料理に掃除にと、日々の暮らしの中で活躍してくれる『重曹』。
重曹には、
- 食用
- 掃除用
- 医療用
の3種類があります。
この中で私たちがよく使うのが、『食用』と『掃除用』ですね。
食べ物にはきちんと『食用』を使うことが大切です。
間違ってしまうと、気がかりですよね。
そこで今回は
- 掃除用の重曹を食べてしまっても大丈夫なのか
- 食用重曹と掃除用重曹の違い
についてチェックしていきます。
ぜひ読んでくださいね!
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掃除用の重曹を食べても大丈夫?
掃除用の重曹を食べてしまったら害がある?
結論から言うと、
掃除用の重曹を少し食べてしまったくらいで体に害が出ることは、まずありません。
食用でも掃除用でも、『重曹』であることには変わりありませんからね。
ただし、
掃除用の重曹は、『食品』としての品質を保証されているわけではありません。
製造過程での扱い方や流通の段階での管理なども、『食品ではないもの』として扱われています。
つまり、衛生管理は食用の重曹ほど徹底されていないのです。
なので、やはり掃除用の重曹は食べないほうが良いです。
掃除用の重曹を食用の重曹の代用にするのも、NGですよ!
大量に食べてしまった場合は?
重曹はそもそも、調理で一度に大量に使うことはありません。
苦みもありますから、『大量に食べる』シチュエーションそのものが、あまり考えられないのです。
でも、万が一大量に食べてしまった場合は、掃除用か食用かに関わらず
- 生卵かコップ1~2杯の牛乳(どちらもなければ、コップ1~2杯の水)を飲む
- 嘔吐や下痢などが起きた場合、いつもと明らかに様子が違う場合は、病院で診てもらう
というふうに対処してください。
『症状は出ていないけど心配』というときも、病院に相談してくださいね。
一番大切なのは、『大量に食べるようなことが起きないようにすること』です。
重曹は
- 子ども
- 認知症などのある人
- ペット
の手の届かない所に保管しましょう!
参考 石鹸百科『誤飲時の対処法:石鹸・重曹・セスキ炭酸ソーダ・炭酸ソーダ』
食用の重曹なら水に入れて飲んでも良い?
『重曹水を毎日飲むと健康に良い』『重曹水を飲んでダイエットやデトックスができる』といった情報もありますが、
食用であっても、日常的に重曹水を飲むのはおすすめしません。
摂りすぎると良くないですし、効果も期待できないからです。
重曹は、胃酸と反応すると『塩』『二酸化炭素』『水』になります。
重曹の摂りすぎは『塩の摂りすぎ』にもなるので
- 高血圧やむくみ、頭痛が出たり、味がわかりにくくなったりする
- 高血圧や動脈硬化、不整脈など循環器系の病気
- 腎臓の病気
- 尿路結石など、泌尿器の病気
- 骨粗しょう症
といったリスクがあります。
健康で持病などのない人が許容量を守って飲むなら、体に害が出る可能性は低いです。
(持病のある人は、医師に相談してください。)
でも、重曹水を飲むことで得られるとされている健康効果は、科学的な根拠に乏しいです。
私も重曹水の健康への効果について調べてみたのですが、
ダイエット効果
⇒『腹が膨れて食欲を抑える効果』を狙うなら、無糖の炭酸水のほうが良い
代謝アップ効果
⇒『風が吹けば桶屋が儲かる』的な理屈であり、効果が得られる可能性は低い
デトックス効果
⇒『デトックス』そのものが科学的な根拠のない話である
重曹水を飲むと酸性になった体をアルカリ性にできる
⇒食べ物やストレス、重曹水程度で体が酸性になったりアルカリ性になったりすることはない
重曹水を飲むとがんなどの病気が治る
⇒科学的に根拠のない情報である
という結論でした。
そもそも、『1つのものを水に入れて飲むだけで、手軽に健康になれたり病気が治ったりする』なんてことはありませんものね。
健康のために何かしたいなら、やはりバランスのとれた食事と十分な休養、適度な運動が近道ですよ!
参考 NHK サイカル『“がんは自分で治せる?”メディアが問われる医療広告』
関連記事:重曹を飲むことやシャンプーに白髪改善効果があるのは本当?
掃除用の重曹と食用の重曹、何が違う?
