プロパンガスは、ガスボンベで供給されますよね。
そう思う人も、けっこういます。
でも、ガスボンベは頑丈にできていますし、めったなことでは爆発しません。
安全にプロパンガスを入れておけるように作られているんですよ。
ただし、
ボンベを安全に設置したり保管したりするためには、守らなければならないルールがあります。
今回は、
- プロパンガスボンベの設置基準や置き場の基準
- プロパンガスボンベを保管するときのルール
について解説します。
実際には、ボンベの設置はガス会社がやってくれることが多いですよね。
でも、大事なルールなので、ぜひ知っておいてください。
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プロパンガスボンベの設置の基準は?
実際のプロパンガスボンベの設置は、
ガス会社の人が、安全な場所を選び、基準に従って設置してくれます。
では、どんな基準があるか解説していきます。
プロパンガスボンベの設置基準
プロパンガスボンベを設置する時には
- 火気から2m以上離して設置する
- 車両などがぶつかったりしない、安全な場所であること
- 風通しの良い屋外であること
- ボンベの転落や転倒を防ぐ対策を取ること
- ガスボンベの腐食を防ぐ措置を取ること
- ガスボンベの温度は40℃以下に保つこと
- バルブなどが損傷を受けないように対策をすること
という基準を守らなければなりません。
火気から2m以上離して設置する
『ガスボンベは火気から2m以上離して設置する』というのは、基本中の基本。
万が一、ガスボンベからガスが漏れた場合の引火を防ぐためです。
ただし、
『ガスボンベの周囲に、厚さ9㎝以上の鉄筋コンクリートや、それと同等の強度を持つ壁などを設置した場合は、その限りではない』
という基準もあります。
『火気』って?
大事なことなので、『火気』について、もう少しお話ししましょう。
『火気』とは、電気の火花などを含めた、
『火』や『火を発生させるもの』
のことです。
半分は正解です!
もう半分として、
たばこやライター、焚火などのいわゆる『火』のほかの『火気』があるのです。
具体的には、
- 溶接などの時に出る火花
- 自動車などのエンジンの火花
- 電気のコンセント
- エアコンの室外機
- 浄化槽ブロアー
- 石油ボイラー
- 電気のメーター
- 冷蔵庫や洗濯機などの、電気製品
といったものが、『火気』に入る場合があるのです。
そうなんです。
一見『火』とは無縁に見える電化製品でも、『火気』にあたるものがあります。
よく、『ガス漏れをした場合は、換気扇を回してはいけない』と言いますよね。
これは、換気扇のスイッチを入れた時に火花が出て、漏れたガスに引火する危険性があるからです。
それと同じです。
豆知識
電化製品であっても、
- 直接裸火を持たない
- 320℃より高温になる部分がない
- 接点を持つ電気製品は電源の入り切りによる電気火花が外に出ない
のうち、どれかの条件を満たす場合は、『火気』にはあたりません。
ただ、よくわからない場合は、『火気に入る』と考えて用心したほうが安全です。
車両などがぶつかったりしない、安全な場所に設置する
ガスボンベは、多少の衝撃には耐えられるようにできています。
でも、だからといって、
車などがぶつかって、ボンベが倒れたり壊れたりしかねない場所に設置してはいけません。
万が一、駐車場など車がぶつかる可能性がある場所に設置せざるを得ない場合は、
フェンスや柵などで囲って、安全性を確保する必要があります。
風通しの良い屋外に設置する
ガスボンベは、風通しの良い屋外に設置しなければなりません。
なぜかというと、万が一ガス漏れがあった場合に、ガスの滞留を防ぐためです。
ガスが溜まると、引火しやすくなりますし、ガス中毒の原因にもなってしまいますから。
豆知識
8kg以下のボンベは、屋内で使用することもできます。
ただし、屋内で使用するときは、
- 通気性を確保する
- ガス漏れに十分注意する
ということを必ず守ってください。
ボンベの転落や転倒を防ぐ対策を取る
ガスボンベを設置するときは、
- 水平な場所、水平な台の上に置く
- チェーンなどでボンベを固定し、転がったり台から落ちたりしないようにする
ということが決められています。
