アクアリウムに流木を入れると、とても見栄えが良くなりますよね。
水槽の中の生き物にとって、隠れる場所ができるなどのメリットがあります。
ただ、自分で拾って来た流木を入れる前には、『アク抜き』という処理が必要です。
海で拾った流木なら、塩抜きも必要ですよね。
はい、アク抜きは重曹を使ってできます。
それに、重曹を使う以外にもいろいろな方法があるんですよ。
ということでこの記事では
流木のアク抜き・塩抜き処理のやり方について解説します。
重曹を使う以外にもいろいろな方法を紹介するので、ぜひ読んでくださいね!
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流木のアク抜きの仕方は?
ではさっそく、流木のアク抜きをする方法を解説します。
アク抜きにはいろいろなやり方があり、
- 重曹水に浸す
- 重曹で煮沸する
- アク抜き剤を使う
- 水に浸す
- お湯に浸す
- お湯で煮沸する
- 水槽に入れてアク抜きをする
といった方法があります。
どの方法にも共通のアク抜き前の下処理
アク抜きの作業に入る前には、
流木の表面の汚れを、ブラシなどでこすりながらよく洗う
という下処理をしておきましょう。
ポイントは、
- ボロボロはがれてくる部分や腐った部分は取り除く
- 入り組んだ部分も、できるだけ丁寧に洗う
ということです。
重曹を使ってアク抜きをする方法
では、いろいろなアク抜き方法を見ていきましょう。
まず、重曹を使う方法です。
重曹を使ってアク抜きをする方法には、
- 重曹水に浸す
- 重曹で煮沸する
という2つの方法があります。
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どちらも、重曹と水の割合は『水1Lあたり5g』が目安です。
流木が大きいときは、重曹を多めに入れると良いですよ。
重曹は、掃除用よりも食用のほうが、より安全性が高いです。
掃除用の重曹は、食用の重曹より純度が低いからです。
重曹水に浸す
重曹水に浸すアク抜きの仕方は、
- 重曹を溶かした水に流木を沈める
- 4~7日くらい放置する
- 重曹水から流木を引き上げ、ブラシなどを使って丁寧に洗う
- 水道水に流木を沈め、毎日水を交換しながら4~7日ほど浸す(重曹は入れないこと)
- 流木からアルカリ成分が抜けたらアク抜き完了
ポイントは、流木をしっかり重曹水に沈めることです。
浮いてしまうときは、石を重りにしたりして、流木全体が浸るようにしてください。
重曹で煮沸する
重曹で煮沸してアクを抜く手順は、
- 流木が入る大きさの鍋に、水と重曹を入れる
- 流木を入れ、火にかける
- 沸騰したら弱火にして1~2時間ほどそのまま煮沸する
- 煮沸が終わったら放置して冷ます
- 冷めたら重曹水から流木を引き上げ、ブラシなどを使ってよく洗う
- 水道水に流木を沈め、毎日水を交換しながら4日~7日ほど浸す(重曹は入れないこと)
- 流木からアルカリ成分が抜けたらアク抜き完了
重曹煮沸をするときには、
- 重曹は必ず水の状態で入れてから火にかける
- 煮沸するときに使う鍋は、アルミ製や銅製の鍋を避ける(変色したり変質したりすることがあるため)
- 流木を煮沸するとタールなどが出ることがあるので、煮沸に使う鍋と調理用の鍋は分ける
ということに気を付けてください。
重曹でアク抜きをしたらしっかりアルカリ抜きを!