食用の重曹と掃除用の重曹は、一見すると同じようで、実はいろいろな違いがあります。
さっそく見ていきましょう。
適用になる法律や安全基準の違い
先ほど書いた、『掃除用の重曹は食品として扱われない』ということに関係する話ですが、
食用の重曹と掃除用の重曹では、適用になる法律や安全基準が違います。
食用の重曹は、法的には『食品添加物』の部類に入り、食品衛生法が適用されます。
そのため、食品衛生法の衛生基準や安全基準に基づいて製造や管理、販売がされています。
一方、掃除用の重曹は、食品衛生法は適用されません。
なので、食品としての管理はしませんし、衛生管理や安全性の基準なども、食用ほど厳しくないのです。
純度の違い
食用の重曹は、掃除用の重曹よりも純度が高いです。
製品によっても多少違いがありますが、だいたい
食用
⇒98~99%
掃除用
⇒95~98%
です。
メモ
ちなみに、医薬品の重曹は純度100%です。
使い方の違い
掃除用の重曹は、
- 油汚れなど、酸性の汚れを中和して落とす
- 焦げを落とす
- 研磨作用を利用して、クレンザー代わりに使う
- 生ゴミや汗などの酸性の臭いに対して、におい消しとして使う
- 吸湿作用を利用して、除湿剤にする
- 洗濯のときに、泡立ちをよくする補助剤や柔軟剤代わりに使う
といった使い方があります。
食用の重曹は、
- 記事を膨らませる膨張剤として
- 炭酸水を作るときの発泡剤に使う
- タケノコやわらびなどのアク抜き剤として使う
- 肉や豆を柔らかくするために使う
- 緑色の野菜を茹でるときに加えて、食材の彩を良くする
- 魚のにおいやヌメリ取り
といった使い方をします。
さらに、食用の重曹は『掃除用の重曹』として使うこともできます。
食用の重曹のほうが、カバーできる範囲が広いですね。
価格の違い
一般的には、食用の重曹のほうが、掃除用の重曹よりも価格が高いです。
なぜかというと、食用の重曹は
- 純度が高い
- 食品衛生法に従って製造や管理、販売をしなくてはいけない
といったことから、掃除用の重曹よりも製造して売るまでにコストがかかるからです。
Amazonで、実際の価格を調べてみました。
銘柄 | 分類 | 価格 | 100g当たりの価格 |
Healthy company『重曹』 950g入り | 食用 | 618円 | 65円 |
カネヨ石鹸 『マルチクリーナー 重曹ちゃん』 1kg入り | 掃除用 | 491円 | 49.1円 |
丹羽及『住まいの魔法のパウダー 重曹』 4kg入り | 食用・掃除用兼用 | 2,138円 | 53.5円 |
(価格は2022年10月14日現在の税込み価格)
なお、食用の重曹より価格の高い掃除用重曹もあります。
食用の重曹と掃除用の重曹の見分け方
食用の重曹と掃除用の重曹をどこで見分けるかというと、
『食品添加物』と書かれているかどうかです。
パッケージに『食品添加物』と書いてある
⇒食用、または食用にも掃除用にも使える重曹
パッケージのどこにも『食品添加物』という記載がない
⇒掃除用
というふうに見分けることができます。
『食品添加物』という記載は、多くの場合、品名や原材料を書いてある場所の近くにあります。
なお、パッケージに
- 『使い方』として掃除用の使い方が主に書かれていて、『食用としても使える』と書いてある
- 『食品グレード』『食品添加物規格』などと書いてある
ということもあります。
でも、『食品グレード』『食品添加物規格』という言葉の定義は、はっきりわかりません。
もしも『食品グレードと書いてあるのに、どこにも食品添加物と書いていない』という重曹があったら、掃除用と考えておいてくださいね。
『医薬品の重曹』は食用や掃除用とどう違う?
最初に書いたように、『医薬品の重曹』というのもあります。
医薬品の重曹についても、簡単に紹介しておきましょう。
使い方
医薬品の重曹の使い方は、主に
- 胃酸過多
- 胃の不快感
- 胃もたれ
など、胃の不調を改善する薬として使われる他、手作りの入浴剤に使う人もいます。
また、『医療用医薬品』として、病院での治療に使われている重曹もあります。
基準や適用される法律
医薬品の重曹や医療用医薬品の重曹に適用される法律は、『医療品医療機器等法(薬機法)』です。
製造や販売も、『医療品医療機器等法』に基づいていて
- 薬品製造の許可を得た業者が製造をする
- 薬品製造の認可を受けた施設で製造する
- 販売する業者も、薬品の販売の認可を受けている
など、厳しい基準を守って製造販売されています。
そのため、価格も食品用重曹よりさらに高いです。
医薬品・医療用医薬品の重曹を使うときの注意
重曹と言えど、医薬品や医療用医薬品に分類されたら、れっきとした『薬』です。
- 用法・用量を守って使う
- 市販の医薬品重曹であっても、他の薬を飲んでいる人や病院で治療を受けている人は、医師や薬剤師に相談してから使う
- 医療用医薬品の重曹は、医師が診断をしたうえで処方するものなので、自己判断で服用や断薬をしない
ということを守ってください。
また、食用や掃除用の重曹を薬代わりにするのは、絶対にやめましょう。
医薬品の重曹も、成分そのものは食用や掃除用と大きな差はありませんが、あくまでも薬は薬なので、やめておきましょう。
それに、食用や掃除用に医薬品の重曹を使うのは、コスパが悪すぎてもったいないです。
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まとめ
掃除用の重曹を食べてしまっても、少しくらいなら体に害が出ることは、まずありません。
でも、掃除用の重曹を食用の重曹として使うのは、NGです。
やはり食べるものには『食品』としての品質が保証された重曹を使ったほうが安全です。
万が一、大量に食べてしまった場合は、
- 生卵か牛乳、どちらもないときは水を飲む
- 嘔吐や下痢などの症状が出た、もしくはいつもと体調が明らかに違うときは、病院に行く
という対処をしてください。
掃除用と食用の重曹の違いは
- 食用のほうが、適用される法律や安全基準が厳しく、純度が高い
- 掃除用の重曹は主に酸性の汚れを落とすのに使われ、食用の重曹は膨張剤やアク抜き、食材を柔らかくしたりするのに使われる
- 掃除用の重曹は、一般的に食用重曹に比べて安い
ということです。
掃除用重曹と食用重曹の見分け方は、『食品添加物』と書いてあるかどうかです。
掃除用と食用の重曹をきちんと使い分ければ、安全にコスパよく使えますよ!
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