『カセットコンロ』って、便利ですよね。
テーブルの上に置いてアツアツの料理を楽しめますし、災害への備えにもなります。
もちろん、ガスコンロや給湯器に使う『LPガス』も、生活には欠かせません。
火力が強く、使いたいときにすぐ使えるのが強みです。
ところで、LPガスもカセットコンロ用のガスも、大きさの違いこそあれ、
- ガスボンベに詰められている
- ボンベに『LPG』と書いてある
という点は同じです。
ということは…。
ガスの成分も同じなのでしょうか?
それとも違うのでしょうか?
そんな疑問から、今回は
プロパンガス(LPガス)とカセットコンロ用のガスに、成分の違いはあるのかどうか
について解説します。
ぜひ読んでくださいね!
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LPガスとカセットコンロ用ガスの成分の違い
まず、LPガスとカセットコンロ用ガスの成分の違いを見ていきましょう。
表記のポイント 記事中では、 LPガス ⇒キッチンのガスコンロなどで使うプロパンガスのこと プロパン ⇒ガスの一種の名前 として表記しています。
LPガスとカセットコンロ用ガスの成分はどう違う?
LPガスも、カセットコンロ用のガスも、ガスの分類としては『液化石油ガス(LPガス)』です。
ただ、石油液化ガスにも何種類かあり、LPガスとカセットコンロ用ガスでは
- プロパン
- ブタン(『ノルマルブタン』、『n-ブタン』とも呼ばれる)
- イソブタン
の3種類のガスを混ぜて使っています。
LPガスとカセットコンロ用ガスでは、この3つのガスを混ぜる割合が違うのです。
ガスを混ぜる割合は、メーカーや製品によって違いがあります。
たとえば、
ガス | 成分 |
家庭のキッチンなどで使っているLPガス |
|
"家庭などで使う"カセットコンロ用ガス |
|
"冬のアウトドアで使えるような"カセットコンロ用ガスやプレミアムガス |
|
と、このような成分と割合になっています。
こうして比べてみると、
- 家庭などで使うLPガスとカセットコンロ用ガスで成分の割合が違う
- カセットコンロ用ガスでも、家庭で使うものと寒い屋外で使うものでは、成分や割合が違う
ということがわかりますね。
LPガスとカセットコンロ用ガスは代用可能?

はい、その通りです。
絶対に代用しないでください。
- LPガス用のガス器具に、カセットコンロ用のボンベをつなげて使う
- カセットボンベ用のガス器具に、LPガスボンベをつないで使う
というのは、とても危険です。
なぜかというと、
ガスコンロは、それぞれのガスの種類に合わせて作られているからです。
違う種類のガスで使うと、過燃焼や不完全燃焼などが起きる可能性が生まれます。
LPガスとカセットコンロ用ガスでは、成分が違いますよね。
成分が違えば、ガスを燃焼させるときの『空気とガスを混ぜる割合』なども違います。
そのため、ガス器具の細かい仕組みも、ガスの種類によって違うのです。
『LPガスと都市ガスではコンロの仕組みが違うので、コンロの共用はできない』という話と同じです。
関連記事:ガスコンロの都市ガス用とプロパンガス用の違いを解説!共用できる?
ガスは、事故が起これば、大事故になることもあります。
代用は絶対にしないでくださいね。
メモ
カセットコンロ用ガスをLPガス器具で使うためのアダプターもありますが、
おすすめしません。
アダプターを使うにも正しい知識が必要です。
接続方法を間違ったりすると、ガス漏れなどの事故にもつながりかねません。
また、アダプターは1万円近くします。
キャンプなどでLPガス器具を使いたいなら、ガスボンベをレンタルするほうが、コスパの面でも安全面でも良いですよ。
LPガスやカセットコンロ用ガスの成分の特徴は?