設置してあるガスボンベを見ると、チェーンなどで固定されていますよね。
あれは、ボンベの転倒や落下を防ぐためのものなのです。
安全性を強化するため、チェーンは二重にかけることが推奨されています。
もちろん、でこぼこのある場所や、傾斜のある場所に置くのも、危険です。
平らなところに置きましょう。
ガスボンベの腐食を防ぐ措置を取る
『腐食を防ぐ措置』というのは、『排水の良い水平な場所、もしくは水平な台の上に設置すること』です。
設置場所の状況によっては、コンクリートの板などを敷いて、設置することもあります。
たとえば、水が溜まるようなところに設置しておくと、ガスボンベが腐食してしまいます。
腐食すると、ガタついたりボンベの強度が保てなくなったりして危険です。
ガスボンベの温度は40℃以下に保つこと
ガスボンベは、ボンベが40℃以上にならない場所に設置するよう決められています。
ガスボンベが高温になると、中の圧力が上がって、爆発してしまうからです。
それを防ぐためにも、建物の南側ではない場所にボンベを置くことが、ほとんどです。
建物の南側だと、直射日光が当たる時間が長くなりますからね。
でも、南側に設置せざるを得ない場合や、南側でなくても、長時間直射日光が当たる場所もあります。
そんな場合は、プロパンガスの設置場所に屋根を付けるなどの対策をします。
豆知識
プロパンガスの設置場所に屋根を付ける時は、
『屋根には軽くて燃えない素材を使う』
という条件があります。
バルブなどが損傷を受けないように対策をする
ガスボンベの上に物が落ちてきそうな場所には、ボンベを設置してはいけません。
落ちてきたものがバルブなどに当たると、壊れてしまうこともあるからです。
問題は、雪の多い地方。
屋根から雪が落ちてきたり、ボンベが雪で埋もれてしまう可能性もありますよね。
そんな時は
- ボンベを軒下に置く
- 屋根付きのボンベ置き場を設置して、その中にボンベを置く
という方法が取られます。
ただし、ボンベ置き場を作る場合は
- 通気を確保する
- 壁や屋根は、不燃性の素材を使う
- 屋根は軽いものであること
という注意が必要です。
落下物が当たるのを防ぐためにボンベ置き場が必要な場合は、ガス会社などに相談してくださいね。
プロパンガスを使うのに必要な点検や業務
プロパンガスを設置すると、ガス会社は定期的な点検など、いろいろな業務などをします。
どれも、法律で決められた大事な点検や業務です。
その点検や業務についても、見てみましょう。
4年に1度以上の供給設備・消費設備の点検
ガスの供給設備と消費設備の点検は、『4年に1度以上』行うことが、法律で義務付けられています。
点検の内容は、
供給設備の点検
⇒ガスボンベの調整期からガスメーターまでの間の点検
消費設備の点検
⇒ガス器具、ガスホース、配管、吸排気設備
点検がある時は、はがきや電話で、事前にガスの使用者に知らされます。
そして、ガス会社やその委託業者など、認定を受けた保安機関が行います。
ガスを安全に使うための法定点検なので、お知らせがあったら必ず受けてください。
そのほかの、ガス会社の保安業務
供給設備と消費設備の点検のほかにも、ガス会社は、ガスを安全に使うための業務を行います。
その業務とは
- ガス供給を開始する時の点検や調査
- ガスボンベを交換する時などの、設備点検
- 点検を利用者に周知すること
- ガス漏れなどの緊急時の対応
などで、これもガス会社に対して法律で義務付けられているものです。
引越をした時などに、ガス会社の人がガスの開栓に来ますよね。
これは、安全にガスを使い始めるための点検として、欠かせないものです。
また、ガスボンベを交換する時にも、設備点検をします。
この時にするのは、供給設備の点検です。
そして重要なのが、ガス漏れなど、緊急時の対応。
万が一に備えて、24時間365日、いつでも対応できる体制が取られています。
そういう体制が整っているから、私たち消費者が安心してガスを使えるのです。
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プロパンガスボンベを保管置き場の基準やルールは?
ここまで、プロパンガスを使う目的でボンベを設置する場合の基準やルールを解説しました。
では、『使わないボンベを保管する場合』はどうなのでしょうか?
