毎月来る、ガスの請求書や検針票。
その中で、最も気になるのは、やはり請求額ですよね。
「今月は○○円かぁ…」
と確認して終わり。
なんてこともあるのではないでしょうか。
実は、筆者もそういうことが多いです。
でも、ガスの料金って、どういう計算でその請求額になっているのでしょうか。
料金制度は、どんなふうになっているのでしょう?
ということで、今回はプロパンガス料金の計算方法や、料金制度について解説します。
「ガス料金の計算って難しいんでしょ?」
と思うかもしれませんが、意外と簡単です。
この記事を読んで、ぜひ自分でも計算して、請求額を確かめてみてくださいね!
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プロパンガス料金の計算方法
プロパンガスの料金を計算するには、
『基本料金』
『従量単価』
が重要です。
まずは、この2つの言葉について、確認しましょう。
それから、プロパンガスのいろいろな料金制度と、その計算方法をお伝えします。
プロパンガス料金の『基本料金』『従量単価』とは?
『基本料金』も『従量単価』も、プロパンガス料金を出すのに、とても重要な要素です。
それぞれ、どんな要素なのでしょうか?
『基本料金』とは
まず『基本料金』ですが、これは
ガスを使った量に関わらず一定額を、必ず支払います。
『基本料金』には
- ガスメーター
- プロパンガスボンベ
- 配管
- 自動切換え調整器
- ガスメーターなどの設備の維持費
- 点検や調査、検針や集金の費用
- 保安にかかる費用
- 事務手数料
- 賠償責任保険料
といった、プロパンガスを使う時に必要な設備や、保安などにかかる費用が含まれています。
この基本料金には、
プロパンガス原料の輸入価格や為替レートによって変化することはありません。
『従量単価』とは
『従量単価』は『従量料金』とも呼びます。
プロパンガス1立方メートル当たりの料金
のことです。
この中には、
- ガスの仕入れにかかる費用
- ガスの配送費
- 販売にかかる費用
- ガス会社の利益になる分
が含まれています。
従量単価は、プロパンガスの材料となる
原油価格の変動や為替レートの変動などによって、変化します。
また、従量単価には配送の費用が含まれているため、
山間部や過疎地、豪雪地帯など、配送にコストがかかる地域は、従量単価は高くなりがちになります。
(ガス会社が利益を多く出したくて、従量単価を上げてしまう場合もあります。)
いろいろな料金制度と計算の仕方
では、料金制度とガス料金の計算の仕方をみていきましょう。
プロパンガスの料金制度は、6つあります。
- 二部料金制
- スライド制
- 三部料金制
- 原料費調整制度
- 最低責任使用料金制
- 複数料金制
この中で一番多く使われているのが、『二部料金制』です。
では、二部料金制から、料金の内訳や計算方法を紹介していきましょう。
なお、計算例では、特別な記載がない限り、
基本料金…1500円
従量単価…450円
消費税…8%
としています。
ガス会社によっては、
基本料金や従量料金が税込みで表示されていることもあります。
その場合は、自分で計算する時には、消費税の部分を省略して計算してくださいね。
二部料金制
プロパンガス料金の料金制度で一番オーソドックスな『二部料金制』。
計算の仕方は
請求額=基本料金+(使用量×従量単価)+消費税
18立方メートル使った場合の計算は
1,500円+(18立方メートル×450円)+税768円=10,368円
となります。
スライド制
『スライド制』は、使用量に応じて従量単価が変わります。
例を挙げると
~5立方メートル…450円
5~10立方メートル…430円
10~15立方メートル…400円
15立方メートル以上…370円
このように、使用量が増えるほど従量単価が安くなるのが一般的です。
計算の方法は、
請求額=基本料+(使用量×従量単価)+消費税
と、基本的には、二部料金制と同じです。
ただし、気を付けたいのは、
たとえば18立方メートルを使った場合は『15立方メートル以上の従量単価×18』ではない
ということです。
- 最初の5立方メートル分は『~5立方メートル』の料金
- 次の5.1~10立方メートルは『5~10立方メートル』の料金
というように、積み重ねていく方式です。
と、言葉で説明してもわかりにくいので、18立方メートル使った場合で、実際に計算してみましょう。
基本料 | 1,500円 |
最初の5立方メートル分の料金 | 5×450=2,250円 |
5~10立方メートル分の料金 | 5×430=2,150円 |
10~15立方メートル分の料金 | 5×400=2,000円 |
15~18立方メートル分の料金 | 3×370=1,110円 |
消費税 | 720円 |
合計 | 9,730円 |
ガス料金は、9,730円となります。
これが『スライド制』の料金計算の仕方です。
先ほど書いたように、スライド制は、ガスの使用量が増えると従量単価が安くなることが多いです。
そのため、使用量が多い家庭や店舗などではおトクな料金制度となります。
ただし、使用量の少ない家庭などでは、かえってガス代が高くなってしまうことが多いです。
三部料金制
『三部料金制』は、基本料金と従量単価のほかに、『設備費』が加わります。
