冬のガス代が気になると、給湯器のリモコンを1℃ずつ下げたくなりますよね。ボタン一つで節約できるなら、私もそこから試したいです。
- 42℃から40℃へ下げたら、月2〜3千円も安くなる?
- 蛇口で水を混ぜて同じ40℃にするなら、給湯器の設定を下げる意味はある?
- 低温で使うと壊れるという話も気になる。節約したいのに、修理代が増えるのは困る!
節約額を左右するのは、実際に使うお湯の温度と量です。水を混ぜた後の湯温も量も同じなら、設定温度を下げても加熱に必要な熱量はほぼ変わりません。
一方、毎日550Lのお湯を使い、そのお湯を実際に2℃低くできるなら、プロパンガスの計算例では月約1,200円の差が出ます。効率80%、発熱量100MJ/m³、従量単価700円/m³・税込、30日での概算です。
「2℃下げれば誰でも月3千円」とは違います。髪をすすぎながら寒さを我慢する前に、どのお湯を何℃下げるのかを確かめたいところですね。
ここで計算するのは、プロパンガスを燃やしてお湯を作るガス給湯器です。エコキュートのタンクの沸き上げ温度や、ガスと電気を併用する機器の光熱費には、そのまま当てはまりません。
リモコンと蛇口は別給湯器の設定温度を下げても、同じ湯温なら節約は小さい

給湯器の「50℃」は、給湯器から送るお湯の設定です。シャワーで肌に触れるお湯が50℃、という話ではありません。
浴室のサーモスタット混合水栓は、お湯と水を混ぜて、ハンドルで選んだ温度に調整します。台所のレバー式の蛇口でも、水を混ぜれば使う湯温は変わりますよね。
50℃のお湯に水を混ぜて40℃にすると、どうなる?
水温10℃、使うお湯は40℃・10Lとしましょう。配管で冷める分を除くと、次の二つは同じ熱量で作れます。
- 給湯器50℃:50℃のお湯7.5Lに、10℃の水2.5Lを混ぜる。
- 給湯器40℃:40℃のお湯10Lを、そのまま使う。
50℃まで温める方は、給湯器を通る水の量が少なくなっています。温める量と温度差を掛けると、7.5L×40℃=10L×30℃。水を温める仕事は同じなんです。
「熱いお湯を作ってから水を混ぜるのは、全部ムダ」という計算にはなりません。混ぜた後のお湯の量をそろえて比べる必要があります。
実際のガス使用量には、機器の効率、配管の放熱、温度が安定するまでに流す量も関係します。差が完全にゼロになるとは限りませんが、リモコンの50℃を40℃にした差だけで、大幅な節約額を計算するのは早計です。
自動湯張りの「ふろ温度」も確認
自動湯張り機能のある給湯器には、蛇口・シャワー用の給湯温度と、自動で浴槽にためるお湯のふろ温度を別々に設定できる機種があります。
給湯温度を42℃から40℃へ下げても、ふろ温度が42℃のままなら、自動湯張りの200Lまで2℃下がった計算にはできません。リモコンに数字が二つあると、どちらを変えたか分からなくなりますよね。
浴槽に蛇口からお湯をためる場合は、その蛇口から出る湯温が対象になります。自動湯張り中の同時給湯には機種ごとの動作もあるので、設定はお使いの取扱説明書に合わせてください。
実際の湯温も2℃下げるなら42℃から40℃の節約額は、3人の計算例で月約1,200円

今度は、シャワーも湯張りも台所も、実際に使うお湯を2℃低くする場合です。毎日の湯量を同じにして、温めるためのガス代の差を計算します。
1日の湯量は550L、単価は700円と仮定
3人で毎日シャワーを使い、浴槽にもお湯を張る家庭を想定しました。以下は計算用の例で、3人家族の平均使用量ではありません。
| 用途 | 計算の前提 | 1日の湯量 |
|---|---|---|
| シャワー | 10L/分×10分×3人 | 300L |
| 浴槽への湯張り | 200Lを1回 | 200L |
| 台所 | 食器洗いなどで50L | 50L |
| 合計 | 水を混ぜた後、実際に使う量 | 550L |
