『鉄製のフライパン』って、『素材に火が通りやすく、料理が美味しく仕上がる』と言われますよね。
そうなんです。
鉄のフライパンは、最初に『空焼き』と『油ならし』という手入れが必要です。
この2つの手入れを『シーズニング』と言います。
でも、シーズニングはそんなに難しくありません。
やり方とポイントがわかれば、自分でできますよ!
また、手入れのためにも、空焼きや油ならしの方法は覚えておきたいものです。
ということで、この記事では
- 鉄製フライパンの空焼き・油ならし(シーズニング)のやり方
- 鉄製フライパンの使用前、使用後のメンテナンスの仕方
について解説します。
ぜひ読んで、鉄製フライパンを使いこなしてくださいね!
スポンサーリンク
鉄製フライパン最初のお手入れ1 『空焼き』のやり方
『空焼き』の手順
ではまず、『空焼き』の仕方から見ていきましょう。
メモ
この記事では、空焼きと油ならしの『基本的なやり方』を解説します。
フライパンに付いている説明書きと違う場合は、説明書きのほうに従ってくださいね。
用意するもの
- 中性洗剤
- スポンジか植物製のタワシ
- 厚手の鍋つかみや乾いた布巾など(滑りにくく、フライパンの取っ手をしっかり握れるものを使う)
- ガスコンロ、またはカセットコンロ
- タワシ
- 乾いた布巾2枚(フライパンを拭くため)
なお、空焼きは、IHコンロではできません。
キッチンのコンロがIHの場合は、カセットコンロを用意してくださいね。
step
1フライパンを洗う
まず、フライパンを中性洗剤とスポンジで洗います。
新品のフライパンでも小さなごみやホコリが付いていることがあるので、よく洗ってください。
洗った後は乾いた布で水気をしっかり拭き取っておきましょう。
step
2換気を確保する
空焼きを始める前には、必ず
- 換気扇を回す
- 窓を開ける
などして、換気できるようにしてください。
防錆の塗装が気化するのを、なるべく吸い込まないようにするためです。
step
3フライパを火にかける
換気が確保できたらフライパンをコンロにかけ、
- 最初は中火
- フライパンが温まってきたら強火
で熱していきます。
強火で熱するとフライパンから煙が出ることがありますが、そのまま熱し続けてください。
熱していると、フライパンの色が少しずつ青や灰色に変わっていきます。
フライパン全体が同じ色になるように、火を当てる部分を変えながら
- フライパンの底や底の端
- 側面
- 内側
- 外側
もよく見て、まんべんなく熱していきましょう。
フライパンの色が変わるのは、塗装が気化するためです。
色ムラがある場合は、『塗装がきれいに落ちていない』ということなので、ムラがなくなるように火を当ててください。
全体がまんべんなく同じ色になって煙が出なくなったら、火を止めます。
メモ
製品によっては、熱した部分が一時的に虹色になることがあります。
これは異常ではなく、防錆塗装が溶けて起きる現象です。
最終的に青や灰色になっていくので、気にしなくて大丈夫ですよ。
step
4冷まして洗う
焼きが終わって火を止めたら、フライパンをそのまま五徳の上に置き、冷めるのを待ちます。
厚さによっては、冷めるまで小一時間くらいかかることがあります。
触れるくらいまで冷めたら、お湯とスポンジ、中性洗剤で残った塗装をよく洗い流しましょう。
洗い終わったら、水分をよく拭き取ってください。
これで『空焼き』は完了です。
空焼きは結構時間がかかりますし、根気がいる作業です。
時間が取れるときにやってくださいね。
空焼きをするときの注意点
空焼きをするときには
- しっかり換気しながら行う
- 取っ手を握るときは、厚手の鍋つかみや乾いた布巾などを使って、しっかり握る
- 熱し終わったら、冷めるのを待ってから洗う
- 洗剤は中性の洗剤を使う
ということに注意をして行ってください。
空焼きをしているときのフライパンは、けっこう熱くなります。
取っ手が熱くなってもしっかりつかめるように、鍋つかみなどを使いましょう。
それから、熱し終わったフライパンにいきなり水をかけると、急な温度変化で変形してしまう可能性があります。
触れるくらいの温度になるまで、ゆっくり待ってください。
『洗剤は中性洗剤を使う』ということも、大事です。
新品のフライパンなら汚れも少ないので、アルカリ性や酸性の洗剤を使う必要はありません。
