす
- 車内に漏れたガスに引火して爆発する可能性がある
といった重大なリスクがあります。
車内やテントなどの狭い空間でガス器具を使うと、酸素が足りず、一酸化炭素中毒を起こす可能性もあります。
『換気をすれば車内で使っても大丈夫』と言う人もいますが、おすすめしません。
また、テントの布は、ちょっとした火の粉で穴が開いてしまうくらい、火に弱いです。
ちょっとした火でも、ガスの火が移ったら火事になりかねません。
そういった事故を防ぐためにも、車内やテントではガス器具を使わないでください。
せっかく災害で助かった命なのですから、避難生活も安全第一で過ごしましょう!
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まとめ
カセットコンロは、防災用品として、ぜひ用意しておきたいアイテムの1つです。
一台用意しておけば、電気やガスが使えないときでもお湯を沸かせますし、温かい食事を摂ることもできます。
カセットコンロを防災グッズとして用意しておくと
- 簡単に火を起こせて、消火も簡単にでき、扱いやすい
- 火力が安定している
- いつもの鍋やフライパンなどで調理できる
といったメリットがあります。
デメリットとしては
- カセットボンベの備蓄も必要で、ボンベの管理にも注意が必要
- 寒い時や風のある場所では、火がつきにくいことがある
- コンロに寿命があり、使わなくても約10年で買い替える必要がある
といったことがあります。
そこを押さえたうえで用意しておくと良いですよ。
そして
- カセットコンロの使い方を守る
- 災害時にスムーズに使えるように、使い慣れておく
- いざという時に取り出しやすい場所に保管する
- テント内や車内などの狭い空間では絶対に使わない
ということにも、気をつけてくださいね!