10分のシャワーを3人分足すと、300L。鼻歌が二番まで続く日は、10分を超えているかもしれませんね。10分はシャワーを実際に流している時間で数えます。
料金計算には、次の仮定を使いました。
- 温度差:2℃。リモコン表示だけでなく、使うお湯が2℃下がる。
- 給湯効率:80%=0.80。ガスを燃やした熱の8割がお湯に渡る想定。
- プロパンガスの発熱量:100MJ/m³。計算用の概数。MJは熱量を表す単位です。
- 従量単価:700円/m³・税込。地域の相場や推奨価格ではなく、仮の単価。
- 期間:30日。全日で同じ湯量を使う。
熱量からガスの量、月額へ換算
水1Lを1℃温める熱量を約0.004186MJとして、計算はこうなります。
- お湯に必要な熱が減る量:550L×2℃×0.004186=約4.60MJ/日
- 効率80%なので、減るガスの熱量:4.60÷0.80=約5.76MJ/日
- ガスの体積に換算:約5.76÷100=約0.0576m³/日
- 30日分の従量料金:約1.727m³×700円=約1,209円/月
途中の小数を丸めずに計算した結果です。この家庭例なら、実際の湯温を2℃下げる差は月約1,200円。年中同じ使い方が続くとは限らないので、そのまま12倍した額を年間の実績にはできません。
計算したのは、新しく使うお湯を温めるためのガス代の差です。配管の放熱、点火・停止の影響、追い焚き、電気代、水道代は別になります。効率80%も仮の値なので、お使いの給湯器での実測額とは違いますね。
同じ550L・2℃差でも、仮の効率を95%に置き換えると、月の差額は約1,020円になります。高効率の機器はもともと少ないガスで温めるので、2℃下げたときに減るガス量も小さくなるんです。
湯張り温度を変えなければ、月約770円
シャワー300Lと台所50Lだけを2℃下げ、浴槽の200Lは元の温度のまま使うなら、対象は350L/日です。同じ効率・発熱量・単価・日数で、差は約769円/月になります。
浴槽だけ200Lを2℃下げる場合は、約440円/月。どこまで温度を変えるかで金額は変わるので、家族が熱めのお風呂を希望するなら、550L全部を対象にした数字は使えません。
月3千円には条件がある2℃下げて月2〜3千円になるのは、どんな家庭?
同じ2℃差でも、お湯をたくさん使う家庭ほど削減額は増えます。月2〜3千円という数字自体が不可能なわけではありません。
対象のお湯をすべて2℃下げる・効率80%・発熱量100MJ/m³・単価700円/m³税込・30日をそろえると、計算結果は次のとおりです。
| 2℃下げるお湯の量 | 月のガス削減量 | 月の従量料金の差 |
|---|---|---|
| 200L/日 | 約0.628m³ | 約440円 |
| 350L/日 | 約1.099m³ | 約770円 |
| 550L/日 | 約1.727m³ | 約1,210円 |
| 910L/日 | 約2.857m³ | 約2,000円 |
| 1,370L/日 | 約4.301m³ | 約3,010円 |
2℃差・700円/m³のまま月2千円を減らすなら、お湯は約910L/日。月3千円なら約1,370L/日が必要です。先ほどの550Lの例より、かなり多いですね。
550L/日のままなら、温度差を約3.3℃にすると月約2千円、約5℃なら月約3千円になります。ただし、これは温度差の逆算です。寒い日に5℃下げて我慢する目標ではありません。
単価が違う場合も結果は変わります。仮に1,200円/m³・税込なら、550L/日・2℃差で月約2,070円。いずれも計算上の例で、その単価が全国共通という話ではありません。
「約9%省エネ」を請求総額に掛けない
水温20℃の水を42℃まで温めると、温度差は22℃です。40℃にすれば20℃差になるので、減る熱量の割合は2÷22=約9.1%。これがお湯の加熱で約9%減る計算です。
