『安全性が高く、効果的に掃除ができるお掃除アイテム』
の代表格といえば
- 重曹
- クエン酸
ですよね。
どちらも、キッチンやお風呂場など、いろいろな場所の掃除に大活躍してくれます。
たしかに、『重曹とクエン酸を混ぜると効果的』という掃除テクもありますよね。
でも、実際どうなのでしょう?
ということで今回は
- 重曹とクエン酸を混ぜた場合のお掃除効果と混ぜる割合
- 重曹とクエン酸両方を使った掃除の仕方例
について解説します。
実際に掃除を試したレポートも載せているので、ぜひ読んでくださいね!
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重曹とクエン酸はどの割合で混ぜると掃除に効果的?
結論を先に言うと、
重曹とクエン酸は、混ぜずに別々に使ったほうが良いです。
強いて割合で言うなら、
- 重曹10:クエン酸0
- クエン酸10:重曹0
で使う、ということになります。
掃除に重曹とクエン酸を混ぜて使う効果について
どうして重曹とクエン酸を混ぜないほうがいいかというと、
重曹とクエン酸を混ぜて使っても、効果的に掃除できる可能性が低いからです。
『効果のある物同士を混ぜれば効果が強まる』とは限らないんです。
重曹とクエン酸を混ぜても効果が期待できないのは
- 重曹とクエン酸で互いに中和され、それぞれの性質が弱まる
- 水をかけると化学反応で泡が出るものの、重曹とクエン酸と水で出る泡には汚れを剥がしたり落としたりするほどの力はない
という理由からです。
中和されて効果が弱まる
重曹とクエン酸には、それぞれ
重曹
⇒アルカリ性(酸性の汚れを落としやすくする)
クエン酸
⇒酸性(アルカリ性の汚れを落としやすくする)
という性質があります。
でも、重曹とクエン酸を混ぜて使うと、重曹のアルカリ性とクエン酸の酸性が中和されます。
そのため、
- 重曹が持つ酸性の汚れを落とす力が弱まる
- クエン酸が持つアルカリ性の汚れを落とす力が弱まる
ということになってしまうのです。
発泡パワーも強くない
これも、効果は期待できません。
重曹とクエン酸を混ぜて発生する泡は、そんなにパワーがあるわけではないからです。
『軽い汚れを浮かせる』程度の効果ならあるかもしれませんが、
- こびりついた汚れを剥がす
- 汚れを分解する
ということはできません。
いえいえ、界面活性剤入りの洗剤でさえ、『汚れは、泡ではなく界面活性剤の力で落ちる』というのが常識なんですよ。
重曹とクエン酸、水で発生する泡は、化学反応で出る二酸化炭素がブクブクしているだけです。
界面活性の作用はないので、泡が立っていても汚れ落とし効果は期待できません。
メモ
2012年には『泡が油を吸着する』ということが発見されました。
でもそれは、あくまでも『界面活性剤が入った水溶液の泡』の話で、二酸化炭素の泡ではありません。
詳しく知りたい人は、こちらの記事を読んでくださいね。
重曹とクエン酸は上手に使い分けを
ここまで見てきたように、重曹とクエン酸を混ぜても効果が弱まりますし、泡にも汚れ落とし効果は望めません。
重曹とクエン酸は汚れの性質に応じて使い分けたほうが効果的です。
それぞれどういう汚れに効果的か、見ておきましょう。
重曹は
- 油汚れ
- 焦げ付き汚れ
- 皮脂汚れや手垢、タンパク質の汚れ
- 湯垢(水垢に石けんカスや皮脂汚れなどが混ざったもの)
メモ
加えて、重曹には研磨作用もあるので、茶渋落としなどにも使えます。
クエン酸は
- 水垢(水に含まれるミネラルが固まった汚れ)
- 尿石や尿汚れ
- 石けんカス
といった汚れに効果的です。
汚れの性質を分かって使いわけると、効率良く掃除できますよ!
実際にやってみた!排水口のヌメリを重曹+クエン酸で落とせる?
『重曹とクエン酸を混ぜても、汚れ落とし効果はあまり期待できない』
と理屈ではわかっても、実際どうなのか、気になりますよね。
そこで、実験してみました!
今回の実験は、キッチン排水口のゴミ受けのヌメリがターゲットです。
『重曹とクエン酸を混ぜると、排水口のヌメリを落とせる』という情報を見つけたからです。
重曹とクエン酸を混ぜて使うとヌメリは落とせる?
