寒い朝、着替える前に部屋を暖めたい。ガスファンヒーターは魅力的ですが、壁にガス栓がないと「本体を買えば終わり」とはいきません。
- ガスコンセントの増設費用は、いくらかかる?
- 工事代まで払って、今あるエアコンや石油ファンヒーターより安くなる?
- 賃貸の部屋にも付けられるの?
本体をカートに入れた途端、工事代とコード代も付いてくる。暖房を買うつもりが、なかなかの大買い物ですよね。
プロパンのガス栓工事費は契約会社の現地見積もりで決まり、元が取れるかは「工事+本体+ガスコード」と、今ある暖房の運転費との差で決まります。
たとえばLP単価600円/m³では、後述の仮定でエアコンより1シーズン約1,088円高くなります。給油なしの便利さはうれしいですが、節約目的なら、この差が気になるところです。
本体だけでは始められないガスファンヒーターのガス栓工事費と、導入にかかる総額

新しく部屋にガス栓を付けるときの初期費用は、ガス栓増設工事費+LPガス用の本体代+指定ガスコード代。ガス栓の形によっては接続用プラグ、工事内容によっては壁や床の補修費も加わります。
ガス栓工事は、既存の配管からどれだけ延ばすか、壁の中に通すか、外から引き込むかで変わるんです。台所の近くに付ける場合と、離れた2階に付ける場合では工事内容が違います。
公開されている工事価格は、会社と施工条件ごとの例
2026年10月10日に確認した公開価格の例です。工事の2例は四国ガスの都市ガス向けサービスで、プロパンの料金は契約中のLPガス会社が現地を確認して見積もります。
| 項目 | 金額 | 対象・条件 |
|---|---|---|
| 四国ガスの屋内ガス栓増設 | 約22,000円 | 都市ガス。キッチンから配管3mの例。材料・出張・取り付け費込み |
| 四国ガスの屋外からの増設 | 約30,000円 | 都市ガス。給湯器やメーターから配管5mの例。材料・出張・取り付け費込み |
| リンナイ RC-Y2402PE | 68,200円 | 本体のメーカー希望小売価格。購入するのはLPガス用 |
| リンナイ RGH-D20K | 10,010円 | 2mガスコードのメーカー希望小売価格。都市ガス・LPガス兼用 |
工事費は建物の状況で変わり、本体やコードの販売価格は販売店ごとに違います。プロパンの導入総額は、工事の見積額と機器の購入価格を合わせた金額です。
工事費の表示で気になるのは、ガス栓本体・配管・出張・取り付け・穴あけ後の補修まで含むかどうか。壁紙を直す費用が別なら、その支払いも増えます。暖房の請求書に壁紙まで登場すると、ちょっと驚きますよね。
試算の初期費用は100,210円
仮定:工事費を22,000円、本体を68,200円、2mガスコードを10,010円とした場合、合計は100,210円。工事費の22,000円は四国ガスの都市ガス向け公開例を使った計算上の仮定で、LPガスの工事代は契約会社の見積額になります。
この例は、対応するガス栓が完成し、追加プラグや補修費がかからない条件です。必要な追加工事があれば、初期費用が増えます。
安く動くことが回収の条件プロパンでは、今ある暖房より運転費が下がる?
節約で初期費用を回収するには、同じ部屋を暖める費用が下がる必要があります。ガスファンヒーターを使うたびに高くなる条件なら、使う時間が増えるほど支出も増えるんです。
エアコンとの比較では、LP単価600円で約4.5円/時高い
ガス使用量は、戸建て洋間6畳・設定22℃・外気温5℃での試験値、LPガス0.043m³/時です。試験値の対象は2.44kWタイプ。本体の価格と電力はRC-Y2402PEのものを使います。
比較の仮定:同じ6畳の部屋を同じ22℃に暖める用途で、エアコンの平均消費電力を0.7kW、ガス側の電力を暖房14Wとします。14WはRC-Y2402PEの暖房仕様値。ガス側は試験のガス量と製品の電力仕様を組み合わせた費用例で、エアコン側は想定した消費電力による計算値です。
電気単価は31円/kWh(税込)の目安単価。LP単価600円/m³(税込)なら、ガス側は600×0.043+0.014×31=26.234円/時、エアコン側は0.7×31=21.7円/時になります。
この仮定ではガス側が4.534円/時高く、運転費の差では初期費用を回収できません。LP単価900円/m³では、差は17.434円/時に広がります。
同じ仮定で運転費が並ぶLP単価は約495円/m³。これより低い単価でガス側が安くなります。エアコンの消費電力が変われば、並ぶ単価も変わるでしょう。短時間の使い分けは、ガスファンヒーターとエアコンの運転費比較に具体例があります。
石油との比較は、灯油140円/LならLP約407円/m³で並ぶ
石油との例は、ノーリツGFH-5803SのLP用のガス消費量を5.70kW相当とし、ダイニチFW-5725GRの暖房出力5.70kWと比べた仮定の計算です。ガス側は定格ガス消費量5.81kWを5.70kW相当に比例換算する仮定で、LPガスの高位発熱量100.5MJ/m³、石油側の燃料消費量0.554L/時を使います。
灯油140円/L・電気31円/kWh、2時間の運転で点火1回と仮定し、燃焼中と点火時の電気代を加えると、石油は約83.55円/時になります。LP単価600円/m³のガスは約123.03円/時で、差は約39.48円/時です。
この条件では、LP単価約407円/m³で運転費が並びます。仮にLP350円/m³ならガスが約71.99円/時となり、石油より安くなるんですね。機種・点火の仮定を含む詳しい計算は、ガスファンヒーターと石油ファンヒーターの比較にまとめています。
これは大きな暖房出力での例です。6畳のガス使用量0.043m³/時と、この石油の大火力時の費用では、暖める条件が違います。
安いだけでは、まだ遠い工事費込みで何シーズン使えば元が取れる?

