災害に強く、火力も強い『プロパンガス』。
プロパンガスは都市ガスより高い
というのは、よく言われることですが、それでも
東日本大震災以来、プロパンガスのメリットに注目する人も増えています。
では、
『今、都市ガスやオール電化を使っているのを、プロパンガスに変更する』
というのは、はたしてメリットがあるのでしょうか。
とくに、エネルギー消費量が少ない『1人暮らし』の場合は、どうなのでしょう。
ということで、今回は
1人暮らしでプロパンガスに変更するメリットやデメリットについて
をお伝えします。
なお、賃貸物件に住んでいる場合は、自分の判断でガスを変えられません。
プロパンガスの賃貸物件を選ぶことについては、こちらの記事を読んでください。
関連記事:プロパンガスのアパートやマンションを選ぶメリットとデメリット
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1人暮らしでプロパンガスに変更するメリットとデメリット
まず、プロパンガスに変えるメリットとデメリットを考えてみましょう。
『1人暮らしで』と書きましたが、1人暮らしでも家族と暮らしていても、基本的なところは変わりません。
家族と暮らしている人も、読んでみてください。
プロパンガスに変更するデメリット
ではまず、都市ガスやオール電化から、プロパンガスにするデメリットから紹介しましょう。
デメリット1 都市ガスからの変更ではガス料金削減は期待できない
ほとんどの場合、プロパンガスは都市ガスよりも料金が高いです。
そのため、
都市ガスからプロパンガスに変更することでの、ガス料金の節約は、まず期待できません。
プロパンガスは都市ガスより熱量も高いため、使用量は少なくて済みます。
また、『適正料金のプロパンガス』もありますが、
金額的には、うまくいって都市ガスと同等くらいか、都市ガスをちょっと上回るくらいでしょう。
一般家庭や一人暮らしで、都市ガスからプロパンガスに変更する場合、
『ガス料金面でのメリットはほとんどない』
と考えたほうが良いです。
オール電化からガス併用にする場合
セット割引などを上手に使うと、プロパンガスでも節約効果が得られることもあります。
都市ガスが使える場所なら、都市ガスのほうが料金的には安く済みますが、
プロパンガスしか使えない地域なら、検討する価値はあるでしょう。
デメリット2 ガスボンベを置く場所が必要
プロパンガスを使うには、
建物の敷地内にプロパンガスのボンベを置く場所が必要になります。
ボンベの大きさや、本数はガス会社によりますが、家庭なら、そんなに大きなスペースでなくて大丈夫です。
ただ、もし
『自宅を改装して飲食店にしたい』
などというような場合は、ボンベの本数も増えるので、それなりのスペースが必要です。
デメリット3 ガス器具などを買う必要がある
都市ガスからプロパンガスに変える場合は、
プロパンガスに対応したガス器具に買い替えたり、改造したりしなければなりません。
なぜかというと、プロパンガスと都市ガスでは、熱量や成分が違うため、
都市ガスのガス器具をプロパンガスで使うと、危険だからです。
また、オール電化からプロパンガスにした場合は、ガスコンロの購入はもちろん必要です。
鍋やフライパンなどはどうかというと、
- 『IHコンロ対応』なら使える可能性がある
- ただし、熱伝導率が悪い
ということがあります。
IHコンロ専用の鍋などは、ガスコンロでは使えません。
両方に対応したものなら、ガスコンロでも使えるので、取扱説明書を確認して下さいね。
メモ
都市ガスとプロパンガスのガス器具については、次の記事で解説しています。
関連記事:プロパンガスと都市ガスのガスホースの違いとは?接続口や接続方法を解説
関連記事:ガスコンロの都市ガス用とプロパン用の違いを解説!両用できる?