保管の基準やルールについて、解説します。
基本的なことは設置基準と同じ
プロパンガスボンベを保管する場合についても、基本的なことは、設置する時と同じです。
その『基本的なこと』を、おさらいしておきましょう。
- 火気から2m以上離す
- ガスボンベが40℃以上にならないようにする
- 風通しの良い場所に保管する
- ボンベが腐食しないように対策をする
- ボンベが転がったりしないような、安定な場所に置く
- 車などがぶつかったりしない、安全な場所に置く
設備とつながずに保管しているガスボンベも、こうした安全確保は必要なので、しっかり対策してくださいね。
ガスボンベ保管で注意すること
ガスボンベを保管する時には基本的な事の他にも
- ガスボンベ置き場には、携帯電灯以外の灯火を持って入らない
- ガスボンベを保管する設備には、不燃性や難燃性の素材で作った屋根や遮蔽板などを設置する
- 万が一ガスが漏れた場合にもガスが滞留しないよう、対策をする
- 鍵をかける
といった注意事項があります。
注意事項は、『すべて完璧に守らなければ違法になる』というものではありません。
でも、どれも安全のために大切なことなので、『これに準ずる方法で保管することが望ましい』とされています。
できるだけ守るようにしてください。
では、注意点について詳しく解説しましょう。
携帯電燈以外の燈火を持って置き場に入らない
これは
『ボンベの保管庫に入る時に明かりが必要な場合は、最低限の懐中電灯くらいにしましょう。』
ということで、『火気厳禁』を守る意味でのルールです。
使っていないボンベでも、ボンベを保管している所は、当然火気厳禁です。
万が一、保管庫の中でガス漏れしていたりすると、引火して大事故になるからです。
懐中電灯でも、電池とはいえ電気を使うことに変わりないので、必要最低限にしましょう。
もちろん、アルコールランプやろうそく、たいまつなど、
火のついたものはもってのほか。
と言っても、今時ろうそくやたいまつを明かりにする人もいないですけどね。
保管庫などの設備は、不燃性や難燃性の素材で
ガスボンベを保管する設備は、燃えない素材や燃えにくい素材で作りましょう。
もし周りで火災があり、火が移って保管庫まで燃えてしまったら、大変です。
それを防ぐために、ガスボンベ置き場や保管庫は、燃えない素材で、ということです。
ガスが漏れてもガスが滞留しないよう対策をする
ガスボンベの保管場所は、
もしガス漏れがあっても、ガスが滞留しないように対策する必要があります。
- 風通しの良い場所に保管庫を置く
- 自作する場合は、密閉せず、隙間を空ける(特に下に隙間を空けると良い)
ということに注意してください。
市販のボンベ保管庫では、下のところに少し隙間が開いているものが多いです。
プロパンガスは空気より重く、漏れると下にいきます。
下側に、通気口などがあると滞留しにくいので、下に隙間を設けているのです。
鍵をかける
いたずらや盗難などを防ぐためにも、
ボンベの保管場所には、鍵を掛けましょう。
そのうえで、鍵の管理もしっかりしてください。
ガスボンベは頑丈とはいえ、『ガスが入っている危険物』に変わりはありません。
きちんと管理したいものですね。
とくに、子どもがいる場合は、子どもがいじらないようにする必要があります。
消防署への届け出や消火器などの設置が必要なことも
プロパンガスボンベを保管する場合、ガスの量によっては、
- 消防署への届け出
- 消火器の設置
などが義務付けられています。
どのくらいの量で、どんな義務があるかというと、
300kg以上のガスを保管する
⇒消防法で消防署への届け出が必要と決められている
300kg以上1tまでの保管
⇒B10 相当の消火器を設置する義務がある
貯蔵能力が1t以上の貯蔵施設や設備がある
⇒消火設備などの設置が義務付けられている
もっとも、一般家庭でガス300㎏分のボンベを保管することは、まずないですよね。
はい、ガスの量が300kg未満なら、消防などへの届け出などは、特に要りません。
でも、ボンベやガスを買う業者から保管方法の注意事項をよく聞いて、守ってください。
そして、念のために消火器を設置しておくことをおすすめします!
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まとめ
ガスボンベを設置したり保管したりする時には、
- 火気から2m以上遠ざける
- 安定して置ける、安全な場所に
- 万が一、ガス漏れした時に備えて、風通しの良い場所に
- ガスボンベが腐食しないように、水はけのよい場所に
ということが、基本です。
ガス会社で設置する場合は、この基準を守って設置します。
なので、自分の判断で場所や設置のしかたを変えたりしてはいけません。
もしボンベの置き場所で、何か不便が生じたりしたときは、ガス会社に相談してくださいね。
そして、ガスボンベを保管する時も、できるだけの安全対策を取ってください。
保管するガスの量によっては、届け出や消火設備の設置が義務付けられています。
ガスボンベの設置や保管の基準は、どれも安全のために決められていることです。
基準をしっかり守れば、保管も使用も安全にできるので、必ず守ってくださいね。