回収にかかるシーズン数は、最初に増える支払いを、冬ごとに減る運転費で割った数です。
回収シーズン数=追加の初期費用÷1シーズンの運転費の削減額
1シーズンの運転費=1時間の費用×1日の使用時間×使用日数
削減額が0以下なら運転費の差では回収できず、削減額が小さいほど回収まで長くかかります。
朝1時間+夜1時間、120日使う2ケース
共通の仮定:今あるエアコンを使い続ける場合と、ガスファンヒーターを新しく導入する場合を比べます。追加初期費用は前述の100,210円、朝1時間+夜1時間で1日合計2時間、120日使って240時間/シーズンです。
ガス0.043m³/時・暖房14W、エアコン平均0.7kW、電気31円/kWhを一定とし、LP単価だけを変えます。料理や給湯で既にLPガスを契約していて、暖房を増やしても基本料金・設備料金が変わらない家庭の仮定です。
| LP単価 | ガス暖房の運転費/シーズン | エアコンとの差 | 100,210円の回収 |
|---|---|---|---|
| 600円/m³ | 約6,296円 | 約1,088円高い | 運転費の差では回収できない |
| 350円/m³ | 約3,716円 | 約1,492円安い | 計算上、約67.2シーズン |
600円のケースは、(600×0.043+0.014×31)×240=6,296.16円。エアコンの5,208円に対して1,088.16円増えるため、節約による回収はできません。
350円のケースは、ガス側が3,716.16円、削減額は5,208−3,716.16=1,491.84円。回収は100,210÷1,491.84=約67.2シーズンで、シーズン単位なら68シーズン目です。
安く動いても、初期費用の回収はずっと先です! 68回の冬。ちょっと待って、そんなに長く同じ暖房を使う予定でしたっけ?
この回収期間は、単価・使い方が同じまま、同じ機器を使い続ける仮定の計算です。途中で修理や買い替えがあれば追加費用が発生するので、今回の条件で節約目的の新規導入を選ぶのは厳しいでしょう。
朝だけ使うなら回収は長く、両方買い替えるなら初期費用の差が変わる
LP350円/m³のケースで、1日6時間×120日の720時間に増やすと、削減額は4,475.52円、回収は約22.4シーズンになります。使う時間が3倍なら、削減額も3倍。逆に、朝の短い時間だけ使う場合は回収が長くなるんです。
エアコンや石油ファンヒーターも新品を買う予定なら、追加初期費用はガス暖房の導入総額−比較相手の購入・設置総額。今ある機器をそのまま使う場合より、差額が小さくなることもあります。
また、ガスをエアコンに追加して両方を使う家庭では、エアコンが減った時間の費用とガスが増えた費用の差になります。ガスを240時間使っても、エアコンの使用が減らなければ、ガス側の運転費がそのまま上乗せです。
暖房用にLPガスを新規契約する場合は、基本料金や設備料金の追加も回収期間に関わります。本体の値引き・工事代・毎月の料金で、結果が変わるわけですね。
工事を頼む前にガス栓の増設は誰に頼む?賃貸と接続の注意
契約中のLPガス会社へ相談し、賃貸は貸主の承諾から
依頼先は、契約中のLPガス会社か、必要な資格を持つガス工事業者です。配管とガス栓をつなぐ工事は、液化石油ガス設備士など必要な資格を持つ人が行います。
相談のときは「ガスファンヒーターを置きたい部屋」「既存のガス栓やメーターの位置」「購入予定の型番」があると、現地確認の話が進みます。工事が可能か、配管をどこに通すか、完成後にコードが通路を横切らないかも、その場で相談する内容です。
賃貸では、穴あけや配管工事の前に貸主・管理会社の承諾が必要です。工事代の負担、退去時の撤去・原状回復も合わせて決めます。分譲マンションでは管理規約や管理組合の承諾が関わる場合があります。
引っ越し代に撤去費まで加わるのは避けたいですよね。
都市ガス会社には最短半日程度の施工例がありますが、LPガスの工事日は現地調査後に決まります。配管を通す距離や建物の構造で、日程も変わります。
