ピアノを弾く時には、その音が近所の迷惑にならないようにしなければなりません。
特に気を使うのが、マンションやアパートなどの集合住宅の場合。
なにしろ、お隣さんや上の階、下の階とはくっついているのですから、どうしても音は伝わりやすくなります。
いえいえ、ピアノOKのマンションでしっかり防音対策をすれば、マンションでもピアノを弾くことはできます!
この記事では
- マンションにピアノを設置できる条件
- 防音マットなどを使った、効果的な『床』の防音対策
- 床以外の防音対策
について解説していきます。
マンションでもピアノを楽しむために、ぜひ読んでくださいね!
一戸建ての人も、ぜひ参考にしてください。
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ピアノを設置する前にマンションの条件を確認!
そのマンション、ピアノを弾いてもOK?
マンションにピアノを設置するにあたって、真っ先に確認しなければならないのが
『このマンションにピアノを置き、弾いて良いのかどうか』
ですよね。
必ず、マンションの管理規約を確認してください。
もし管理規約に可否が書いていない場合は、不動産会社や管理会社に確認しましょう。
『ピアノを置いて、弾いて良い』となっている場合でも、
- 使って良いピアノの種類(電子ピアノ/アップライトピアノ/グランドピアノ)
- ピアノを弾いてよい時間帯
といったことが決められていることがあります。
なので、『ピアノを置けるかどうか』だけでなく、細かい決まりもしっかりチェックしてくださいね。
『楽器可』『ピアノ可』『楽器応相談』も要確認!
そう思いますよね…。
ところが、
『楽器可』『ピアノ可』=『ピアノを置いて弾いても良い』とは限りません。
また、『楽器応相談』は、『相談すればOKしてもらえる』というわけでもないのです。
どういうことかというと、
楽器可
⇒演奏して良い楽器が決まっている場合があり、『ピアノ』がOKかどうかの確認が必要
ピアノ可
⇒『一般的なアップライトピアノを【置くことができる】』という意味の場合があり、日常的に弾いて良いかどうかの確認が必要
楽器応相談
⇒楽器の種類による場合や、建物が楽器を演奏するのに必要なレベルの防音を考慮して建てられていない場合がある
ということなのです。
ですから、『楽器可』『ピアノ可』『楽器応相談』と書いてあっても、
管理会社や不動産会社に、ピアノを弾いて良いかどうかや、その条件などをきちんと確認してください。
『電子ピアノなら音が出ないから大丈夫』ではない
そうしたくなる気持ちは、よくわかります。
でも、
『音が漏れないから内緒で弾いちゃえ』というのは、やめましょう。
たしかに電子ピアノは、ヘッドホンをすれば『ピアノの音』そのものは、周りには聞こえません。
でも、
- 鍵盤を押す音
- ペダルを踏む音
- 電子ピアノを弾く時の振動
が、床や壁を通して、下の家や隣家に伝わり、騒音になってしまうことがよくあります。
『ピアノ不可のマンションでピアノを弾いて騒音が発生した』
となれば、トラブルにもなります。
ですから、
管理規約で『ピアノを弾いてて良い』と決まっていないマンションでは、電子ピアノであっても、原則NGです。
ルールは守りましょう。
ピアノを弾いて良いマンションでも、防音など周りへの配慮を!
ピアノを弾いて良いマンションでも、
- 防音対策をしっかりしておく
- ピアノを弾いて良い時間を守る
- 両隣と上下の階の家の人には、ピアノを弾くことと『音が気になったら遠慮なく言ってください』と伝えておく
ということが、とても大切です。
マンションの中には、入居者が防音対策をしなくて良いマンションもあります。
でもそれは、音楽家や音大生など、長時間大きな音で演奏する人が入居することを前提に作られたマンションくらいです。
ポイント
そういったマンションの場合でも、自前での防音対策が必要かどうかは確認しましょう。
ですから、マンションでピアノを弾きたい時は、
規約でOKとなっていても、自分でも防音対策をすることを前提に考えてくださいね。
そして、トラブルを防ぐためには、日ごろのコミュニケーションが大切です。
相手が音で困った時には我慢せず伝えてもらえるようなお付き合いを心がけましょう。
マンションにピアノを置くなら床の防音対策が一番大事!
