圧力鍋って、おいしく作れるし時短料理もできるし、とても便利ですよね。
調理時間が短縮できれば、ガスだって節約できちゃいます。

たしかに、考えてみたら不思議ですよね。
見た目からして普通の鍋とは違ってはいますが、どんな原理で調理をしているのでしょうか。
そこで今回は、
- 圧力鍋の原理や仕組み
- なぜ圧力鍋で調理時間を短縮できるのか
について解説します!
ぜひ読んで、日々の食事作りに活用してくださいね!
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圧力鍋の原理はどうなっている?
圧力鍋の原理
ではまず、圧力鍋の原理について見ていきましょう。
圧力鍋は、
- 鍋を密閉して火にかけると、中の圧力が上がる
- 圧力が上がると沸点が高くなり、通常の鍋より高い温度で調理できる
という原理を利用した調理器具です。
鍋の中の圧力が高くなる仕組み
圧力鍋の仕組みについて、もう少し詳しく説明しましょう。
まず、鍋の圧力が高まる仕組みについてです。
なべに具材や水などを入れて火にかけると、水分が熱せられて沸騰しますよね。
普通の鍋なら、水が沸騰して水蒸気になると、鍋とふたの間やふたの穴から水蒸気が逃げていきます。
でも、圧力鍋は密閉されているので、水蒸気が発生しても逃げ場がありません。
しかも、水は水蒸気になると、体積が1,600~2,000倍にもなるのです。
そのため、圧力鍋の中の圧力は、かなり高くなります。
具体的にどのくらいの圧力になるかは製品や使い方にもよりますが、
だいたい、80~150キロパスカル(1.78~2.48気圧)くらい
です。
普通より高い温度で調理できる仕組み
さて、鍋の中の圧力が高くなるとどうなるかというと、
沸点が120℃近くまで上がります。
(『沸点』とは、水が沸騰して水蒸気になる温度のことで、普通の状態だと100℃です。)

はい、そこが大事なところです。
水の温度は、沸騰するまで上がりますが、沸騰した後は温度が上がりません。
『沸騰する』というのは、水の分子同士がバラバラになって水蒸気(気体)になることです。
水蒸気になる時には分子同士のつながりが切れるのですが、このときに熱のエネルギーを使います。
そのため、沸騰するとそれ以上は温度が上がらなくなるのです。
でも圧力鍋は密閉されていて圧力が高いので、水の分子の動きがギューっと抑えられていて、
分子同士のつながりを切るのにも、より多くの熱エネルギーが必要です。
分子同士のつながりを切れるだけの熱エネルギーが得られるまで、温度は上がり続けます。
圧力鍋は、この『分子同士のつながりが切れるまで温度が上がり続ける』という原理を利用して、
普通の鍋よりも高温での調理
を実現しているのです。
どのくらい温度が高くなるかというと、これも製品や使い方によりますが、
120~128℃くらいです。
圧力鍋で調理時間が短縮できる仕組み

はい、それについても解説しましょう。
圧力鍋で時短料理ができる理由は、
- 高温で調理できる
- 余熱調理ができる
ということから、火で加熱する時間が短くて済むからです。
高温調理で加熱時間が短くて済む
なぜ圧力鍋では調理時間が短くできるのかというと、
高い温度で調理できるので、加熱時間が短くても、具材にもちゃんと熱が通るからです。
たとえば、高音の油で揚げる場合、揚げている時間は短いですよね。
それは、高温でさっと熱を通すからなのです。
圧力鍋は油で揚げるほどの高温ではありませんが、普通の鍋より高温で調理できるので、時間が短くて済むのです。
余熱調理ができるので早めに火を止められる
圧力鍋は、
- 中の温度が普通の鍋より高くなる
- 密閉されている
ということから、温度が下がりにくく、火を止めた後も余熱での調理ができます。
つまり、早めに火を止めても調理を続けられるのです。
これも、『時短調理』ができる仕組みの1つです。
なぜ圧力鍋で調理すると柔らかくなるのか?

圧力鍋でぶり大根を作ろう!
圧力鍋を使うと、
- スジ肉など、かたまりの肉でも軟らかく煮られる
- 魚の骨も柔らかくなって、骨まで食べられる
というメリットもありますよね。

それは、『鍋の中の圧力が高いから』です。
圧力鍋に具材を入れて調理すると、当然具材にも圧力がかかりますよね。
そのため、圧力で具材の細胞や組織が壊れ、柔らかくなるのです。
『実は圧力鍋では時短できない』って本当?

