アルカリ性のお掃除アイテムには、『重曹』や『セスキ炭酸ソーダ』の他に
『過炭酸ナトリウム』
もあります。
過炭酸ナトリウムは、洗濯槽の掃除に使う人も多いんですよ!
危険性がないかどうかは、確認しておく必要がありますよね。
重曹との違いも気になるところです。
ということで、この記事では
- 過炭酸ナトリウムの安全性な扱い方
- 過炭酸ナトリウムでの洗濯槽掃除の方法
- 過炭酸ナトリウムと重曹の違い
について解説していきます。
ぜひ読んでくださいね!
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過炭酸ナトリウムって危険なの?
過炭酸ナトリウムは『危険物』に指定されていますが、正しい使い方、正しい扱い方をすれば安全に使うことができます。
もちろん、正しい使い方であれば洗濯槽掃除に使っても大丈夫です。
でも当然、間違った使い方や保管の仕方をすれば、危険性は高くなります。
では、過炭酸ナトリウムはどう扱えば安全に使えるのか、見ていきましょう。
メモ
過炭酸ナトリウムや重曹などは、自然界にも存在している成分であることから『ナチュラル素材』『天然素材だから安全』などと言われることがよくありますが、
『自然界に存在している成分なら安全』というのは大間違いです。
どんな物でも使い方や量によっては害が出る可能性がありますし、過炭酸ナトリウムや重曹も例外ではありません。
使う物ごとに安全な使い方や注意点を確認しましょう。
過炭酸ナトリウムを使うときの注意点
過炭酸ナトリウムを使うときは、
過炭酸ナトリウムのパッケージに書いてある使い方の説明や注意事項に従いましょう。
特に
- 必ず手袋をする
- 使う対象の素材が過炭酸ナトリウムでダメージを受けないか確認する
- 他の洗剤と混ぜて使いたいときは、『混ぜても安全な組み合わせかどうか』をよく確認する
ということは大事です。
過炭酸ナトリウムはアルカリ性が強いので、肌を傷めかねません。
使うときは必ず手袋をしてください。
特に、敏感肌の人やアトピーのある人などは注意しましょう。
メモ
過炭酸ナトリウムが肌についてしまった場合は、放置せずに
- すぐに流水で丁寧に洗い流す
- 酢やクエン酸で中和する
という処置をして、肌に違和感が続くようであれば、医師に相談してくださいね。
過炭酸ナトリウムはアルカリ性なので、
アルミや銅、シルクなどに使うと、変色や変質が起きることがあります。
過炭酸ナトリウムを使っても大丈夫な素材かどうかは、必ず確認してください。
そして、他の洗剤などと混ぜる場合は、混ぜても安全かどうかもよく確かめてから使いましょう。
過炭酸ナトリウムを保管するときの注意点
過炭酸ナトリウムを保管するときは
- 子どもやペット、認知症のある人の手の届かないところに保管する
- 買ってきたパッケージのまま(他の容器に移し替えずに)保存する
- パッケージに開いているガス抜きの穴をふさがない・密閉容器に保存しない
- 直射日光や高温多湿を避けて保存する
- 過炭酸ナトリウムを水に溶かした液はその都度使い切る
ということを必ず守ってください。
過炭酸ナトリウムで一番危ないのは、誤飲事故です。
過炭酸ナトリウムを口に入れたり飲んだりすると
口に入れた場合
⇒粘膜への刺激性や毒性があるため、口や喉の痛み、吐き気や胃の不快感などの症状が出る
飲んでしまった場合
⇒吐き気などの症状が出るほか、量や状況によっては呼吸困難やチアノーゼ、昏睡状態などに至ってしまうことがある
というリスクがあります。
誤飲事故を防ぐためにも、
- 飲み物や調味料などと間違えかねない容器
- 他の洗剤などと間違えかねない容器
に入れて保管するのは、絶対にやめましょう!