完成後の接続には指定ガスコードと、換気が必要
東京ガス公式のガスファンヒーター接続動画です(都市ガスの案内)。
LPガスで使う本体はLPガス用です。都市ガス用の本体は、プロパンでは使えません。接続には機器に指定されたガスコードを使い、一般のゴム管・ビニール管で代用しないでください。
既存のガス栓が対応していれば増設工事をせず使える場合もありますが、古いガス栓には交換や接続部品が必要なことがあります。適合と必要部品は、ガス会社や販売店が確認します。
給油が不要でも、ガスファンヒーターには電源と換気が必要です。使用中は1時間に1〜2回、1〜2分程度の換気を行い、機種の取扱説明書に従ってください。
暖房運転したまま就寝・外出をしないでください。カーテンや洗濯物との距離も必要です。工事では、暖房を置く場所と換気できる窓まで含めて相談すると、設置後の使い方が具体的になります。
買う前に、支払いの全体を工事見積もりとLP単価で、導入するか決める

見積もりを頼むときの質問は、「この部屋への増設工事はいくらですか。本体と指定コード、必要な接続部品、補修費まで含めた総額と、追加費用が出る条件を知りたいです」。金額の内訳があると、本体込みのセット販売とも比べられます。
「工事費無料」の提案なら、対象の施工条件、購入・レンタルの違い、月額料金、解約時の支払いも見積もりの確認事項です。初日に払う額と、毎月払う額の両方が家計にかかります。
運転費の計算に関わるのは、暖房で増えるガス使用量にかかる従量単価。使用量によって単価が変わる契約なら、契約会社に「冬に使用量が増えたら、追加分は1m³いくらですか」と聞くと分かります。基本料金・設備料金と従量料金の違いは、自宅のプロパンガスの従量単価を出す方法で具体例を挙げています。
LP単価が下がると、冬ごとの削減額が増えて回収も早まるんです。会社を選べる戸建てなどでは、エネピでプロパンガス料金を比較する方法も選択肢です。賃貸では供給会社の変更は貸主・管理会社への相談になります。
私なら、今ある暖房で快適に過ごせているかと、給油をやめたいかを分けて考えます。寒い夜の「灯油がない!」がなくなる価値はありますよね。節約で回収する金額と、給油の手間を減らすために払う金額は、それぞれ納得して決めたいところです。
よくある質問(FAQ)
プロパンのガス栓増設も22,000円でできますか?
22,000円は四国ガスの都市ガス向け、屋内配管3mの公開例です。プロパンの工事費は、契約会社が配管の距離や建物の状況を確認して見積もります。
本体を安く買えば、数年で元が取れますか?
初期費用が下がると、削減額がプラスの場合は回収期間が短くなります。運転費が今ある暖房より高い場合は、本体が安くても運転費の差では回収できません。今回のLP600円/m³の例は、そのケースです。
ガス栓がある部屋なら、工事は不要ですか?
使う機器とガスコードに対応したガス栓があれば、増設工事は不要です。古い栓や形の違う栓では、交換や指定の接続部品が必要なことがあります。ガス会社・販売店が対応を確認します。
工事費を払っても、引っ越し先へ全部持っていけますか?
本体やコードは移動できますが、配管やガス栓は建物に設置する設備です。引っ越し先にも対応するガス栓が必要で、ガス種と部屋の広さに合う本体かどうかも関わります。賃貸の退去時の撤去・原状回復は、貸主・管理会社との取り決めによります。
まとめ
ガスファンヒーターの導入費用は、ガス栓工事・本体・ガスコードの合計です。プロパンの工事費は現地見積もりで決まり、毎冬の運転費が今ある暖房より下がると、初期費用の回収が計算できます。
朝晩合計2時間×120日の仮定では、LP600円/m³でエアコンより約1,088円高くなります。LP350円/m³なら約1,492円安くなっても、初期費用100,210円の回収は計算上約67.2シーズン。短時間の利用では、節約額に対して初期費用が大きいんです。
給油なしの暖房を選ぶ楽しみはあります。工事まで含めて払う総額と、冬ごとに増減する運転費が分かれば、「便利さのために導入する」という選び方にも納得できますね。