重曹は、アルカリ性です。
なので、重曹でアク抜きをした後は、
流木に残ったアルカリ成分をしっかり抜きましょう。
pHメーターやリトマス試験紙があるとわかりやすいです。
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- 流木を浸した水を取り替えて半日くらいおく
- pHメーターやリトマス試験紙で水質を測り、pHが7くらいなら中性
という方法で、中性になったかどうか確認できます。
pHが8より高い場合は、また流木を水に浸しておきましょう。
なお手順の中では、アルカリ性を抜くのに『水に浸す』方法を紹介しましたが、
- 熱湯に浸ける
- 煮沸する
という方法でもできます。
お湯を使ったほうが早くアルカリが抜けますよ。
水に浸してアク抜きをする方法
流木のアクは、水に浸すだけでも抜くことができます。
手順は
- 流木がしっかり浸かる大きさの容器(バケツなど)に流木を入れ、水を入れて沈ませる
- 毎日水を替える
- 水に色が出なくなるまで、水を替えながら浸す
流木が沈まないときは、上に石を置くなどしてしっかり水に沈めて浸けましょう。
また、流木を入れた容器を屋外に置く場合は、蓋をしておいてください。
虫が入り込んだり、水に卵を産んでしまったりすることがあるからです。
この方法は、シンプルでやりやすいのですが、
かなり時間がかかることが、デメリットです。
小さい流木でも1か月かかりますし、大きい流木だと何か月もかかることがあります。
気長にアク抜きしてくださいね。
熱湯に浸してアクを抜く方法
『熱湯に浸す』という方法だと、水よりは早くアクを抜くことができます。
やり方は、
- 保温性のある容器に、熱湯と流木を入れる
- 次の日になったらお湯を捨て、熱湯を入れる
- これを1~2週間くらい繰り返す
コツは、『お湯の温度をできるだけ下げないようにすること』です。
そのためには、
- 容器に蓋をする
- 容器を新聞紙やタオルでくるんだり、発泡スチロールの箱に入れたりする
といった方法で保温性を高めると、より効果的ですよ。
お湯で煮沸してアクを抜く方法
お湯だけで煮沸することでも、アク抜きはできます。
- 流木が入る大きさの鍋に水を入れ、流木を入れて火にかけ、煮沸する
- お湯が茶色くなったら、お湯を入れ替える
- お湯が減ってきたら足す
- お湯に色が出なくなったら煮沸終了
- 一晩ほど置いて冷まし、鍋のお湯や流木を冷ます
- よく洗う
という手順です。
煮沸の時間は、だいたい1~2時間くらいです。
ただ、2時間くらい煮沸しても水が茶色くなるようだったら、煮沸を続けてください。
煮沸でアク抜きをするときの注意点は、
- 流木の脂分が鍋に付いてしまう可能性があるので、料理用の鍋と共用にしない
- 煮すぎると流木の表面が壊れてしまうことがあるので、壊れないように注意しながら煮る
ということです。
流木の表面を壊さないためには、あまり強い火力で煮ないほうが良いでしょう。
お湯で煮る方法だと、水や熱湯に浸すだけよりも早くアクが抜けます。
ただ、
- ガス代がかかる
- 鍋に入る大きさの流木にしか使えない
というデメリットもあります。
水槽に入れてアク抜きをする方法
あります。
それは、
- 流木をそのまま水槽に入れる
- ろ過フィルターに活性炭を入れ、アクを吸着させる
- 活性炭がアクを吸着できなくなったら、活性炭を交換する
という方法です。
つまり、『アク抜きせずに流木を入れて、ろ過フィルターでアクを濾し取る』ということですね。
ただし、
- アクが抜けるまで、水槽の水がブラックウォーターになってしまう
- 雑菌や害虫などを取り除かないまま水槽に入れることになる
- 活性炭を交換する必要があるので、活性炭のコストが掛かる
- 水質が弱酸性になる可能性があるため、弱アルカリ性の水質を好む魚の水槽には向かない
というデメリットがあります。
デメリットがなく、費用も手間もかからない方法は、なかなかないものですね。
アク抜き剤を使う
『水槽には水槽用のアイテムを使う方が安心』という人には、
市販の『流木のアク抜き剤』を使うのがおすすめです。
たとえば、
- マツダ『天然流木のアクぬき』
- スドー『流木あく抜きパウダー』
などがあります。
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具体的なあく抜きの仕方は製品によって違うこともあるので、アク抜き剤に書いてある使い方を確認してください。
注意事項も守って使ってくださいね。
アク抜き済みの流木を買うのもおすすめ
『自分でアク抜きをするのは大変だけど、アク抜きしない流木を入れるのは抵抗がある』ということなら、
アクアリウムショップなどで、アク抜きが済んでいる流木を買うのもおすすめです。
これなら、すぐに水槽に入れられます。
ただ、売っている流木なら完璧にアクが抜けているかというと、そうとも言い切れません。
念のため、ろ過フィルターに入れる活性炭も用意しておくと良いですよ。
アク抜きはどの方法がおすすめ?
それは、その人の状況や好みにもよります。
『できるだけ簡単な方が良い』という人もいれば、『アク抜き作業も楽しみたい』という人もいますものね。
でも筆者としては、
- 重曹水に浸した後、煮沸してアルカリ抜きをする
- 重曹水で煮沸する
- (重曹なしで)お湯で煮沸する
- 熱湯に浸す
のどれかをおすすめします。
なぜかというと、熱湯を使うことで殺菌や害虫退治ができるからです。
拾って来た流木にはいろいろな雑菌や害虫、害虫の卵が付いている可能性があります。
水槽の生き物のためには、衛生面も考えてアク抜きの方法を選ぶのがおすすめですよ。
流木のアク抜きはなぜ必要?
ここで、なぜ流木のアク抜きが必要かをざっと確認しておきましょう。
流木の『アク』とは?
流木には、
- フミン酸
- フルボ酸
- タンニン
などの、『腐植酸』と言われる成分が含まれています。
これが流木の『アク』の正体です。
こういった成分が水槽の水に溶けだしても、多くの場合は生き物への害はあまりありません。
でも、アク抜きをしていない流木を水槽入れるのには、デメリットもあります。
アク抜きをせずに水槽に入れるとどうなる?