『過炭酸ナトリウム水を炭酸飲料のペットボトルに入れたために、誤飲事故につながった』というケースも実際にあります。
ポイント
そして、
密閉保存してはいけないのは、過炭酸ナトリウムが酸素を出すことで容器が破裂する可能性があるからです。
袋が破裂して周りの可燃物に過炭酸ナトリウムが付くのも、リスクがあります。
次に過炭酸ナトリウムの危険性について、さらに見ていきましょう。
過炭酸ナトリウムは『危険物』に指定されている
過炭酸ナトリウムは、適切に使い、保存していれば危ないことはありませんが、『危険物』に指定されています。
危険物に指定されている理由は、簡単に言うと
- 他の物質を酸化させる作用が強い
- 熱や摩擦などによってたくさんの酸素を放出し、周りの可燃物に燃焼を起こさせる危険性がある
- 可燃物や有機物、酸化しやすい物質と混ぜると、加熱や衝撃などによって爆発する危険性がある
ということからです。
これが『袋が爆発して周りの物に付くと危ない』ことの理由でもあります。
指定の危険物として守らなければならないことは、一般家庭では
『25kg以上保管する場合は、所轄の消防署に届け出をする』
ということです。
でも、一般家庭で25kgもの過炭酸ナトリウムを備蓄することなんて、まずありませんよね。
普通に買って使う分には、特別な届け出はしなくて大丈夫です。
メモ
ざっくり『25㎏以上』と書きましたが、実際には過炭酸ナトリウムの種類によって届出の必要な量は違います。
また、主成分が『過炭酸ナトリウム』となっていても、危険物には該当しない製品もあります。
過炭酸ナトリウムの危険物指定について詳しくは、こちらのサイトを見てください。
と、いろいろと注意点を解説してきましたが、最初に書いた通り
適切な使い方や保存方法を守っていれば、危ないことは起こりません。
家庭でも安心して使えますよ!
過炭酸ナトリウムで洗濯槽クリーニングをする方法
最初に書いたように、過炭酸ナトリウムは洗濯槽クリーニングに使っても問題ありません。
では、どういう風に使えばよいかを見ていきましょう。
洗濯槽クリーニングを始める前に確認すること
クリーニングを始める前に、洗濯機の取扱説明書で
- 洗濯槽クリーニングに過炭酸ナトリウムを使って良いかどうか
- 洗濯機に入れて良いお湯の温度の上限
- ドラム式洗濯機の場合は、洗濯の途中でドアを開けられるタイプかどうか
を確認してください。
過炭酸ナトリウムは基本的には洗濯槽クリーニングに使えますが、
『過炭酸ナトリウムを使ってはいけない』と書いてある機種では使わないでください。
洗濯機に入れるお湯の温度も、説明書に従いましょう。
お湯の温度が高すぎると、故障につながる可能性があります。
過炭酸ナトリウム自体はドラム式洗濯機のクリーニングにも使えますが、
洗濯が始まったら終わるまでドアが開けられないタイプの洗濯機では、使わないでください。
すすぎをする前にゴミを取る作業ができないため、故障する可能性があるからです。
過炭酸ナトリウムで洗濯槽クリーニングをする手順
過炭酸ナトリウムでの洗濯槽クリーニングで使うものは、
- 40~50℃のお湯(温度は洗濯機の上限温度以下、量は洗濯の時の水の上限量)
- 過炭酸ナトリウム(お湯1Lに対して10g)
- 汚れをすくうための網
です。
掃除の仕方は
- 洗濯槽に付いているゴミキャッチャーの中のゴミを取り除く
- 空の洗濯槽に、40~50℃のお湯を張る
- 過炭酸ナトリウムを入れる
- 普通の『洗い』で3~5分運転して、過炭酸ナトリウムを混ぜる
- 洗濯機をいったん止め、数時間放置する
- 再び『洗い』で3~5分運転する
- 洗濯槽の中に汚れが浮いてくるので、網などで汚れをすくい取る
- 洗濯槽の中の水を排水し、すすぎを3回くらい行う
- すすぎの水に汚れが混ざらなくなったらクリーニング完了
放置時間の長さは、
あまり汚れていない場合
⇒1~2時間
かなり汚れている場合
⇒一晩
など、汚れの程度に合わせて加減してください。
洗濯槽クリーニングに重曹は使える?
