賃貸住宅でプロパンガスを契約すると、ガス会社から
保証金を預けてください。
と言われることがありますよね。
この保証金、基本的には退居するときに返金してもらえます。
でも、時には
『保証金を返してもらえない!』なんてトラブルになることもあります。
そうですよね。
お金のことでトラブルになるのは、なかなかしんどいです。
ということで今回は、
- そもそも『プロパンガスの保証金』って何なのか
- 保証金トラブルの対処法と予防法
- 保証金トラブルの事例
について調査しました。
ぜひ読んでくださいね!
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そもそもプロパンガスの『保証金』って何?
まず、『プロパンガスの保証金』についてチェックしておきましょう。
プロパンガスの保証金とは?
プロパンガスの『保証金』とは、
プロパンガス契約をする時にガス会社に預けるお金です。
といっても、契約すれば必ず保証金が求められるわけではなく、
『賃貸集合住宅に入居してプロパンガスの契約をすると求められる』
ということがほとんどです。
持ち家一戸建てや、賃貸でも一戸建ての場合は保証金が要らないことも、よくあります。
保証金はいくら?
保証金の金額はガス会社によって違います。
でも、多くの場合は
- 1万円くらい
- だいたい2~3か月分のガス代と同等の金額
というところが多いです。
メモ
プロパンガスの保証金制度は、法律で決まっている制度ではありません。
プロパンガス会社がそれぞれに、『賃貸住宅では保証金を預かる仕組みにする』と決めてこの制度を採用しています。
だから、保証金の額がガス会社によって違うのです。
保証金を求められない・保証金なしにできるケース
先ほども触れましたが、賃貸の一戸建てや持ち家一戸建てでは、保証金を求められることは少ないです。
また、ガス会社によっては賃貸集合住宅であっても、
- 保証人を付ける
- 住民票や印鑑証明などの提出
- 職場の在籍確認
といったことをすれば、保証金なしで契約できることもあります。
要するに、ガス会社が
- ガス代を踏み倒して消えてしまう可能性が低い
- 確実にガス代を払ってもらえる
と判断できれば、賃貸集合住宅でも保証金なしにできることがあるのです。
なぜ賃貸集合住宅では『保証金』を求められるのか
なぜ賃貸集合住宅で、プロパンガスを契約したときに保証金を求められるかというと、
たまに、ガス代を未納のまま、ガス会社に連絡もせずに退居してしまう人がいるからです。
そして、賃貸集合住宅は、一戸建てに比べて入退居が頻繁ですよね。
となれば、ガス代が未納のまま引っ越されてしまう確率も、高くなります。
ガス代を踏み倒されることが度重なると、ガス会社も赤字になってしまいます。
そこで、保証金を預かり、ガス代を踏み倒されてしまった時には保証金で未納分のガス代を相殺するのです。
つまり、プロパンガスの保証金は、ガス会社が確実にガス代を徴収するための仕組みというわけですね。
保証金はいつ預けていつ返してもらえる?
保証金を預けるタイミング
保証金を預けるタイミングは、
多くの場合は開栓確認の立ち合いの時です。
ただし、ガス会社によっては違うこともあるので、ガス会社に確認してください。
保証金を返してもらうタイミング
保証金が返ってくるのは、退居の時です。
返し方としては、
- 全額返してもらえる
- 未納分のガス代を差し引いて返してもらえる
のどちらかであることが、ほとんどです。
全額返金か未払い分を差し引いての返金かは、ガス会社に確認してください。
なお、
保証金の返金を受ける時には、『預かり証』が必要です。
預かり証は確実に受け取り、しっかり保管しておいてください。
返金トラブルの対処と予防
ここからは
- 返金トラブルに遭った場合の対処法
- 返金トラブルを防ぐ方法
について解説します。
返金トラブルに遭ったら
もし、
『返してもらえるはずの保証金を返してもらえない』
といったトラブルに遭ってしまったときには
- 契約書や預かり証を確認する
- 大家さんや管理会社に相談する
- 消費生活センターに相談する
という順番で対処してみてください。
契約書や預かり証の確認
返金トラブルに遭ったら、まず
プロパンガスを契約した時の契約書や預かり証を確認しましょう。
契約書に、
- 保証金がいつ返されるのか
- どういう場合に保証金が返金されないのか
などが、どういう風に書かれているか、確認してください。
また、『預かり証』は『確かに保証金を預かりました』という証拠です。
ですから、もしガス会社が『預かっていない』と言ってきても、預かり証を見せれば証拠になります。
大家さんや管理会社に相談
保証金を返してもらえない場合、一旦、賃貸住宅の大家さんや管理会社に相談してください。
この時に大事なのは、
入居していた間に、ガス会社が変わっていないか確かめることです。
なぜかというと、
入居していた間にガス会社が変わった場合、新しいガス会社は改めて保証金を預からないことが多いからです。
新しいガス会社が保証金を預かっていなければ、そのガス会社には返金を求められません。
ですから、ガス会社が変わっていないか確認したうえで、
ガス会社が変わっていない
⇒大家さんや管理会社で対処してもらえるかどうか相談する
ガス会社が変わっていた
⇒前のガス会社から返金されているかどうか確認する
という対応をしてください。
消費生活センターに相談する
- 大家さんや管理会社の対応では解決しなかった
- 大家さんや管理会社で『対応できない』と言われた
といった場合は、
消費生活センターに相談してください。
消費生活センターへの相談は、
- センターに行って面談で相談する
- 電話で相談する
という、2つの方法があります。
相談するときには
- プロパンガスの契約書や保証金の預かり証
- これまでの経緯をまとめたメモ
を用意しておくと、話が進めやすいですよ。
消費生活センターの電話番号は
局番なしの『188』
この番号にかけると、最寄りの消費生活センターにつなげてもらえます。
覚えておこう!