今回の掃除は
- ヌメリ部分に、重曹とクエン酸(どちらもティースプーン1杯程度)をかける
- 少し水をかける
- 1~2分放置する
- こすらずに流水だけで流す
という手順で行いました。
これが掃除前。
(汚くてすみません…)
真ん中より右寄りの部分に重曹とクエン酸をかけると、すぐにぬめりの水分でブクブク泡が出始めました。
少し水を足して、1~2分待ちます。
こすらずに流水で流したら、けっこうきれいになりました。
赤丸の部分です。
ただ、『泡が接触した部分すべてのヌメリがきれいに落ちている』とまでは言えません。
『泡がしっかりぶくぶくした部分は落とせる』というあたりが妥当な評価です。
ヌメリは落とせるけど最善の方法ではない
排水口のゴミ受けのヌメリは、重曹とクエン酸を混ぜて使うことである程度、落とすことができました。
でも、
『確かにぬめりは落とせるけど、わざわざ重曹とクエン酸を使う必要性を感じない』
というのが、私の率直な感想です。
普通に水をかけてスポンジや歯ブラシでこするほうが、早いし低コストだからです。
排水口のヌメリは、何も付けなくてもこすれば簡単に落ちる汚れです。
普通にこすって落とせば重曹やクエン酸のコストもかかりませんし、1~2分も待つ必要もありません。
先にも書いたように、重曹とクエン酸の泡はそんなに強力ではないので、
重曹とクエン酸の泡で落とせるくらいの汚れなら、重曹とクエン酸を使わなくても落とせる可能性が高い
と言えるでしょう。
お風呂の床汚れに対する効果は?
では、排水口のヌメリよりハードな汚れはどうかというと、これも
『重曹+クエン酸よりも普通の洗剤を使ったほうが早くて楽』
というのが、私の感想です。
『重曹とクエン酸、水をかけてしばらく置いたあとにこする』という方法でお風呂の床の黒ずみを掃除したことがあるのですが、
- 重曹+クエン酸だと根気よくこする必要があり、『楽にきれいになる』と言うほどの効果はない
- 重曹と酸素系洗剤のほうが、重曹とクエン酸よりは効果がある
- 汚れが一番良く落ちたのは、合成洗剤(私が使ったのは『ADL』)
という結果でした。
ということで、やはり重曹とクエン酸を混ぜて使うのは、あまりおすすめしません。
あまり効果がないのに無理に使っても、無駄にしてしまうだけですものね。
お風呂の床の黒ずみを落としたときの様子は、こちらの記事に詳しく書いてあります。
あわせて読んでください。
関連記事:お風呂(浴室)の床を重曹とクエン酸でピカピカに掃除した【やり方】
重曹とクエン酸両方使ったほうが良い場合ってある?
はい、あります。
重曹とクエン酸を両方使って掃除をすることで良い効果が得られるのは、中和作用が良い方向に働くときです。
どんなときにどう使うのか、紹介しましょう。
重曹とクエン酸の中和作用を活用した掃除の例
重曹とクエン酸を両方使うのは、たとえば、
- 重曹水で拭いた後の拭き残りを防ぎたい
- お酢を使って掃除をした後、お酢の匂いを軽減したい
といったときです。
重曹の拭き残りを防ぐ
重曹は水に溶けにくいので、重曹水で拭き掃除をした後に、重曹が白く残ってしまうことがあります。
そんなときは
- クエン酸水を布巾に含ませる
- 重曹で拭き掃除をしたところを拭く
という手順で対処すると、重曹が中和され、後が残りにくくなります。
お酢の匂いを軽減させる
お酢を使って掃除をすると、お酢の匂いが残ってしまうことがありますよね。
そういうときには、
- 重曹をぬるま湯に溶かして布に染み込ませる
- お酢で掃除した部分を拭く
という方法で、匂いを消すこともできます。
ただ、お酢の匂いが気になりそうなときは、お酢ではなくクエン酸で掃除をしたほうが良いです。
そうすれば重曹を使わずに済むので、手間もコストも減らせますよ。
重曹とクエン酸は『別々に、順番に使う』
紹介したように、掃除の中で重曹とクエン酸を両方使うときは、
- 中和作用で先に使ったほうの性質や効果を打ち消したほうが良い場合だけ両方使う
- 混ぜずに、片方を先に、片方を後から使う
ということがミソです。
最初から混ぜてしまうと、中和されて掃除に必要な効果もなくなってしまいます。
片方で掃除をしてから、もう片方を使ってくださいね。
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まとめ
ネット上には、『重曹とクエン酸を混ぜると掃除に効果的』という話もあります。
でも、
- 重曹とクエン酸を混ぜると中和されてしまい、それぞれの性質が弱まって汚れを落とす効果も弱まる
- 重曹とクエン酸を混ぜて出る泡にも、汚れを落とすパワーはあまりない
ということから、混ぜて使うのはおすすめしません。
私も実際に試してみましたが、
排水口のヌメリ
⇒水をかけてこするだけで落とせるので、重曹とクエン酸を混ぜて使う必要がない
お風呂の床の黒ずみ
⇒きれいにはなるが根気よくこすらないと汚れが落とせず、『効果的』と言うほどではない
という結果でした。
重曹とクエン酸は、汚れの性質に合わせて別々に使ったほうが良いですよ。
もし両方使うのであれば、
- 重曹水で拭いた後にクエン酸水で拭き、重曹が残るのを防ぐ
- お酢で掃除した場所を重曹水で拭いて、お酢の匂いを軽減する
というふうに、中和作用が良い方向に働くように使うことをおすすめします。
重曹やクエン酸を上手に使って、キッチンもお風呂もきれいにしてくださいね!