あわせて読んでみてください。
デメリット4 火の取り扱いに注意が必要
これは、オール電化からプロパンガスにした場合のデメリットです。
IHコンロは、磁場を発生させて熱を生み出し、調理をするので、火を使いません。
しかし、
ガスは火を使います。
そのため、
- 火災にならないように気を付ける
- 正しく使って、不完全燃焼が起きないようにする
- 換気をする
- 子どもがいたずらしないようにする
などといった注意が必要です。
IHコンロを長く使っていて、『火のない調理』に慣れている人は、特に気を付けてくださいね。
プロパンガスに変更するメリット
次に、都市ガスやオール電化からプロパンガスに変えた場合のメリットについてお話しします。
メリット1 『災害に強い家』にできる
プロパンガスは、大規模な災害があっても比較的早く復旧できます。
それは、プロパンガスの設備が、設置している建物の敷地内で収まっているからです。
都市ガスのように、地下のガス管を点検する必要がありません。
ガスボンベや配管、メーターやガス器具に異常がないことが確認できれば、すぐ使用を再開できます。
また、プロパンガスの頼もしいところは、
停電でも使えること。
オール電化住宅では、停電したら料理もなにも出来なくなってしまいますが、プロパンガスなら大丈夫です。
これが、
『東日本大震災以来プロパンガスが見直されている』
という理由です。
一人暮らしでも、ライフラインを強化しておくと、災害への良い備えになりますね。
メリット2 プロパンガス導入にかかる初期費用が安い
プロパンガスを導入する時には
- プロパンガスのボンベやメーターの設置
- 配管の交換
などといった工事が必要です。
多くの場合、プロパンガスを導入する時の初期費用は
『無料』
のことがほとんどです。
といっても、
完全な『無料』ではありません。
『無償貸与』
と言って
『工事の時に払うのではなく、毎月のガス代の中に含められて少しずつ払う』
という支払い方法です。
この支払い方法だと、
工事をするときに、大金を払わなくても済みます。
そのため、
ある一定の期間は、ガス会社と契約を続けることになります。
ガス会社と契約する時には、
- 契約期間
- 工事費
- ガス代にいくら設備費が載せられるか
なども、よく確認して下さいね。
メモ
設備を『購入』する形にして、代金を最初に払ってしまう、やり方もあります。
その分、無償貸与にした時よりは月々の料金が安くなります。
詳しくはガス会社に確認してみてください。
メリット3 火力が強い
プロパンガスは、都市ガスの倍以上の熱量があり、火力の強いガスです。
ということは、都市ガスよりも使う量も少なくて済みます。
それに、しっかりした火力で調理できるので、料理店などではプロパンガスを使うことが多いです。
もし、
「自宅をカフェや飲食店にしたい」
「自宅で料理教室を開きたい」
というのであれば、プロパンガスがおすすめです。
メモ
プロパンガスには、
業務用の料金設定もあります。
業務用なら、適正価格のプロパンガス会社を選べば、都市ガスより安くなる可能性もあります。
ただし、業務用にできるのは、だいたい1か月に100立方メートルくらいは使う場合です。
また、都市ガスより安くなるかどうかは、使用量などによっても変わってきます。
料金プランや使用料の見込みなどと照らし合わせて、よく検討してください。
メリット4 『適正料金』や『電気とのセット割』なら料金を抑えられる
プロパンガスは都市ガスより高いことが多いですが、
『適正料金』でガスを提供しているガス会社なら、プロパンガスの中でも安い料金で利用することができます。
もし『一人暮らしで都市ガスからプロパンガスにする』というのであれば、なおのこと、
『適正料金のガス会社と契約する』のは必須と考えたほうが良いです。
1人でガスを使っているのに、高い料金を払うのは、もったいないですからね。
適正料金のガス会社は、『ガス会社変更サービス』で、無料で紹介してもらえます。
ガス会社変更サービスについて、こちらの記事もぜひ読んでください。
関連記事:【2021最新】ガス料金を節約するプロパンガス会社変更サービス比較
そして、『電気とプロパンガスのセット割引』というプランがあるガス会社もあります。
上手に利用すれば、光熱費全体を安く抑えられるでしょう。
ただし、セット割引なら、
すでに都市ガスを使っている場合は、『電気と都市ガスのセット割』のほうがおすすめです。
やはり、都市ガスのほうが安いことが多いですから。
プロパンガスを導入するのは
- オール電化からガス併用にして、セット割で光熱費削減したい
- 都市ガスが使えない地域
という時におすすめの方法です。
プロパンガスへの変更のメリット・デメリット一覧
では、これまで紹介したメリットとデメリットを、表でまとめてみましょう。
ピンクの部分はメリット、青の部分はデメリット、ベージュはどちらともいえないものです。
都市ガスからプロパンガス | オール電化からプロパンガス | |
料金面 | 節約効果は期待できない。 | ガスと電気のセット割で安くなる可能性がある。 電気代が減らせる。 (都市ガスが使えるなら、都市ガスのほうが月々の料金は安くなるが、都市ガスは初期費用が掛かるので、じっくり検討したほうが良い。) |
初期費用 | プロパンガス導入の初期費用や設備費は、後からガス代に乗せて請求される。 設置の時に初期費用として大きい金額を払わないで済む。 | |
設備など | ガスボンベを置く場所が必要になる。 | |
ガス器具の 購入など | プロパンガスで使えるものに買い替えか、改造が必要。 | プロパンガス用のガス器具を購入することになる。 |
鍋などの 調理器具 | 買い替えは必要ない。 | IH専用のものは使えなくなる。 熱伝導率が悪くなるので、できれば買い替えたほうが良い。 |
防災面 | プロパンガスにすると、災害後の復旧が早くなる。 | 停電でもコンロなどが使える。 |
その他 | プロパンガスのほうが火力が強いので、飲食店や料理教室などをやるなら、プロパンガスが良い。 |
プロパンガスへの変更はどんな人向き?