『消費生活センター』は、契約トラブルや商品トラブル、振り込め詐欺など、生活の中のいろいろなトラブルの相談に乗ってくれる機関です。
プロがアドバイスしてくれるので、安心ですよ。
何かあった時のためにも、『消費生活センター』のことは、ぜひ覚えておいてください。
返金トラブルを防ぐために
保証金の返金トラブルは、できるだけ防ぎたいものですね。
そのためにも、
- プロパンガスを契約する時には、保証金のことも含め、契約書や預かり証の内容をしっかり確認する
- 保証金を預ける時には必ず預かり証を受け取り、きちんと保管しておく
- ガス会社や管理会社、大家さんからのお知らせにはしっかり目を通す
どれも基本的なことですが、基本的なことをしっかりやっておくことが大切です。
契約書と預かり証はしっかり確認・しっかり保管!
契約書と預かり証は
契約書
⇒『どういう内容で契約をしたか』を書いた書類
預かり証
⇒『保証金を預けた』という証拠になる書類
となります。
どちらも、契約したことやその内容、保証金を預けたことを証明する書類です。
なくさないように、大切に保管してください。
保証金は預かり証と交換で預ける
もう1つ大事なのが、
保証金は必ず、預かり証と交換で預けること。
もっとも、普通のガス会社なら、保証金を預かる時には必ず預かり証を渡してきます。
あまりないことではありますが、預かり証の受け渡しでトラブルがあったときは
ガス会社が預かり証を出さない
⇒『預かり証との交換でなければ、保証金は預けられません』と、きっぱり伝える
ガス会社が預かり証を出さず、『保証金を預かれないならガスは供給できません』などと言ってきた
⇒消費生活センターに相談
という対応をすると良いですよ。
入居中にガス会社が変わった場合について
もう1つ気を付けておきたいのが、入居中にガス会社が変わった場合です。
この場合、ガスの契約は新しいガス会社に引き継がれます。
ただし保証金については、先にも書いたように
ガス料金の滞納などがなければ、新しいガス会社が保証金を求めてくることは少ないです。
ですから、ガス会社が変わるときは
- これまでのガス会社に預けた保証金が、いつどのような形で返金されるか、もしくは新しいガス会社に引き継がれるのか
- 新しいガス会社に改めて保証金を預ける必要があるかどうか
をよく確認してください。
保証金を返金してもらえない場合とは?
保証金は、通常であれば、退居する時に返金してもらえます。
ただし、
- 料金の未納分がある
- 未納の料金を払わないままで、ガス会社に連絡もせず引っ越した
といった場合には、保証金は返してもらえません。
また、料金をすべて払っていても、
預かり証を失くしてしまうと、ガス会社によっては返金しない場合もあります。
『預かり証』には、どんなことが書いてある?