冬の水温を10℃と仮定すれば、42℃までの差は32℃。同じ2℃低下でも、割合は2÷32=6.25%に変わります。
給湯の加熱量が9%減ったからといって、基本料金やコンロの使用分まで含むガス請求総額が9%下がるわけではありません。「今月1万円だったから900円引き」という計算は避けたいですね。
低ければよい、とは限らない温度を変える前に、混合水栓とやけどの注意を確認
節約の計算ができても、シャワーがぬるくなったり、台所で熱いお湯が出たりしては困ります。給湯器と水栓、両方の取扱説明書に合う設定が必要です。
サーモスタット混合水栓は、50〜60℃設定が目安
浴室によくある、温度の目盛りとシャワー・蛇口の切り替えハンドルが付いたタイプは、サーモスタット混合水栓です。水を混ぜて温度を調整するため、給湯器を使いたい湯温より高く設定します。
50〜60℃が目安ですが、お使いの製品の指定を優先してください。節約するなら、給湯器側は指定に合わせ、水栓側で実際に使う湯温を無理のない範囲で下げる方法があります。これなら、先ほどの「使う湯温の差」で計算できますね。
台所のレバー式や、お湯・水のハンドルが別になった混合水栓も、水を混ぜて使います。50℃前後〜60℃の設定が目安になるタイプがありますが、家の水栓を全部一律に60℃へ上げる必要はありません。
お湯だけを出し、水と混ぜずにそのまま使う蛇口は別です。40℃前後など、用途に合った湯温を給湯器で選びます。混合水栓向けの50〜60℃を、水を混ぜられない蛇口にそのまま当てはめないでください。
TOTOの公式動画「給湯器の設定温度を上げる」です。冒頭0:00からの操作例をご覧ください。
「40℃以下だと壊れる」「高温ほど高効率」は決めつけない
給湯器には、35℃や32℃などの低温出湯に対応する機種もあります。低い設定温度を選べることと、使っている水栓がその温度で快適に動くことは、別なんです。
40℃にしただけで給湯器や水栓が必ず壊れる、という一般化はできません。水栓の推奨温度に合わせる理由は、まず希望の湯温を安定して出すため。ぬるいお湯しか出ない状態を、そのまま節約だと思って使い続けるのは避けてください。
また、「給湯器は高温ほど効率がよいから、60℃なら必ず安くなる」とも限りません。効率は機種や運転条件で変わり、配管で冷める量にも差があります。設定温度を上げただけで、先ほど仮定した80%が決まった割合で上がる計算にはできません。
温度が急に変わる、エラーが出るなどの異常がある場合は、取扱説明書の案内に従い、販売店やメーカーへ相談してください。
設定変更は、家族がシャワーを使っていないときに
シャワー使用中に別のリモコンから給湯温度を上げると、高温のお湯が出てやけどするおそれがあります。温度を変える前に、ほかの場所でお湯を使っていないか確認してください。
変更後は、台所や洗面所も含めて、使う前に湯温を確かめます。混合水栓でも、お湯側いっぱいに操作すると熱くなることがあります。浴室のために上げた設定が、台所にも関係する点は忘れたくないですね。
夏は水温が高く、流量が少ないと設定より熱いお湯が出る機種もあります。リモコンに40℃と出ていても、毎回その温度だとは限りません。
自宅の単価でやり直す無理なく下げられる湯温と、月の差額を確かめる
私なら、家族のお風呂をいきなりぬるくする前に、リモコンの表示と浴室の水栓を確認します。寒いシャワーの苦情は、お風呂場からよく聞こえるので。
- 給湯器と水栓の型番・取扱説明書を確認。低温設定ができるかだけでなく、水栓に必要な給湯温度も読みます。自動湯張りは「ふろ温度」を別に確認してください。
- お湯を使っていないときに設定を調整。混合水栓では、給湯器を製品の指定温度に合わせてから、蛇口側で湯温を調整します。変更後は、体にかける前にお湯の温度を確かめてください。