都市ガスやオール電化からプロパンガスに変更するのは、
- 災害に強い家にしたい
- 電気とプロパンガスのセット割を利用すれば、光熱費が安くなる
- 自宅で飲食店や料理教室などを開きたい
という人には、向いていると言えます。
実際、都市ガスからプロパンガスに変更するのは
- 料金面では、メリットはあまりない
- ガス器具や、場合によっては、鍋なども買いなおす必要がある
など、経済的なメリットはあまりありません。
なので、経済的な面を重視するなら、
「オール電化にしたら電気代が高くて、これならプロパン併用の方が安くなる」
という場合でない限り、わざわざプロパンガスに変える必要はないでしょう。
プロパンガスと都市ガス、どっちが良い?
オール電化からガス併用にする場合、都市ガスの使える地域だと
「プロパンガスと都市ガス、どっちが良いんだろう?」
って考えますよね。
まず、都市ガスを導入する場合は、初期費用がけっこうかかるので
- 導入のコスト(家の前にガス管が来ていても、15万くらいかかる)
- ガス導入後の生活スタイル
で、つり合いが取れそうかどうか、考えておきましょう。
プロパンガスの場合も
- 月々に払う料金がどうなるのか
- 生活スタイルなどを考えて、プロパンガスにするメリットがあるか
を考える必要があります。
そして、プロパンガスも都市ガスも、それぞれのメリットとデメリットがあります。
たとえば、料金面ではどうしても都市ガスが勝ることが多いですが
- 設置のしやすさ
- 災害への強さ
といったことでは、プロパンガスが強いです。
プロパンガスか都市ガスか決める時には、料金面だけでなく、それぞれのガスのメリットやデメリットも考えて、選んでくださいね。
都市ガスとプロパンガス、それぞれのメリットとデメリットについては、こちらの記事で解説しています。
関連記事:都市ガスとプロパンガスのメリットとデメリットを比較してみた!
ゆっくり読んでみてください。
『1人暮らし』でプロパンガスを使うのはどうなのか?
1人暮らしの場合、
ガスの使用量は当然少ないですよね。
でも、使用量が少ないからと言って、料金的なメリットやデメリットが変わることは、特にありません。
強いて言うなら、
『何人かで暮らすのに比べて、1人当たりのガスのコストは高くなる』
ということは言えるでしょう。
これは、たとえば
- 1人分のチャーハンを作るより、3人分作ったほうが、トータルでガスが少なくて済む
- お風呂を1回沸かして1人しか入らないより、何人か入ったほうが、1人当たりのガス使用量が少なくて済む
という感じのことです。
もちろん、都市ガスでも同じことが言えます。
ですから、取り立てて
『一人暮らしの場合はプロパンガスをぜひ使うべき』
『1人暮らしなら、プロパンガスは避けるべき』
ということはありません。
もちろん、都市ガスの通っていない地域ではプロパンガスを使うしかありませんが、選べるならば、
- 初期費用や料金面がどうか
- 自分の生活や、ライフラインに対する考え方に合っているかどうか
で、あなたにとって使いやすい方を使ってくださいね。
プロパンガスを入れる時に気を付けること
『プロパンガスを導入しよう』
という時に、いくつか気を付けることがあります。
それは
- 一戸建てでないとできない
- 適正料金の、良心的なガス会社を選ぶ
- ガス会社によっては、都市ガスからは変更できないこともある
- ガス器具をプロパンガス対応のものにする
ということです。
では、それぞれの注意点について、詳しくお話ししましょう。
賃貸や集合住宅では、ガスの変更が難しい
都市ガスやオール電化からプロパンガスにできる可能性があるのは、
- 持ち家一戸建て
- 賃貸一戸建て
に住んでいる場合です。
1人暮らしだと、賃貸住宅や集合住宅に住んでいる人も多いことでしょう。
ただ、賃貸集合住宅では、
『1棟ごとに、大家さんがガス会社と契約する』
という形になっているため、ガスを変更するには、大家さんの承諾が必要です。
また、分譲マンションなど、『集合住宅持ち家』の場合も、1棟ごとの契約になります。
持ち家とはいえ、理事会や管理組合などに相談が必要でしょう。
さらに、『都市ガスのほうが安い』ことが多いため、了承を得るハードルは高いと考えておいたほうが良さそうです。
また、賃貸一戸建ての場合も、大家さんの了承が必要です。
まずは、大家さんに相談してくださいね。
関連記事:賃貸の家でプロパンガス代を節約したい!ガス会社の変更は可能?