保証金を返してもらうのに大切な『預かり証』。
ここで、どんなことが書いてあるのか、一例を見てみましょう。
ご契約にあたり、保証金として10,000円をお預かりします。
保証金は契約終了時に返還いたしますので、保証金預かり証は大切に保管してください。
なお、保証金に利息はつきません。
また、以下の場合を除き、保証金は毎月のガス料金に充当することはできません。
1.ガス料金の滞納により契約を解除した場合は、滞納分に充当します。
2.契約終了の最終月のガス料金のお支払いに充当することがあります。
このように、
- 保証金としていくら預かるのか
- どのような時に返還されるのか
- 保証金をどのようなことに充当するのか
が書かれているのが、預かり証です。
もし
- 金額が書いていない
- 保証金の返還について書いていない
- どういうことに充当するか書いていない
という預かり証だったら、
ガス会社にしっかり書くように伝えるか、消費生活センターに相談してみたほうが良いでしょう。
プロパンガスの保証金トラブルの事例
ここからは、実際にあったプロパンガス保証金の返金トラブルを見てみましょう。
プロパンガス保証金トラブル例
- 預かり証を失くしてしまった
- 「保証金を預けた!」「預けていない!」の平行線になってしまった
- ガス会社が保証金をガスボンベなどの修理に充ててしまった
- 賃貸に住んでいる間にガス会社が変わり、最初のガス会社に保証金を返してもらえない
- 賃貸のガス会社変更でガス会社同士がトラブルになり、保証金を返してもらえない
という、5つの事例を挙げて解説していきます。
ケース1 預かり証を失くしてしまった
返金トラブルに遭った人
アパートから引っ越すことになり、解約の連絡をした時に保証金を返してほしいと言いました。
でも、預かり証は失くしてしまったので、そのことを伝えたら
「預かり証がないと返金できません。」
と言われてしまったんです。
この
『預かり証』を失くしてしまったために、退居の時に保証金を返してもらえない
というのは、よくあるトラブルです。
この場合は、
利用者側の過失なので、どうしても不利になります。
状況によっては、
と言われてしまうこともあります。
ただ、預かり証を失くしてしまっても、返してもらえる可能性がまったくないわけではありません。
通常は、保証金を預かった記録はガス会社でも残してあるはずです。
良心的なガス会社であれば、会社側の記録に基づいて返金してくれることもあるので、交渉してみてください。
ただし、あくまでも過失はこちら側なので、
『返してもらえる可能性もある』というくらいに考えておいてくださいね。
ケース2 ガス会社が保証金を預かっていないと言い張る
返金トラブルに遭った人
ガスを使い始めた時に、ガス会社が『保証金を預けてください』というので、預けました。
確かに預けたのに、退居の時に返してくださいと言ったら
「保証金は預かっていないし、預かった記録もないので返せない。」
とのこと。
預かり証はもらわなかったけど、こちらは確かに預けた記憶があるのに…。
2番目に多いのが、この
『預けた、預けないの水掛け論になってしまう』
というケース。
このトラブルの原因は
- 預かり証を受け取っていない
- ガス会社の方に、保証金を預かったという記録が残っていない
ということです。
ガス会社に記録もなく、利用者は預かり証を持っていないとなれば、お互いの記憶に頼るしかなくなり、解決は難しくなります。
返してもらえる可能性があるかどうかはケース・バイ・ケースですが、ひとまず
消費生活センターに相談してください。
また、このようなトラブルを防ぐためにも、
保証金を預ける時には必ず預かり証を受け取り、保管しておきましょう。
なお、預かり証があるのに『預かっていない』と言い張る場合は、大家さんや管理会社、消費生活センターに相談してください。
ケース3 ガス会社が保証金を設備修理に充ててしまった
返金トラブルに遭った人
保証金を返してもらおうとしたら
「保証金はガスボンベや配管の修理に充てたので、返金できません。」
と言われてしまいました。
ガスは普通に使っていただけだし、メーターが故障したのも、こっちが壊したわけじゃないのに…。
この場合は、
契約書や保証金の預かり証に、保証金についてどう書いてあるかがカギになります。
もし契約書や預かり証に
『ガスボンベや配管の修理が必要になった場合は、その費用を保証金から出す』
ということが書いてあったとしたら、ガス会社が保証金を修理に使ったのは契約違反ではありません。
でも通常、保証金は『料金未納があった場合に、未納分の料金に充てるために預かる』ものです。
ガス設備の修理のためのものではありません。
ですから、仮に入居者が壊してしまったとしても、保証金からではなく、修理代を別に請求するのが筋でしょう。
また、ガスボンベからガスメーターまでは、ガス会社の所有物。
ガスメーターから先の配管は、建物の所有者、つまり大家さんの所有物です。
普通に使っていて壊れてしまったのに、その修繕費用を入居者から預かった保証金から出すって、変な話ですよね?