二部料金制では、基本料金の中に設備費が含まれています。
でも三部料金制の場合は、
基本料金と設備費を分けている
ということです。
設備費がいくらとはっきりしているので、透明性が高い料金制度です。
計算の方法は
請求額=基本料金+設備費+(従量単価×使用量)+消費税
です。
請求額=基本料金1,200円、従量単価420円、設備費320円、18立方メートル使用の場合、
1200円+320円+(420円×18)+税726円=9,806円
となります。
原料費調整制度
『原料費調整制度』は、プロパンガスの輸入価格を、毎月、販売価格に反映させる料金制度です。
つまり、
1月…397円
2月…388円
3月…380円
4月…386円
というように、毎月の従量単価が変わります。
計算方法は、二部料金制と同じように
請求額=基本料金+(使用量×従量単価)+消費税
では、先ほどの基本料金で、1月、2月に18立方メートル使った場合で計算してみましょう。
1月分のガス代
1,500円+(397円×18立方メートル)+税691円=9,337円
2月分のガス代
1,500円+(388円×18立方メートル)+税678円=9,162円
と、このようになります。
原料費調整制度のメリット
なんといっても従量単価の透明性が高いこと。
二部料金制や三部料金制では原料費が不透明です。
そのため、ガス会社によっては不当な値上げをしてしまうことがあります。
でも、原料費調整制度なら、原料価格が毎月反映されているので、不当な値上げを防ぐことができるのです。
最低責任使用料金制
『最低責任使用料金制』は、最低責任使用量というものが決められていて、
- 最低責任使用量までは、使用量が多くても少なくても一定額を払う
- それ以上使った場合は、使用量に応じて従量料金を加算していく
という料金制度です。
この料金制度については、残念ながら計算方法の情報は見つかりませんでした。
もし、利用しているガス会社でこの制度を採用している場合は、ガス会社に計算方法を確認しておいてください。
複数料金制
『複数料金制』は、複数の料金制度の中から、利用者が自分で料金制度を選ぶ方式です。
自分のガスの使用量や、
「料金の透明性が高いほうが良い」
など、考え方に応じて料金制度を選ぶことができるので、料金制度に納得して利用できるメリットがあります。
プロパンガスの料金制度で大切なこと
これまで見てきたように、プロパンガスの料金には、いろいろな体系があります。
でも、どの料金制度でも、大切なことは同じです。
それは
- どの料金制度を採用しているか、はっきりしている
- 請求書に、ガスの使用量や基本料、従量単価などがきちんと書いてある
- 値上げや値下げをする時に、ガス会社が利用者にきちんと知らせる
ということ。
つまり、
『何にいくらかかってこの金額になったのか、利用している人にわかるようにしてある』
ということです。
ぜひ一度、あなたの利用している会社の請求書や検針票もチェックしてみてくださいね。
プロパンガスの使用量や日割りの計算方法
では次に、プロパンガスをどれくらい使ったかを知る方法や、日割りでの計算方法についてお話ししましょう。
プロパンガスの使用量の出し方
まず、プロパンガスの使用量の出し方です。
前回の検針の後から今回の検針までに使ったガスの量は、
使用量=今回の検針時のガスメーターの数値-前回の検針時のメーターの数値
です。
仮に、前回の指針が799.5立方メートル、今回が809.3立方メートルだとしたら
809.3-799.5=9.8
となり、使用量は9.8立方メートルです。
メモ
ちなみに『検針』は、1ヵ月の中で特定の日を『定期検針日』として、定期的に検針をします。
検針の次の日から次の検針の日までが、『料金算定期間』です。
この間の使用量が『1ヵ月の使用量』となります。
たとえば定期検針日が『3日』の場合は、今月の4日から次月の3日までが『料金算定期間』です。
ガス料金の日割り計算の仕方
つぎに、ガス料金の日割り計算の仕方です。
日割り計算は、
- 引越しや、新しいガス会社と契約するなどで、月の途中からガスを使い始める
- 引越しやガス会社の解約などで、月の途中でガスを使うのをやめる
といった時に使います。
二部料金制の場合の日割り計算の仕方は、
日割のガス料金=(月の基本料金÷30日×使用した日数)+(従量単価×ガス使用量)+消費税
基本料金1,500円、従量単価450円、24日間、8.5立方メートル使用した場合は、
(1,500÷30×24日)+(450円×8.5立方メートル)+税402円=5,427円
となります。
この式を見るとわかるように、日割りになるのは、基本料です。
従量単価は、日数によっては変わらないので、普段と同じように使用量にかけます。
(三部料金制の場合は、設備費も日割りになるか、ガス会社に問い合わせてください。)
メモ
ちなみに、多くのガス会社では、日割り計算をしてくれますが、中には、日割り計算をしてくれないガス会社もあります。
引っ越す可能性があったり、新しいガス会社と契約したりする場合は、
「ガス料金は日割りになりますか?」
と確認しておくと良いでしょう。
日割り計算をしてもらえない場合の計算方法は、通常の料金と同じで
請求金額=基本料金+(従量単価×ガス使用量)+消費税
となります。
料金から悪質なプロパンガス業者が見えてくる?