特に酸性の洗剤は錆の原因にもなりかねないので、避けましょう。
鉄製フライパン最初のお手入れ2 『油ならし』の仕方
空焼きができたら、次は『油ならし』です。
しっかり油ならしをすると、食材が焦げ付きにくく、使いやすいフライパンになりますよ。
メモ
油ならしは、IHコンロでもできます。
油ならしの手順
用意するもの
- 油 1/2~1カップ(100~200ml)
- キッチンペーパー
- 菜箸
一番おすすめなのが、サラダ油です。
|
サラダ油は食用油の中の『乾性油』という種類の油で、しっかりした皮膜を作りやすいのです。
乾性油には他にも
- 亜麻仁油
- ベニバナ油(サフラワー油)
- ひまわり油
- えごま油
がありますが、サラダ油を使ったほうがコスパが良いですよ。
では、手順を見ていきましょう。
step
1加熱して水分を飛ばす
最初に、
フライパンを中火にかけ、2~3分加熱して水分を飛ばします。
はい、そうです。
洗った後に布で拭いても、水分が残っていることがあるからです。
水分が飛んだら、一旦火を止めてください。
step
2油を入れて加熱する
フライパンに1/2~1カップくらいの油を入れ、弱火で約3分加熱します。
火にかけながら、
フライパンの縁ギリギリまで油が行き渡るように、慎重にゆっくりとフライパンを回してください。
油をこぼさないように気を付けてくださいね。
この工程でフライパンの表面に脂の膜ができて、食材がくっついたりフライパンが錆びたりするのを防ぐことができます。
油から煙が出るくらい加熱されて油が行き渡ったら、火を止めます。
step
3余分な油を取り除く
火を止めたら、油をオイルポットに戻します。
|
そして
キッチンペーパーで油を全体に擦り込むようにしながら、余分な油を拭き取ります。
このとき、油の付いたキッチンペーパーで、フライパンの縁や裏側までまんべんなく油を塗ってください。
これで油ならしは完了です。
なお、買ったばかりのフライパンは、頻繁に揚げ物をすると油なじみが早くなりますよ。
油ならしをするときの注意点
油ならしをするときに必ず守ってほしいのは
『弱火で加熱する』ということです。
なぜかというと、
火力が強いと、フライパンの縁に油を行き渡らせるために回したときに、引火してしまう可能性があるからです。
また、フライパンを回すときには油がこぼれないように十分注意してください。
『金気(かなけ)』が気になるときは
そのにおいや風味は、『金気』です。
金気が気になるときは、
- 玉ねぎの外側の皮
- 人参のヘタや皮
- セロリの葉
などの野菜くずを炒めると良いですよ。
特にセロリやネギなど、香味野菜のくずを使うと、金気が取れやすいです。
野菜くずを炒めた後は、必ず
- 野菜くずをフライパンから出す
- フライパンが冷めてからお湯で洗う
- 水気を拭き取る
- 火にかけて水分を飛ばす
- 油を塗りこむ
という方法で手入れをしてくださいね。
鉄のフライパンはなぜシーズニングが必要なの?
『空焼き』や『油ならし』をする理由
なぜ鉄製フライパンを買ったら使う前に空焼きや油ならしをしなければならないのかというと
空焼き
⇒流通段階で錆が付くのを防ぐための塗装がしてあるのを、火に当てて落とす
油ならし
⇒フライパンに油をなじませ、表面に薄い油の膜を作ることで、食材が焦げ付くのを防ぐ
ということのためです。
ただし、防錆塗装の落とし方に関しては、
- 洗剤で洗ってから空焼きをする
- 洗剤で洗うだけ
という2通りの落とし方があり、製品によって違います。
フライパンを買ったときには、空焼きが必要なのか、洗剤で洗うだけでよいのか、説明書を確認してください。
シーズニング不要の鉄製フライパンもある
ここまで、シーズニングの方法を解説してきましたが、
空焼きや油ならしの要らない鉄製フライパンもあります。
たとえば、
といった製品です。
シーズニングの作業が減るので、楽ですよ。
ただし、
空焼きや油ならしが要らないフライパンでも、使う前後のメンテナンスは必要です。
鉄製フライパンを使う前・使った後のメンテナンス
最後に、鉄製フライパンの普段の手入れの仕方をざっと見ておきましょう。
普段の手入れには
- 鉄製のフライパンを使う前にする『油返し』
- 鉄製のフライパンを使った後の手入れ
があります。
使う前には『油返し』をしよう!