こういう場合は
- 預かり証やガス契約の契約書の内容を確認する
- 『保証金をガス設備の修理費に充てることがある』などと書かれていない場合は、そのことをガス会社に伝え、返してもらうよう交渉する
- らちが明かない場合は、大家さんや管理会社に相談
- それでも返してもらえない時は、消費生活センターに相談
という対処がおすすめです。
ケース4 ガス会社変更の時に保証金を返してもらえない
ここからは、ガス会社側の問題と言えるケースです。
返金トラブルに遭った人
5年前に賃貸集合住宅に入居し、Xガス会社と契約。
保証金を預け、預かり証を受け取りました。
3年後、大家さんの判断で、住んでいるアパートのガス会社がYガス会社に変更。
でも、ガス会社の変更のお知らせなどをよく見ていなくて、Yガスになったことには、Xガスに問い合わせるまで、気づかずに過ごしました。
しばらくたって引っ越すことになり、X社に
「保証金を返してください」
と連絡したところ、X社からは
「ガス契約はすべてY社に引継ぎ、保証金も返してあります。」
「2年前なのでもう記録はありませんが、絶対に返してあります。
返していないとすれば、ガス料金から保証金分の額を引いてあると思います。」
との返答。
でも、まだ預かり証を持っているし、X社から保証金の返金について連絡を受けたこともありません。
もちろん、返金を受け取ったサインをした覚えもありません。
保証金は多くの場合、
『退居(契約終了)の時に返す』
と決まっていることが多いです。
であれば、本来ならX社とのガス契約が解約された時点で、返金されるはずですよね。
それに、X社がまともなガス会社であれば、保証金を返したなら、
契約者から返金したというサインや捺印をもらうなど、『確かに返した』ということがわかるようにするはずです。
また、2年前なら記録を保存しておく義務のある期間内なので、記録もあるはずです。
さらに、
「保証金分の額をガス料金から引いた“と思う”」
という言い方も、なんだかあいまいですよね。
対処の仕方としては
- Y社に、X社から保証金も引き継いでいるかどうかを問い合わせ、Y社から返してもらえる可能性があるか確認する。
- もしX社が返金しているのであれば、自分のサインや捺印が残っているはずなので、見せてほしいと問い合わせる
- 通帳などで、ガス料金から保証金分の額が引かれているか、確認する
- Y社への保証金の引き継ぎや返金のサインがないのに『返した』と言い張る場合は、管理会社や大家さん、消費生活センターに相談
といった方法があります。
ケース5 ガス会社同士のトラブルで保証金を返してもらえない
返金トラブルに遭った人
アパートに入居した時に、Qガス会社と契約し、保証金を預けて預かり証も受け取りました。
その後、大家さんがガス会社をZ社に変更。
ガス会社が変わってしばらくしてから、Q社に預けた保証金が返ってきてないことに気がついて、問い合わせました。
そしたらQ社の人から
「勝手にガス会社を変えられて、迷惑してるんです。
Z社ともめてるので、決着がつくまでは保証金は返せません。」
とのこと。
その後、引っ越すことになって再びQ社に問い合わせたところ、
「まだ決着がついていないので、保証金は返せません」
と言われてしまいました。
これは、本来はQ社に預けた保証金を返してもらえるはずのケースです。
なぜかというと、
ガス会社同士のトラブルは、契約者には関係のないことだからです。
先にも書きましたが、プロパンガスの保証金は、解約する時や退居する時には、返金されることがほとんどです。
ですから、ガス会社同士でもめたとしても、契約者にきちんと返されるべきですよね。
このようなことがあったら、なるべく早めに
- 管理会社や大家さん
- 消費生活センター
に相談してください。
メモ
物件のガス会社を選ぶ権利は、大家さんにあります。
大家さんが決めたガス会社の変更を、Q社がZ社に掛け合って取り消すことはできません。
もしもガス会社を変更させないために契約者の保証金を返さないのだとしたら、悪質な妨害と言っていいでしょう。
その他のトラブル
たとえば
- 預かり証が手元に残っており、返金の受け取りのサインなどもしておらず、保証金を返金されていないことが確実なのに、ガス会社は『返した』と言い張る
- 大家さんがガス会社を変えたことを理由に、保証金を返してもらえない
- その他、預かり証や契約書に書いてある返金の条件に合っているのに、ガス会社が何かしら理由をつけて返金しない
など、ガス会社の説明ややり方に『おかしいな』と思った時や、返金しない理由に納得がいかない時も、
消費生活センターに相談しましょう。
『もしかしたら自分が悪いんじゃないか?』
『大家さんとガス会社のトラブルだと、どうしようもないのでは?』
などと泣き寝入りせずに、相談してくださいね!
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まとめ
プロパンガスの『保証金』は、
料金の未納がなければ、通常の場合は退去時にスムーズに返してもらえるものです。
でも、時にはトラブルになってしまうこともあります。
中でも多いのが、
- 預かり証を失くしてしまった
- 保証金を預けたのに、ガス会社が『預かっていない』と言って返してくれない
というトラブル。
その他にも、ガス会社側の問題でトラブルになってしまうケースもあります。
でも、
- ガス会社と交わした契約書を保存しておく
- 保証金を預ける時に『預かり証』を受け取り、しっかり保管しておく
この2つで、トラブルに遭ってしまっても解決しやすくなります。
そして、自分でガス会社にかけあっても解決できないときは、
- 大家さんや管理会社
- 消費生活センター
に相談してください。
特に、消費生活センターは契約トラブルのプロが相談に乗ってくれるので、心強いですよ!