ガスの配管について考えることって、普段はあまりないですよね。
でも、
- 新築の家でプロパンガスを使うため、配管工事をする
- プロパンガスの配管の耐用年数が来て、交換工事が必要になる
となれば、当然費用もかかります。


費用や『無償配管』のこと、気になりますよね。
ということで、この記事では、
- プロパンガスの配管工事にかかる費用
- 『無償配管』は違法なのかどうか
- プロパンガス配管の耐用年数
について、チェックします。
ぜひ、最後まで読んでくださいね!
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プロパンガスの配管工事費用はどのくらい?
費用の払い方には『買取』と『無償配管』の2種類がある
具体的な費用の話に入る前に、ガス設備や配管の工事費用の払い方には2種類あることを、簡単に解説しておきましょう。
2種類というのは
買取
⇒工事をするときに工事費用や材料費をを自分で払って、配管を買い取る形にする
無償配管(無償貸与契約)
⇒『ガス会社が設備費や工事費用を一旦負担する』という形にして、ガス代に上乗せして少しずつ払う
です。
ここで押さえておきたいポイントは、
『無償貸与契約』とは、長い期間をかけて少しずつ費用を払うことである
という点です。
簡単に言えば、リース契約のようなものです。

そうなんです。
『無償』ではないだけでなく、最終的には買い取るよりも高くなることが多いんですよ。
プロパンガスの配管工事にかかる費用は、
配管を『買取』にするか『無償配管(無償貸与契約)』にするかでかなり違います。
プロパンガス配管の工事費用
では、プロパンガス配管の工事費用を見ていきましょう。
一般的なガス会社で、お風呂とキッチンの配管工事をするとして、
- 買取の場合
- 無償配管で15年の無償貸与契約をする場合
の工事費は、だいたいの目安としてこのくらいです。
買取の場合 | 無償貸与契約の場合 | ||
無償貸与の契約金額 | 従量単価への上乗せ額 (1立方メートルあたり) | ||
お風呂+キッチン | 12万円~ | 18万円~ | 60円~ |

はい。
だから無償貸与契約にするか買取にするかは、よく考えて決めたほうが良いです。
なお、実際の費用は、設備の状況や工事する範囲の広さ、工程などによって違います。
工事をするときは、ガス会社に見積もりを出してもらって、よく検討してくださいね。
無償配管や無償貸与契約は違法?

疑問に思う気持ち、よくわかります。
私としても、ガス料金に上乗せで設備代を回収するのですから、『無償』という言葉を使うのはミスリード的だと感じます。
でも、『違法』ではありません。
- 契約書に、無償貸与契約であることやその内容(契約期間の縛りや解約時の違約金請求、設備代の上乗せなど)について書いてある
- 契約者が契約書にサインや捺印をして契約を結んだ
ということであれば、契約は成立しますし、違法ではないのです。
違法になる可能性があるとしたら、
- 契約書に無償貸与契約であることが書いていないのに、実際は無償貸与契約だった
- 契約者がサインしていないのに、ガス会社の人が勝手にサインして契約成立したことにしていた
- 契約者が断ってもしつこく契約を迫ったり脅したりして、無理やり契約を結ばせた
といった場合でしょう。
たとえ契約者が契約書を読まずにサインしたとしても、本人がサインしたら契約は成立してしまいます。
契約書は必ずよく確認してくださいね。
買取と無償配管のメリット・デメリット
ガス配管を買取にする場合と無償貸与にする場合の、一般的なメリットとデメリットを比べてみましょう。
ブルーのマスはメリット、ピンクのマスはデメリットです。
買取 | 無償貸与 | |
工事の時に払う費用負担 | 自分で負担するので、まとまった出費になる | 一旦ガス会社が負担するので、まとまった出費がなくて済む |
設備に払う最終的な金額 | 無償貸与より安くなる | 最終的に買取より高くなる |
月々のガス料金 | 設備費用を上乗せされないので、無償貸与より安い | 設備費用が上乗せされる分、高くなる |
契約期間の縛り | ないことが多い (契約内容によっては、契約期間の縛りがある場合もある) | 無償貸与契約が終わるまでは契約が続く (契約期間内に解約する場合、違約金や残債金が発生する) |
ガス会社の切り替え | しやすい | 契約期間内はしにくい |
こうして見ると、買取のほうがメリットが多いですね。
メモ
無償配管では、住宅販売会社にとっても『ガス設備の費用がかからない分、住宅の価格を抑えられる』というメリットがあります。
『買取』と『無償貸与』どっちがいいの?