そういう話もありますよね。
『圧力鍋が時短にならない』と言う人の話を聞いてみると、
圧力鍋は時短にならないと思う人
レシピには『加圧10分』と書いてあったのに、火にかけ始めてからふたを開けられるまで、10分よりずっと長くかかりました。
言うほど時短にならないじゃない…。
とのこと。
でもこれは、言葉のとらえ方の間違いが原因です。
たとえば、レシピに『加圧10分』と書いてあったとします。
この『加圧10分』は、『鍋の中の圧力が高まってから10分火にかける』という意味です。
『調理全体にかかる時間』ではありません。
圧力鍋での調理では、加圧時間のほかに
- 鍋の中の圧力が高くなるまで火にかける時間
- 10分間加圧した後に余熱調理する時間(=中の圧力が下がってふたを開けられるようになるまで待つ時間)
も必要です。
ですから、時間に合わせて完成させたいときは、圧力が高まるまでの時間と余熱の時間も見越して調理をしてくださいね。
とはいえ、圧力鍋は火にかける時間は普通の鍋より短いです。
ですから、『圧力鍋で時短』はできるんですよ。
圧力鍋を使うときの注意
圧力鍋はとても便利な鍋ですが、
鍋の中の圧力が高くなるので、間違った使い方をすると爆発の危険もあります。
安全に使うためにはどうすればよいかというと、
取扱説明書をよく読み、正しい使い方を理解し、守る
ということです。
もう少し具体的に言うと、
- 『圧力鍋で調理してはいけない』と書いてある食材は使わない
- 『圧力鍋で調理する場合には量を守って』と書いてある食材は、量を守って使う
- 加圧後に急に冷やさない
- 圧力が下がるまで待ってから、ふたを開ける
- 加圧後に鍋を落としたりぶつけたりして衝撃を与えない
- 使った後はきちんと手入れをしておく
といったことに注意が必要です。
『圧力鍋』というと『爆発』を連想する人もいますよね。
でも、使い方をきちんと守って使えば、安全に使えますよ!
時短料理だけじゃない!圧力鍋の魅力

大きな肉もやわらかく煮れる!
圧力鍋のメリット
圧力鍋のメリットは、調理時間の短縮や柔らかく煮られることだけではありません。
他にも、
- 野菜は、高温高圧で短時間で料理できるので、栄養が損なわれにくい
- 密閉されているので、素材のうまみ成分を逃がさない
- 素材のうまみを生かせるので調味料が少なくて済み、減塩料理も作りやすい
- ガスを使う時間が短いので、ガスやガス代を節約できるし、CO2の排出量も減らせる
といったメリットがあります。
おいしく作れてヘルシーで、しかもガスも節約できるなんて、とてもお得ですね!
圧力鍋が向いている料理
圧力鍋が得意とする料理は、
- 長時間かけて煮込むような料理
- 茶碗蒸しやプリンなど、普通の鍋で作ると『す』が入りやすい蒸し物
です。
煮込み料理は、例えば
- 黒豆やポークビーンズ
- 肉じゃが
- おでん
- 根菜類の煮物
- 煮魚
- 豚の角煮やスペアリブ、手羽元などのかたまり肉
- カレーやビーフシチュー
- ポタージュやクラムチャウダーなどのスープ
などです。
根菜類やかたまりの肉も、圧力でしっかり熱を通せます。
注意
カレーやシチューなど、ルウを使う料理は、
加圧調理が終わってからルウを入れ、ふたを開けて煮込むようにしましょう。
加圧調理の時にルウが入っていると、蒸気の出るノズルをふさいでしまう可能性があり、危険です。
それから、茶碗蒸しやプリンは圧力鍋で作ると、『す』が入りにくいです。
『す』は、水分が沸騰するときにできる空気穴のことです。
圧力鍋で作ると、水分は普通の鍋より高温で沸騰します。
そのため、水分が沸騰する前に卵が固まってしまうので、『す』が入りにくいのです。
『普通の鍋で茶碗蒸しやプリンを作るとなかなかうまくいかない』という人はぜひ、圧力鍋で作ってみてくださいね。
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まとめ
圧力鍋は、
- 密閉して加熱することで、中の圧力を高める
- 圧力を高めることで、水分が蒸気になる温度を高くし、高温で調理をする
- 高温で調理をすることで、早く熱が通る
- 鍋の中が高温になることで、火を止めた後も余熱で調理ができる
という仕組みです。
この仕組みを利用しているので、加熱時間が短くて済み、かたまり肉や魚の骨も軟らかく煮られるのです。
その他にも、
- 密封して料理をするので、素材のうまみを逃がしにくく、調味料も少なめにできる
- ガスを使う時間が短いので、省エネやガス代節約にもつながる
といったメリットもあります。
『圧力鍋』というと『爆発』のイメージを持つ人もいますが、
説明書を読んで正しい使い方を守れば、まず爆発することはありません。
安心しておいしい料理を楽しんでくださいね!