ガス会社変更サービスを活用!
プロパンガス会社を選ぶ時には
『ガス会社変更サービス』
を利用するのがおすすめです。
ガス会社選びで大切なのは
- 適正料金で
- 保安などのサービスもしっかりしていて
- 良心的な会社
を選ぶことです。
でも、個人が良いガス会社を見つけるのは、難しそうですよね。
あちこちの会社に問い合わせても、勧誘の電話が押し寄せてきたりしたら、厄介です。
でも、『ガス会社変更サービス』を利用すれば、良心的で安心して利用できるガス会社を紹介してもらえます。
無料で利用できるので、活用しちゃいましょう!
関連記事:【2021最新】ガス料金を節約するプロパンガス会社変更サービス比較
ガス会社によっては、都市ガスから変えられないこともある
プロパンガスに変更することが決まったら、ガス会社を選びますが、
選んだプロパンガス会社によっては、
「引き受けられない」
と言われることもあります。
どんな場合に引き受けられないかというと、
『今までの都市ガスのガス会社と新しいガス会社に取引関係がある』
などの場合です。
これはガス業界の暗黙のルールのようなもので、
『お互いに顧客を取り合わない』という慣習
があるからです。
『取引関係がある会社から顧客を取るようなことになるのは、特に避けたい』
というのもあるのでしょう。
本来は、消費者には関係ないことなのですけどね。
プロパンガスの会社を選ぶ時には、今使っている都市ガスの会社を伝えて、引き受けてもらえるか聞いてみましょう。
ガス器具や調理器具について
先にも触れましたが、
都市ガスとプロパンガスでは、ガス器具が違います。
都市ガスからプロパンガスに変えたら、ガス器具も、買い替えるか、対応できるように改造することが必要です。
「都市ガスもガスなのに、買い替えなきゃいけないの?」
と思うかもしれませんが、そうなんです。
都市ガスとプロパンガスでは、ガスの熱量や成分が違います。
そのため、都市ガスとプロパンガスでは、ガス器具の構造も違うのです。
都市ガスで使っていた器具を
無理にプロパンガスで使うと、事故や火災を引き起こす可能性があります。
危険なので、どんなにもったいなくても、ガスに対応したガス器具を使ってください。
それから、オール電化からプロパンガスにする場合は、当然ガス器具は買わなければいけないですよね。
では、鍋やフライパンはどうかというと、IHコンロで使える鍋などには
- IHコンロ専用のもの
- IHコンロにもガスコンロにも対応したもの
があります。
IHコンロ専用のものは、当然ガスコンロでは使えません。
両方に対応しているなら、プロパンガスでも使えます。
念のため、取り扱い説明書で確認してください。
ただし、両方対応でもIH対応の鍋やフライパンなどは、熱伝導率も普通の鍋などと違います。
- 火にかけてから熱くなるのに時間がかかる
- 火からおろして冷めるまでに時間がかかる
というデメリットもあります。
ガスを無駄なく使うことを考えたら、買い替えたほうが良いですね。
関連記事:ガスコンロの都市ガス用とプロパン用の違いを解説!両用できる?
関連記事:プロパンガスと都市ガスのガスホースの違いとは?接続口や接続方法を解説
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まとめ
プロパンガスにはいろいろなメリットがあります。
とはいえ、都市ガスからプロパンガスに変えるのは、『光熱費を減らす』という目的なら、あまり効果は見込めません。
一方、オール電化からプロパンガスにするなら、
電気とガスのセット割引を利用すれば、光熱費を節約できる可能性があります。
セット割引を利用する時は、適正な価格のガス会社を使うのが一番効果的です。
『ガス会社変更サービス』を利用して、良いガス会社を見つけてくださいね。
また、
- お店を開くなど、プロパンガスを使って自分の生活を充実させたい
- 少しでも災害に備えたい
という場合は、
プロパンガスへの変更を検討する価値が、十分にあります。
都市ガスやオール電化からプロパンガスに変える時は、ガス器具や調理器具の費用も含め、
- 変更にかかる費用や、その後のガス料金のこと
- ライフスタイルに合うかどうか
- プロパンガスにする目的
などをよく考えて、検討してくださいね。