マンションにピアノを置いて弾く場合、第一に考えなければならないのは、
『床の防音対策』です。
ということで、まず床の防音対策から見ていきましょう。
なぜ床の防音対策が重要なのか
そうですね、ちょっと不思議に思いますよね。
なぜ『床』の防音対策を第一にするべきかというと、
ピアノの音を周りの家に最も伝えてしまうのが、『床』だからです。
音は『空気の振動が伝わって聞こえる』と思われがちですが、
床や壁など、音の発生源に接しているものを介しても伝わっていきます。
ピアノは、トランペットやバイオリンなどと違って、床に設置して弾きますよね。
そのため、どうしても音が床や壁から伝わってしまうのです。
階下の家には特に、床経由でダイレクトに音が伝わってしまいます。
そのため、ピアノの音に対する苦情も、階下からが一番多くなります。
だから、床の防音対策が重要なのです。
遮音・防振効果のあるマットは効果的?
床の防音対策には、
- 床に伝わる音を軽減する
- 床に伝わる振動を軽減する
ということが大事です。
その方法として、
ピアノの下に、遮音効果・防振効果のあるマットやシート、カーペットなどを敷く
という方法が、よくおすすめされています。
ただし、
効果のほどは、『どんなマットを使うか』によります。
『遮音・防振効果』を謳うマットであれば、何でも良いわけではありません。
効果的な遮音・防振マットを選ぶには
では、どんな遮音・防振マットを選ぶと効果的かというと、これは
楽器店や『ピアノの防音対策』を専門にしているお店などで相談することが最も確実です。
使うピアノの種類や部屋の状況によって、どの程度の防音・防振が必要かは、違いますよね。
となれば、どのマットがベストかも違ってくるからです。
こういう時は、やはりプロの知恵を借りるのが安心。
- 『マンションでピアノを弾く』ということ
- 使うピアノの種類
を伝えて、相談することをおすすめします。
メモ
『入居者による防音対策は要らない』と言われたけど、気になるからマットを敷きたい!
ということなら、市販の防音マットなどでも大丈夫です。
自分で選ぶと効果がないことも…
『ピアノの防音に』として、いろいろな防音・遮音マットやシートを紹介しているネット記事もあります。
でも、一般人が部屋とピアノに合うマットを選ぶのは、なかなか難しいものです。
ネットで紹介しているものでも、製品によっては
市販の普通の遮音・防振マット
⇒普通の生活音や足音を軽減する目的で作られていて、ピアノの音には効果が不十分
『ピアノ向け』を謳う遮音・防振マット
⇒電子ピアノには十分な効果があるが、アップライトピアノやグランドピアノとなると効果が不十分
という可能性もあります。
アップライトピアノやグランドピアノだと、設置すると動かすのが大変です。
マットを敷いて、効果がないからといって簡単に替えることができません。
また、せっかく買ったのに効果がなかったら、よけいなコストがかかってしまいますよね。
であれば、やはり楽器店などに相談して決めるのが、コストも手間も少なく済み、確実ですよ。
床の防音対策いろいろ
『床の防音対策』の方法は、遮音・防振のマットだけではありません。
- 防振性のあるインシュレーターを使う
- ピアノの下に『防振ベース』や『ピアノ架台』を設置する
という方法もあります。
インシュレーターも防振性のあるものを
『インシュレーター』とは、アップライトピアノやグランドピアノの足にはめる、お皿のようなものです。
インシュレーターには、ピアノが動かないようにする役目もあります。
いずれにせよ必要なものですから、防振性のあるインシュレーターを選ぶと良いですよ。
メモ
グランドピアノとアップライトピアノでは、インシュレーターが違います。
使うピアノの種類に合うものを選んでくださいね。
床の上にもう1段重ねる『防振ベース』や『ピアノ架台』
床の防音対策には、
- 防振ベース
- ピアノ架台
- 防振ステージ
と呼ばれるアイテムを使う方法もあります。
これは、ピアノの下にちょっとした台を置いて、床に伝わる音や振動を減らす方法です。
- ピアノの下全体に1つのベースや台を設置するタイプ
- パネルを組み合わせて設置するタイプ
があるので、状況に合わせて使いやすいほうを選んでくださいね。
床以外の防音対策はどうすればいい?