ガスの成分ってどんな違いある?
ここからは、家庭用のLPガスやカセットコンロ用ガスによく使われる
- プロパン
- ブタン
- イソブタン
それぞれの特徴をみてみましょう。
プロパンの特徴
プロパンは、家庭などで使うLPガスの主成分で、
低温の環境でも、安定した出力で燃やし続けることができるのが特徴です。
なんと、-40℃の環境でも火をつけることができるんですよ!
ただし、ガスの気圧は高いです。
そのため、頑丈なガスボンベに入れて管理する必要があります。
ブタンの特徴
ブタンの特徴は、
比較的コストが安く、ボンベの圧力も上がりにくい
ということです。
扱いやすいので、家庭で使うカセットコンロのガスの主成分としてよく使われています。
一方で、
『プロパン、イソブタンに比べて沸点も蒸気圧も高く、気化しにくい』
という特徴もあります。
そのためブタンは、温度の低い環境では火力が落ちてしまいやすいです。
イソブタンの特徴
先にも触れたように、イソブタンは寒い時期のアウトドア向けのガスや、プレミアムガスの主成分として使われています。
なぜかというと、
-10℃でも火を付けられて、火力も安定しやすい
という特徴があるからです。
ただし、イソブタンは、ブタンよりボンベの圧力が高いです。
ですから、イソブタンが主成分のカセットコンロ用ボンベは、取り扱いに注意が必要です。
沸点と蒸気圧を比べてみると
プロパン、ブタン、イソブタンは沸点と蒸気圧にも違いがあります。
『沸点』と『蒸気圧』とは何かというと、
沸点
⇒気化する(液体のガスが気体になる)温度
蒸気圧
⇒気化のしやすさで、蒸気圧の数字が高いほど気化しやすい
ということで、沸点も蒸気圧も、ガスの気化に関わる数字です。
それぞれの沸点と蒸気圧は、このようになっています。
プロパン | ブタン | イソブタン | |
沸点 | -42.1℃ | -0.5℃ | -11.7℃ |
蒸気圧 | 8.5kg/立方cm | 1.8kg/立方cm | 2.6kg/立方cm |
蒸気圧は、25℃の環境の場合の数字です。
こうして比べてみると、沸点と蒸気圧が高い順に
- プロパン
- イソブタン
- ブタン
という順番になりますね。
この違いが、先ほど紹介した、それぞれの成分の特徴にも関わるのです。
なぜ複数のガスを混ぜて使うのか?
LPガスも、カセットコンロ用のガスも、多くの場合、ガスを混ぜて使っています。
それはなぜかというと、
ガスを1種類だけで使った場合の弱点を補うことができるからです。
たとえば、イソブタンガスは-10℃でも火をつけることができます。
しかし、冬の屋外など、さらに寒いところで使う場合には、燃えにくくなってしまいます。
そこで、さらに寒い場所向けのガスボンベは、
-40℃でも火が付くプロパンを混ぜて、寒くても火が付きやすいようにしているのです。

そう思いますよね。
でも、プロパンはガスの圧力が高いので、頑丈で重いボンベにしなければなりません。
となると、今度は持ち運びが大変になってしまうのです。
だから、イソブタンをメインにして、プロパンをちょっと混ぜているのです。
そうすれば、持ち運びしやすいですからね。
また、家庭で使うカセットコンロ用のガスは、ブタンが主成分のものが多いです。
ブタンは沸点が-0.5℃ですが、『氷点下の室内で鍋をやる』なんてことは、まずないシチュエーションです。
ある程度の気温がある場所で使うことを前提に、扱いやすくてコストも抑えられるブタンガスを中心にしているのです。
このように、3種のガスの混ぜ具合は、
- ガスの性能面での使いやすさ
- ボンベの重さなど、持ち運びのしやすさなども含めた使いやすさ
- コストとしての使いやすさ
などに関わっているんですよ。
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まとめ
家庭でつかうLPガスとカセットコンロ用のガスでは、
成分や成分の割合が違います。
使う成分やその割合は、メーカーや製品によって違います。
一例では、
家庭で使っているガス
⇒プロパン95%、残りはブタンなど
家庭で使うカセットコンロ用のガス
⇒ブタンが70%、イソブタンが30%
寒い場所で使えるカセットコンロ用ガスやプレミアムガス
⇒イソブタンが95%、プロパンが5%
となっています。
プロパン、ブタン、イソブタンには
プロパン
⇒低温でも火が付きやすいが、圧力が高く、頑丈なボンベが必要
ブタン
⇒コスパが良く、圧力も低くて扱いやすいが、寒い場所では使いにくい
イソブタン
⇒ある程度寒い場所でも火が付きやすいが、ブタンよりガスの圧力が高い
という特徴があります。
LPガスとカセットコンロ用ガスで成分や割合が違うのは、
それぞれのガスの特徴を生かして、使いやすいように混ぜる割合を変えているからです。
ですから、ガスを使うときは、場面に合ったガスを選んでくださいね。