- 温度を下げた用途と量をメモ。シャワーだけ温度を下げたなら、計算する湯量はシャワー分だけです。湯張りも変えたら、浴槽の分も含めます。温度計で比べるなら、水を混ぜた後のお湯が安定してから測ってください。
- 検針票の従量単価で差額を計算。計算に使うのは、減る使用量に掛かる従量単価です。税込・税抜の条件もそろえます。単価が分からなければ、料金表を読むか、ガス会社に問い合わせてください。
今回の効率80%・発熱量100MJ/m³の仮定を使うなら、式は次のとおりです。
月の差額(円)=温度を下げるお湯の量(L/日)×実際の温度差(℃)×0.004186÷0.80÷100×日数×従量単価(円/m³)
同じ湯温に混ぜ直す場合、この式に入れる温度差は0℃です。リモコン表示の差を入れないでください。料金が使用量ごとに段階で変わる契約なら、減る分に適用される単価で計算します。
試してぬるすぎるなら、湯温は戻して構いません! 洗っている間だけシャワーを止めるなど、使う量を減らす方法もあります。温度を下げたぶんシャワーが長くなったり、追い焚きが増えたりすれば、温度だけの計算とは結果が変わります。
入浴方法そのものを比べたい場合は、湯船とシャワーのガス代を、流す時間と単価で比べる記事をどうぞ。お湯の出る量や同時使用で困っている場合は、冬のシャワーと台所から給湯器の号数を考える記事が役立ちます。
同じ使用量で比べて単価が高いなら、料金も見直す
温度を下げられる範囲には限りがあるんですよね。プロパンガスの従量単価が、同じ地域・同じ使用量で比べた見積もりより高いなら、会社ごとの料金も比較する余地があります。
たとえば単価差が税込100円/m³、月20m³なら、従量料金の差は100円×20m³=月2,000円。これは仮の比較で、実際には基本料金や設備料金、変更にかかる費用も含めて判断します。
従量単価が高い場合の、エネピを使ったプロパンガス料金の比較方法
賃貸などで供給会社を自分で選べない場合は、変更できるか管理会社・貸主に確認が必要です。今回の700円/m³という仮定だけで、自宅の料金が高いとは決められません。
よくある質問
給湯器の設定温度は、40℃と50℃のどちらが節約になりますか?
水を混ぜた後、どちらも同じ温度・同じ量を使うなら、必要な加熱量は同じです。給湯器側の温度は水栓の指定に合わせ、節約額は実際に使う湯温の変化で考えてください。
給湯温度だけ下げたら、浴槽のお湯も低くなりますか?
自動湯張りのふろ温度を別に設定する機種では、浴槽の設定も確認が必要です。蛇口で湯張りする家は、その蛇口の湯温を確かめます。どちらの方式かによって、計算に含める量が変わるんです。
夏でも2℃下げれば、冬と同じ額を節約できますか?
対象の湯量・温度差・効率・単価・日数が同じなら、今回の式で求める差額は同じになります。ただし、夏と冬で元の湯温や使用時間、機器の動作が変われば実際の額も違います。冬の使用量で出した数字を、夏の請求予測にそのまま使うのは無理がありますね。
翌月のガス代が下がれば、温度設定の節約効果だと判断できますか?
請求額だけでは、温度設定による差を分けられません。水温、検針日数、入浴回数、ガス単価も変わるからです。使用量m³と日数、湯温を変えた用途を記録し、単価変更も確かめると比較できます。
まとめ
給湯器の設定温度を下げて節約できるかは、実際に使う湯温も下がるかで変わります。水を混ぜ直して同じ温度・同じ量にするなら、加熱量はほぼ変わりません。
1日550Lを実際に2℃下げる計算例は、効率80%・発熱量100MJ/m³・税込700円/m³・30日で月約1,200円。同じ条件で湯張りを変えず、350Lだけが対象なら約770円です。月2〜3千円には、より多い湯量、大きい温度差、高い単価などの条件が必要になります。
給湯器と水栓の指定を守り、無理なく使える湯温・量で計算するのが、続けやすい節約です。寒いお風呂を我慢した成果が数百円なら、私はシャワーの流しっぱなしや単価の方も見直したいです。