買取と無償貸与!どっちにする?
工事費を払うとしても、合計では安い『買取』と、工事の時に費用がかからない『無償配管(無償貸与)』。
私としては、選べる状況なら買取がおすすめです。
私の家でも買取にしていたことで、契約期間の縛りや違約金がなく、自分が決めたタイミングで安いガス会社に乗り換えることができたからです。
ただ、状況によっては無償貸与のほうが良いケースもあります。
『一度に高額の費用を出さないで済む』というのは、無償貸与契約の大きなメリットですよね。
このメリットが買取にするメリットを上回る場合は、無償貸与契約のほうが良いでしょう。
買取にする場合のチェックポイント
配管を買取にしたい場合は、
- 配管の工事などにかかる費用の見積もりを書面で出してもらう
- 自分にとって買取のほうが無償配管よりメリットが多いかどうか、よく検討する
- 『配管やガス設備の費用を払って買取にしたい』と、住宅販売会社やガス会社にしっかり伝えておく
- 工事などの契約の時にも、買取の契約内容になっているかをしっかり確認する
- 『無償配管の方が良い』と勧められたときは、その理由や無償貸与契約の内容をよく確認して検討する
といったことが大切です。
もしガス会社や住宅販売会社などに『工事の費用はガス会社で負担しますよ』と言われたときは
『無償貸与契約ですか? そうでしたら、契約内容を詳しく教えてください』と確認しましょう。
『費用はうちで負担します』くらいの話で乗ってしまってはいけませんよ!
メモ
ガス会社には、無償貸与契約の内容を契約者にきちんと伝えることが、法律で義務付けられています。
実際は無償貸与契約なのに『全額ガス会社が負担し、契約者はまったくの無料でガス設備を使える』と誤認させるような説明をした場合は、不実告知にあたる可能性があります。
無償配管にする場合のチェックポイント
無償配管にして無償貸与契約をするときは、契約前に
- 設備費の金額は最終的にいくらになるのか
- ガス料金に設備費がいくら上乗せされるのか
- 設備費を払う期間は何年何か月になるのか
- 設備費を払う期間が15年を超えていないかどうか
- 契約期間の縛りがあるのかどうか
- 契約期間内に解約する場合、残債金や違約金が発生するかどうか
- 残債金や違約金などが発生する場合の金額や計算の方法
- 契約金額を払い終わった後、設備費が含まれないガス料金になるのかどうか
を必ず確認して、書面で残しておきましょう!
なぜかというと、こういったことをあいまいにしたまま契約すると、
ガス会社によっては契約金額以上に設備費を回収しようとする可能性があるからです。
メモ
『設備費を払う期間が15年を超えていないかどうか』というのは、設備の償却期間が、通常10~15年だからです。
設備費を払う期間が15年を超えている場合は、15年にしてもらえないか相談すると良いですよ。
『償却期間』や、それに関わる『法定耐用年数』については、のちほどお伝えします。
もしも
- 『ガスの設備費は無料』とはっきり言われたのに、契約書には設備費を上乗せすると書いてあった
- 設備費を払う期間が15年を超えている
- 従量単価に上乗せされる設備費が契約書と違う
- 設備費を払う期間が終了してもガス料金から設備費分が引かれない
- 契約書に書いてある契約期間を過ぎているのに、解約するときに違約金を請求されたり解約できないと言われたりした
といったことがあったら、ガス会社に問い合わせてください。
ガス会社に問い合わせても問題が解決できないときは、消費生活センターに相談してくださいね。
プロパンガスの配管の寿命や耐用年数は?

ガスの配管の寿命は?
プロパンガスの配管の寿命や交換時期
プロパンガスの配管の寿命は、25年以上
と言われています。
(実際の寿命は、材質や使い方、使う環境などにもよります。)
でも、ガスの設備を、壊れるギリギリまで使うわけにはいきませんよね。
配管をいつ交換するかは、
- ガス会社による定期点検(4年に1回以上)をきちんと受ける
- 『家を建ててから、もしくはガスの配管を交換してから、あと少しで15年くらいになる』というタイミングで、ガス会社に問い合わせる
という方法で、ガス会社に配管の状況を見て判断してもらいましょう。
ガス会社による定期点検は、法律で定められたものなので、必ず受けましょう。
点検を受けていれば、ガス会社が必要と判断した時に交換時期が来たことを教えてくれるはずですよ。
配管の『法定耐用年数』は15年


はい、『法定耐用年数』は15年です。
でも、15年以上使っても、安全性にはまったく問題ありません。
なぜかというと、
『法定耐用年数』というのは、国が税金の徴収のために『資産としての価値がある期間』を定めた年数だからです。
法定耐用年数は、安全性とは全く関わりなく決められています。
つまり、ガス配管の『寿命』と『法定耐用年数』は
寿命
⇒配管がいつまで設備として使えるかを意味する
法定耐用年数
⇒税制上のことで、『資産の価値』を判断する目的で決められている
という違いがあるのです。
法定耐用年数は『法律で決められた配管の寿命』ではないので、安心して使ってくださいね。
どんな時に『法定耐用年数』が絡んでくるのか

この15年の法定耐用年数が絡んでくるのは、先に書いた『無償貸与契約』をした場合です。
無償貸与契約では、一定期間は配管工事をしたガス会社との契約を続けることになりますよね。
この『一定の期間』を、法定耐用年数を償却期間とし、契約期間とすることが多いです。
メモ
『償却期間』というのは、簡単に言うと、『その物を使いながら費用を払う期間』のことです。
ここで注意したいのは、
- 償却期間を過ぎても設備費を上乗せされる
- 無償貸与契約で設備費を払う期間が15年を大幅に超えている
といった場合は、設備費の払い過ぎになる可能性があることです。
償却期間が法定耐用年数を超えていても違法ではないのですが、
法定耐用年数を大幅に超えている場合は、ガス会社に理由を聞いたり、15年にしてもらうように交渉したりすると良いですよ。
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まとめ
プロパンガスでキッチンとお風呂の配管の工事にかかる費用は、だいたいの目安として
『買取』にして工事のときに自分で費用を払う
⇒12万円~
一旦ガス会社が負担する『無償貸与契約』をして、費用をガス料金に上乗せして少しずつ払う
⇒18万円~
このように、どちらの方法で費用を払うかで、かなり違いがあります。
買取にするか無償配管にするかは、
- 買取、無償貸与契約それぞれの場合に払う金額
- 無償貸与契約の期間
- ガス会社との契約期間の縛りがあるかどうかや、その期間
- 契約期間内に解約する場合の違約金や残債金
といったことをしっかり確認して、よく考えて選んでください。
プロパンガスの配管の寿命は、25年以上。
法定耐用年数は15年ですが、法定耐用年数=寿命ではありません。
交換の時期は、配管の状況にもよるので、ガス会社に問い合わせてみてくださいね。
交換には費用もかかるので、いつごろ交換するのか、早めに知っておくと安心ですよ!