『油返し』は、フライパンに油をなじませるためにするメンテナンスです。
『鉄製フライパンは焦げ付きやすい』と思う人もいますが、油返しをきちんとしておくと料理が焦げ付きにくくなります。
油返しの仕方は、
- 中火で、フライパンから煙が出る寸前くらいまで加熱する
- 大さじ3杯くらいの油を入れて、弱火で約3分加熱し、油をよくなじませる
- 火を止め、余分な油をオイルポットに戻す
これで、油返しは完了です。
油返しをしたあとは、改めて調理に必要な量の油を入れて調理をしてください。
油返しをしたからといって油を入れずに調理すると、焦げ付きの元になります。
使った後の手入れの方法
鉄のフライパンは、使い終わったら
- 料理をすぐに食器や容器に移す
- フライパンが手で触れるくらいに冷めたら、すぐに洗って乾燥させる
- 油を塗っておく
というメンテナンスをしておきましょう。
料理を入れっぱなし、食材のカスや調味料が付きっぱなしだと、フライパンが錆びやすくなります。
使ったら早めに洗ってくださいね。
注意
アツアツのフライパンにいきなり水をかけて洗うと、水が厚くなって跳ね、やけどする可能性があります。
ある程度温度が下がってから洗ってください。
洗い方は、
- フライパンがまだ温かいうちに、お湯を使ってたわしなどで洗う(洗剤は使わないこと)
- 汚れが落ちたら水気を拭き取る
- 中火で加熱して、水分をしっかり飛ばす
- フライパンの内側に、キッチンペーパーなどを使って油を擦り込む
洗剤を使うと、フライパンになじんだ油が落ちてしまいます。
必ずお湯だけで洗うようにしましょう。
(水で洗っても大丈夫ですが、お湯のほうが汚れ落ちが良いです。)
どうしても汚れが取れない場合は、洗剤を使ってもOKです。
ただし、洗剤で洗った後は必ず、油ならしをしてください。
焦げ付いたり錆びたりしたときの対処法
きちんと手入れをして使っていても、フライパンに焦げや錆が付いてしまうこともありますよね。
そんなときの対処法を簡単に紹介します。
焦げた場合の対処法
フライパンが焦げてしまった場合は
- フライパンに、焦げの部分が水に浸るくらいの量の水を張る
- 中火で加熱する
- 焦げ付きが柔らかくなったら、金属たわしや金属のヘラなどで焦げ付きをこそげ落とす
- 汚れをよく洗い流し、水分を拭き取る
- 中火で加熱して、水分を飛ばす
- 油ならしをする
という方法でメンテナンスしてみてください。
なお、金属のヘラやたわしでこするのは、焦げ付きや錆を落とす時だけにしましょう。
普段から使うと、油膜が剥がれて焦げ付きやすくなることがあります。
錆びた時の対処法
フライパンが錆びてしまった時は、
- 金属のヘラで錆の部分を削って落とす(この段階では、ヘラで削り落とせる分だけでOK)
- 錆をざっと落としたら、フライパンに水を入れて沸騰させる
- 汚れが浮いたお湯を捨てて、フライパンを少し冷ます
- タワシで錆をこすり落とす(タワシだけでは錆が落ちない場合は、クレンザーを使ってもOK)
- 汚れや錆をよく洗い流す
- 火で熱して水分を飛ばし、しっかり乾燥させる
- 空焼きと油ならしをする
という手順で錆を落とすことができます。
フライパンが焦げたり錆たりしたときの対処法については、こちらの記事に詳しく書いてあります。
併せて読んでくださいね。
関連記事:焦げたりサビた鉄製フライパンを再生させる!正しい手入れを解説!
スポンサーリンク
まとめ
鉄製のフライパンは、買ったら使う前に
空焼き
⇒火にかけて、フライパンに塗ってある塗装を落とす
油返し
⇒フライパンに油を入れて火にかけ、油をなじませて焦げ付きにくくする
というシーズニングの作業が最初に必要です。
この作業が面倒な人は、『空焼き・油返し不要』『買ってすぐ使える』と書いてある製品を買うと良いです。
|
また、日常的にも
使う前の『油返し』
⇒フライパンを熱して油を入れ、なじませる
使った後の手入れ
⇒お湯で洗ってから火にかけて水分を飛ばし、油を塗り込む
というメンテナンスが必要です。
ちょっと手間がかかる感じがするかもしれませんが、
メンテナンスをしながら使うことで、フライパンはだんだん使いやすく、手にもなじんできます。
これが『鉄のフライパンは“育てる”ものだ』と言われるゆえんです。
鉄のフライパンは、メンテナンスをしながら丁寧に使えば、何十年も持ちます。
ぜひ、日々の食事作りの相棒として育てて、大切に使ってくださいね。