流木をあく抜きせずに、拾ってきたそのままで水槽に入れてしまうと、
流木から出るアクで水槽の水が茶色くなってしまうことがあります。
これを『ブラックウォーター』と言います。
水槽の水がブラックウォーターになると、
- 水が茶色くなるので、見た目が悪くなる
- 水の透明度が悪くなるので、水草に光が当たりにくくなり、陰性水草以外は枯れやすくなる
- 水質が酸性に傾くので、弱アルカリ性の水で飼育する魚には向かない水質になってしまう
といったデメリットがあります。
また、拾って来た流木を洗わずに水槽に入れると、流木に付いた雑菌や害虫、寄生虫などが水槽に入ることもあります。
だからアク抜きをした方が良いのです。
メモ
ブラックウォーターには、
- テトラなど、アマゾン川に生息する熱帯魚には向いた水質になる。
- 細菌類の一部が増えるのを抑える効果もあり、病気予防にもなる
というメリットもあります。
でも、ブラックウォーターにしたい場合は流木に頼るのではなく、ブラックウォーターを作る専用のアイテムを使ったほうが良いですよ。
流木のアク抜きをするメリット
流木をアク抜きすると、
- 水槽の水が茶色くなるのを防げる
- 流木に含まれた空気が抜けるので、水の中に沈ませやすくなる
- 流木に付いている害虫や寄生虫、その卵、雑菌などをやっつけられる
というメリットがあります。
せっかくのアクアリウムなら、観察しやすい方が良いですし、虫や雑菌が生き物に悪さをするのは防ぎたいですよね。
そのためにも流木は、アク抜きしてから水槽に入れることをおすすめします。
海で拾った流木の塩抜きの方法は?
流木の塩抜きはアク抜きより難しい
海で拾った流木の塩抜きは、アク抜きと同じ方法でできると言われています。
ただ、『アク抜きより時間がかかるし、簡単にはできない』という話もあります。
今回調べた限りでは、
- アク抜きと同じ方法で、本当に塩もきちんと抜けるのかどうか
- 『塩抜きにはアク抜きよりも手間と時間がかかる』と言われているが、手間や時間にどういう違いがあるのか
- どういう方法で、流木の内部も塩が抜けたことを確認するのか
といったことについては、はっきりした情報はありません。
なので、残念ながら、塩抜きの具体的な方法をお伝えすることができません。
もしアク抜きと同じ方法で塩抜きを試みるなら、
- 流木の内部の塩もきちんと抜けたかどうかを確認できる方法を見つけておく
- 塩分がしっかり抜けるまで、手を抜かずに塩抜きをする
という風にする必要があります。
海で拾った流木は使わないほうが良い
海の流木には塩素(塩分)が含まれていますよね。
そのため、先にも書いたように、
- 流木に塩(塩素)が残っているかどうかを確認する方法がある
- 塩素が抜けきるまで手間と時間をかけられる
という状況でない限り、海の流木を塩抜きして使うのはやめておいたほうが良いです。
そもそも、『海で拾った流木は淡水魚に使ってはいけない』というのが、定説です。
なぜかというと、流木に残った塩素によって、
- 水槽内の微生物の数が減り、水質が悪くなる
- 淡水魚には合わない水質になってしまう
- 水草が塩分で弱ってしまう
といったリスクが出てくるからです。
水槽の生き物に合わない水質になれば、生きられなくなってしまう可能性もありますよね。
なので、水槽に入れる流木は、川やダムなどで拾ったものだけにするのが良いですよ。
メモ
川やダムで拾う場合も、
自然公園の中やダム、個人所有の敷地内などで流木を拾うときは、必ず管理者や地権者に、流木を拾って持ち帰って良いかどうかを確認しましょう。
なお、ダムによっては定期的に流木を配っていることもあります。
流木をもらえるダムを調べてもらいに行くのも良いですよ。
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まとめ
流木のアクを抜きには、
- 重曹水に浸す
- 重曹で煮沸する
- 水に浸す
- 熱湯に浸す
- お湯で煮沸する
- 水槽に流木を入れ、ろ過フィルターの活性炭でアクを抜く
- 市販のアク抜き剤を使う
といった方法があります。
どの方法でもアクは抜けますが、筆者としては
- 重曹水に浸した後、煮沸してアルカリ成分を抜く
- 重曹で煮沸する
- 熱湯に浸す
- お湯で煮沸する
この4つの方法がおすすめです。
お湯に浸したり煮沸したりすることで、雑菌や害虫、虫の卵などをやっつけることができるからです。
重曹を使った場合は、しっかりとアルカリ成分を抜いてくださいね。
そして、
海で拾った流木は、淡水生物の水槽には使わないほうが良いです。
流木に染み込んだ塩素(塩分)で、水質が悪くなったり水草がやられてしまったりする可能性があるからです。
水槽に入れる流木は、川やダムで拾ったものを使ってくださいね!