マンションでの防音対策は、床の他にもあります。
ここからは、
- 窓からの音漏れ対策
- ピアノそのものに防音対策をする方法
- ピアノを置く場所
- 防音室を使うこと
などについて、見ていきましょう。
窓からの音漏れを防ぐ
床の次に気を付けたいのが、
『窓からの音漏れ』です。
窓は、どうしても壁より遮音効果が低くいですからね。
窓の対策には
- 窓に防音ボードを取り付ける
- 遮音カーテンをつける
- 二重窓や複層ガラスにする
という方法があります。
窓に防音ボードを取り付ける
防音効果のあるボードを、窓のサッシの部分にぴったりとはめ込むと、かなり音漏れが防げます。
『窓を塞いでしまう』という防音対策です。
といっても、窓を潰してしまうわけではありません。
取り外し自由な防音ボードなら、ピアノを弾かない時には外して、窓を開けることもできます。
この防音ボードは、がんばれば手作りもできますが、効果が確実なのはやはりオーダーメイド。
たとえばこういった製品があるので、検討してくださいね。
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遮音カーテンを使った防音対策
窓に遮音カーテンをつけるのは、とても手軽にできる防音対策です。
遮音カーテンは、ホームセンターなどでも買えますし、取り付けも自分で簡単にできます。
ただし、遮音カーテンは本来、『外の音が中に入るのを防ぐ』という役割のアイテムです。
『中の音が外に出ることを、ある程度防げる』というくらいに考えておくと良いですよ。
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二重窓や複層ガラスにする
窓を二重窓や複層ガラスにするのも、防音効果があります。
ただし、この方法は工事をしなければならないので
- 工事をする許可
- 工事の費用
が必要になります。
窓の防音工事をする時には、
- 実際、工事が可能かどうか
- どのくらいのコストで、どのくらいの効果が見込めるか
などを考えながら、よく検討してくださいね。
ピアノに防音・吸音パネルなどをつける
防音対策には、『ピアノそのものに防音・吸音効果のあるパネルを付ける』という方法もあります。
アップライトピアノなら
- ピアノと壁の間に防音パネルを設置する
- ピアノの背面に直接遮音パネルを取り付ける
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グランドピアノなら
- フロントパネル(譜面台の下の部分)にカバーをつける
- グランドピアノの下側の面に遮音パネルを付ける
- 『ピアノマスク』を付ける
といった方法があります。
『ピアノマスク』とは、簡単に言うと、『開け閉めができるタイプの防音パネル』です。
どのくらい防音するかも調節できますよ。
パネルやボードをピアノに直接取り付ける形で防音対策をする場合は、必ず、楽器店やピアノの防音を専門に取り扱っているお店に頼んでください。
自己判断で手作りの防音パネルなどを取り付けると、
- ピアノを傷めてしまう
- 音や響きに悪い影響が出てしまう
といった可能性があります。
具体的には、以下があるので、参考にしてください。
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ピアノを置く場所を工夫する
マンションにピアノを設置するなら、ピアノを置く場所にもひと工夫しましょう。
- 隣家に接していない部屋にピアノを置く
- アップライトピアノは、隣家に接しない壁にピアノの背面を向けて置く
といった置き方がおすすめです。
ちなみに、ピアノのある部屋の隣家側の壁に、本棚やたんすなど、厚みのある家具を置くのも良いですよ。
厚みがあり、中身の詰まった家具は、ある程度防音壁になってくれます。
家具の位置によっても隣家に伝わる音を減らせるので、工夫してくださいね。
防音室を作る
費用はかかりますが、『防音室を作る』というのも、とても効果的な防音対策です。
- ヤマハの『アビテックス』
- カワイの『ナサール』
など、ユニット式の簡易防音室もあるので、アコースティックピアノを本気でがっつり弾きたい人は、検討すると良いですよ。
ただし、防音室を作る場合は
- 設置工事の内容によっては、管理会社の許可が必要
- 防音室の部材がマンションの部屋の耐荷重量をオーバーしないようにする必要がある
といったことに、注意が必要です。
ユニット式の簡易防音室を作る場合でも、まずは管理会社に確認して許可をもらってくださいね。