プロパンガス料金の請求書や、
『料金に関わることを利用者にどう伝えるか』
といったことから、
そのガス会社が良心的か、そうでないかということも、ある程度わかります。
では、どんなことから『悪質な業者』を見つけることができるのでしょうか。
ガス料金の扱いから見える要注意のプロパンガス会社
もし、
- 請求書にガスの使用量が書いていない
- 基本料金や従量単価などが書いていない
- 請求書に、請求額しか書いていない
- どの料金制度を採用しているのか、教えてくれない
ということがあったら、そのガス会社は要注意です。
なぜかというと、ガス会社が勝手に値上げをしたりしやすいからです。
基本料金や従量単価などがわからないと、
いつの間にか従量単価が引き上げられたりしていても、利用する側は、気が付きにくいですよね。
つまり、その気になれば、不当に値上げをすることができてしまうのです。
ガス以外の『請求書』には、請求額だけでなく、内訳も書いてありますよね。
本来であれば、ガスも同じように買う人に
『何にいくらかかってこの金額になったか』
を、きちんと知らせるべきなのです。
その他の、要注意ガス会社を見分けるポイント
請求書以外の面で、
『この会社、要注意だぞ』
と見分けるポイントは
- 不当な値上げをしてくる
- 短期間に頻繁に値上げをする
- 値上げや値下げを事前に知らせない
- 契約時の料金がやたらと安い
- 問い合わせにきちんと対応してくれない
- 保安や万が一の時の対応がいい加減
というところです。
不当な値上げとは、
会社の都合の値上げや、理由は正当であっても、必要以上に値上げしたりすること
です。
値上げも、利用者にきちんと知らせることが大事ですよね。
でも中には、知らせずに値上げをしている会社もあります。
これだと、ガス会社の好きなように値上げされてしまう場合もあります。
ガス料金は、安すぎるのも危ないです。
安すぎると、ガス会社で必要なガスの仕入れ費用や人件費、設備費などを賄えません。
賄えなくなったら、値上げするか潰れるかのどちらかになってしまいますよね。
契約時の料金がべらぼうに安いガス会社は、契約時は安くても、後でガンガン値上げする。
なんてこともあります。
ガス料金は、ガス会社に収益があって、なおかつ高すぎない『適正』が一番無難です。
そして、ガスは『使えればいい』というものでもありません。
保守点検や、万が一の対応、問い合わせへの対応をすることも、ガス会社の大事な仕事です。
万が一の時にすぐ来てもらえない、問い合わせにいい加減な対応をする、といった会社は、やめておきましょう。
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まとめ
プロパンガス料金で、一番多く採用されている料金制度は、『二部料金制』。
二部料金制の計算方法はシンプルで、
基本料金+(従量単価×使用量)+消費税
で計算できます。
他にも、スライド制、三部料金制、原料費調整制度など、いろいろな料金制度があります。
どんな料金制度でも、大切なことは
- どの料金制度を使っているか、はっきりさせる
- 基本料金や従量単価、設備費などを、きちんと知らせる
- 値上げや値下げの時には、告知する
など、『利用する人が、料金をきちんと把握できるようにする』ことです。
ガス料金って、普段なんとなく払っていることが多いですよね。
口座引き落としやクレジットカード払いだと、金額くらいしか気にしないことが多いかもしれません。
でも、金額だけでなく、
『請求書に何が書いてあるか』
も大切です。
ガス会社が料金について、きちんと伝えてくれるかどうかもわかるからです。
今度請求書が来たら、ぜひチェックしてみてくださいね。