洗濯槽クリーニングに重曹を使うのはおすすめしません。
なぜかというと、重曹は
- 水に溶けにくく、溶け残りしやすい
- 洗浄力が弱い
- カビを退治する効果は期待できない
- 洗濯槽をクリーニングするためには大量の重曹が必要
- 大量の重曹を入れると、重曹が溶け切れずに洗濯槽の穴を詰まらせてしまうことがある
- ドラム式洗濯機の場合、溶け残った重曹が内部で詰まってセンサーの不具合を起こす可能性がある
など、デメリットやリスクのほうが多いからです。
洗濯槽クリーニングをするなら、過炭酸ナトリウムを使ってくださいね。
過炭酸ナトリウムと重曹の違いは?
ここからは、過炭酸ナトリウムと重曹の違いについて解説します。
見た目はどう違う?
市販の過炭酸ナトリウムと重曹の見た目は、
どちらも『白い粉末』です。
過炭酸ナトリウムには無色のものもあります。
でも、私たちが手にする製品は、白い粉末であることがほとんどです。
パッケージから出すと区別が難しくなるので、必ず買ったときのパッケージのまま保存しておきましょう。
材料となる物質や製造方法の違い
過炭酸ナトリウムも重曹(炭酸水素ナトリウム)も、『炭酸』と『ナトリウム』という言葉が付いていますね。
でも、
過炭酸ナトリウム
⇒炭酸ナトリウム(炭酸ソーダ)と過酸化水素水を混ぜたもの
重曹(炭酸水素ナトリウム)
⇒食塩を電気分解し、二酸化炭素を加えたもの
という風に、それぞれまったく違う物質を材料としていて、まったく違う作られ方をしています。
当然、性質や特徴も違ってきます。
アルカリ性の強さの違いは?
過炭酸ナトリウムも重曹も、『アルカリ性である』ということは同じです。
でもアルカリ度の強さを比べてみると、
過炭酸ナトリウム
⇒pH10.5
重曹
⇒pH8.4
という風に、過炭酸ナトリウムのほうがアルカリ性が強いです。
使い道や効果の違い
使い道の違い
過炭酸ナトリウムは
- 漂白(洗濯物などを白くする)
- 殺菌作用を利用して、洗濯物などの除菌をする
- 垢や血液汚れなど、たんぱく質の汚れを分解する
- 油汚れを分解して落とす
など、『掃除や洗濯』に使われます。
一方、重曹は
- 食べものを膨らませる(膨らし粉や飲み物の発泡剤など)
- 山菜などのアク抜き
- 食材を柔らかくしたり臭みを取り除いたりする
- 油汚れの掃除や焦げ落とし
- クレンザー代わり
- におい消し
- 除湿剤
- 洗濯のときに、泡立ちを良くしたり衣類を柔らかくしたりするために入れる
といったことに使われます。
『油汚れを落とす』という効果は、どちらにもあります。
ただ、過炭酸ナトリウムのほうが効果が高いです。
一方で重曹は、クレンザー代わりに使ったり食品にも使ったりと、用途が幅広いのが特徴です。
過炭酸ナトリウムは食品に使うことはできません。
食べ物には絶対に使わないでください。
効果の高さや向き不向きの違い
次に、
- 過炭酸ナトリウムと重曹は、それぞれどんな場面で効果を発揮するのか
- 用途別の向き不向き
を比べてみましょう。
過炭酸ナトリウム | 重曹 | |
鍋の焦げ落とし | できるが重曹ほど効果は高くない | 効果がある |
研磨剤としてつかう | できない | できる |
消臭効果 | ある | あるが、過炭酸ナトリウムほど強くはない |
プラスチック容器のヌメリ取り | 効果あり | ある程度できる |
油や皮脂、たんぱく質の汚れ落とし | 重曹よりも効果がある 洗濯の時にも効果あり | できる 掃除の時に効果あり |
衣類の漂白や黄ばみ落とし | 適している | できない |
洗濯機の殺菌や消臭 | 適している | できない |
食品に使う | 食品には使えない | 食用に限りできる (掃除用は食品には使わない方が良い) |
参考 人と環境に優しいナチュラルクリーニング『それぞれ得意なことが違うんです』
このように、使い道にも効果のほどにも違いがあります。
適材適所で上手に使い分けてくださいね。
使ってはいけない素材の違いは?