『サイレントピアノ』や電子ピアノ、『マフラーペダル』を使う
『ピアノの音が出ないようにする・響きにくくする』ために
- サイレントピアノを使う
- 電子ピアノを使う
- アップライトピアノなら、『マフラーペダル』を使う
という方法もあります。
『サイレントピアノ』とは
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『サイレントピアノ』というのは、
アコースティックピアノに専用のシステムを設置し、ピアノの音を外に出さず、ヘッドホンで聴くことができるようにするシステムです。
サイレントピアノには
- 音を出して良い時は、アコースティックピアノとして弾ける
- 音を出したくない時は、電子ピアノのようにヘッドホンで聴きながら弾ける
- すでに買ってあるアコースティックピアノにも、後から取り付けることができる
というメリットがあります。
ただし、人によっては音色や響き、鍵盤のタッチに違和感を持つ人もいます。
導入を検討する時には、お店で試し弾きさせてもらうと良いですよ。
電子ピアノを使う
- ピアノを弾く許可はもらえたけど、アコースティックピアノを弾くには防音面でのマンションの作りが心もとない
- アコースティックピアノにこだわるより、防音のコストを抑えたい
- 電子ピアノならOKと言われた
といった時は、無理せず電子ピアノを使うのが良いです。
でも、電子ピアノの場合も、
- 床に音や振動が伝わらないように、マットを敷くなどの対策をする
- ピアノを弾いて良い時間帯を守る
- 上下と両隣の家には、『ピアノを弾くので、もし音や振動が気になったら言ってください』と声をかける
ということは、必要です。
先にも書いたように、ヘッドホンをして電子ピアノを弾くとしても、
- 弾く時の振動
- 鍵盤を押す音や振動
- ペダルを踏む音や振動
は接している家、特に下の階の家には伝わってしまうからです。
防音対策とご近所への心遣いは、しっかりしてくださいね。
『マフラーペダル』を使う
これはアップライトピアノで使える方法ですが、
真ん中の『マフラーペダル』を使うと、かなり音が小さくなります。
マフラーペダルを踏むと、ピアノのハンマーと弦の間にフェルトが挟まるからです。
マフラーペダルを踏んだまま左にずらすと、ペダルをロックすることもできます。
ペダルをずっと踏んでいなくても、小さい音で弾けますよ。
ただ、マフラーペダルを踏むと、モコモコした音になるので、クリアな音で弾きたい人には不満かもしれません。
メモ
ピアノを弾き終わったら、忘れずにマフラーペダルのロックを外し、ペダルを戻しておきましょう。
ペダルを上に戻すバネが伸びてしまうからです。
これから『ピアノを弾けるマンション』を選ぶなら
『ピアノを弾けるマンション』を探す時には
- 自分が使うピアノの種類(グランドピアノ/アップライトピアノ/電子ピアノ)
- どのくらい弾くのか(『趣味で1日1時間程度』『音大受験のために毎日長時間弾く』など)
といったことを不動産屋さんに伝えて、条件に合った部屋を探しましょう。
そのうえで、できれば
- 角部屋
- 1階の部屋
を選ぶことがおすすめです。
角部屋は、接している隣家が1件だけですよね。
また、1階なら地下階がない限り、『階下から苦情が来る心配』がありません。
その分、気を使うところが少なくて済みます。
ただし角部屋や1階でも、必要なだけの防音・防振対策はしましょう。
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まとめ
マンションでピアノを弾くには、
- 床に伝わる音や振動を減らすために、遮音・防振のマットなどを敷く
- 窓からの音漏れを最大限防ぐよう、防音パネルや遮音カーテンなどで対策をする
- 必要に応じて、ピアノに防音パネルなどを付ける
- 隣家に接しない部屋にピアノを置くなど、置き場所も工夫する
など、しっかりと対策をしてください。
特に、『床の防音対策』はとても大切です。
ピアノの音は、床が一番伝わりやすいからです。
そして、マンションでピアノを弾くには防音対策のほかにも、
- ピアノを置く前に、マンションでピアノを弾くことが可能かどうかや、可能な時間帯などをよく確認する
- 上下両隣の家に『ピアノの音が気になったら、言ってください』などと声をかける
- 同じマンションの人と、普段からコミュニケーションを取るように心がける
ということも大切です。
ピアノを弾くには、周囲の家への気遣いが欠かせません。
ぜひしっかり防音対策をして、心おきなくピアノを楽しんでくださいね!