過炭酸ナトリウムにも重曹にも、『使ってはいけない素材』があります。
共通しているのは、『アルカリ性に弱い素材には使ってはいけない』ということです。
どんな素材かというと、
- 水洗いできない物
- 銅やアルミ、アルミを含む合金
- 木製のもの
- 漆器
- ガラス
- ゴム
- アクリル樹脂
- 液晶画面やレンズなど、コーティングがされている製品
- ウール、シルク、革など、動物性の素材
- 貴金属・宝石類
- アルカリ性で傷んだり剥がれたりする可能性のあるコーティングがしてあるもの
といったものです。
さらに、
『重曹では大丈夫でも過炭酸ナトリウムでは傷む』
ということもあります。
過炭酸ナトリウムのほうが、重曹よりもアルカリ性が強いからです。
過炭酸ナトリウムが使えない物は、
- 水に濡れたり洗濯用石鹸・洗剤を使ったりすると色落ちする
- ステンレス以外の金属でできている
- 鉄を使った塗料で塗られている
- 草木染や金属染料で染めてある
といった物です。
そして、上に挙げた以外の素材でできていても、状況によっては重曹や過炭酸ナトリウムで傷む可能性があります。
使っても大丈夫かどうか判断できない場合は、
最初は目立たない所に少しだけ付けてみて、変色や変質が起きないか試してから使ってください。
安全性の違い
重曹は、少しくらい肌に付いたり口に入ったりしても、大きな害はありません。
掃除用の重曹を飲んでしまっても、量が少なければ体を壊すこともありません。
一方、過炭酸ナトリウムは重曹よりアルカリ性が強いので、
肌に付く
⇒肌を傷める
口に入る
⇒口の粘膜を傷めたり、口やのどの痛み、吐き気などの症状が出る
飲んでしまう
⇒吐き気などの症状が出る、状況によっては呼吸困難に陥るなどの危険性がある
といったリスクがあります。
なので、過炭酸ナトリウムのほうが重曹より、扱いに注意が必要です。
なお、目に入ってしまったときは、重曹も過炭酸ナトリウムも絶対に放置せず、
- すぐに、流水で最低15分、しっかり洗い流す
- 洗った後、少しでも痛みや違和感がある場合は、必ず眼科を受診する
という対応をしてください。
メモ
重曹は少量が口に入っても害は出ませんが、
日常的に飲用すると、体の状況や体に入る重曹の量によっては健康に支障をきたすことがあります。
重曹の飲用については、こちらの記事を読んでくださいね。
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まとめ
過炭酸ナトリウムは、
- 口に入ったり飲んだりすると体に害がある
- 熱や摩擦などで酸素を放出する性質がある
といったことから、扱いに注意が必要な物質です。
でも、
- 使うときは手袋をする
- 使用上の注意を守って使う
- 子どもやペットなどの手の届かない、直射日光の当たらない場所に保存する
- 買ってきたパッケージのまま保管する
といった注意点を守って使う分には、危ないことはありません。
洗濯槽のクリーニングにも役立ちますよ!
|
過炭酸ナトリウムと重曹の違いは
- 過炭酸ナトリウムのほうが、重曹よりもアルカリ性が強い
- 過炭酸ナトリウムはたんぱく質汚れを分解でき、漂白や殺菌作用もあるが、重曹は漂白・殺菌作用はない
- 重曹は食用なら食べ物にも使えるが、過炭酸ナトリウムは食べ物には使えない
- 過炭酸ナトリウムは洗濯槽クリーニングに向いているが、重曹は向いていない
といったことです。
どちらも上手に使い分ければ、とても役に立ちますよ!