家庭からイベントの露店など、様々な場面で利用する、プロパンガスのガスボンベ。
高圧で液体にしたガスを安全に入れておけるように、とても丈夫にできています。
でも、いくら丈夫にできているといっても、永遠に使い続けられるわけではありません。
では、プロパンガスのボンベには、具体的な使用期限があるのでしょうか?
そしてプロパンガスボンベを使うとなると、使い方も気になりますよね。
どんなことに気を付ければ良いのでしょうか。
ということで今回は、
- プロパンガスのボンベの使用期限
- プロパンガスボンベの使い方
について解説していきます。
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プロパンガスボンベの『使用期限』と『充填期限』
プロパンガスボンベには、『充填期限』がある
プロパンガスボンベには、『使用期限』ではなく
『充填期限』という、『いつまでガスを充填して良いか』の期限があります。
充填期限を過ぎたガスボンベは、再検査をして合格しないと、ガスを充填することができません。
どんな検査をするかというと
- 耐圧検査
- 質量検査
- 外観検査
があり、
この検査を通ると、新たな充填期限を設定され、また使うことができます。
メモ
次の充填期限までが、どのくらいの期間になるかは、
- ガスボンベの容量
- ガスボンベが作られてから、どのくらい時間がたっているか
によって違います。

そのとおりです。
逆に言うと、『検査に通らなくなった時が、ガスボンベの寿命』ということです。
でも実際には、20年を過ぎているプロパンガスボンベを使うことは少ないです。
なぜかというと、20年を過ぎたプロパンガスボンベは保安点検の間隔が近くなり、その費用がかかるからです。
『充填期限』を確認する方法
プロパンガスボンベの充填期限は、
プロパンガスボンベ本体に、赤い字で大きく書いてあります。

ガスボンベの充填期限
この画像では『充てん期限』という文字が切れてしまっていますが、赤い字で
『平31-4』
と書いてありますよね。
この青線の部分です。
これが充填期限で、この場合は『平成31年4月』が期限となります。
充填期限は、『再検査が必要になる前の月』が書かれています。
この写真の場合だと、
- 平成31年4月までは充填できる
- 平成31年5月には再検査を受けること
という意味になります。
注意ポイント
充填期限を過ぎたプロパンガスボンベは、再検査まで
- 容器が高温にならないようにする
- 倒れたり、物がぶつかったりしない場所に保管する
- 絶対にコックを開けない
ということに、気を付けて管理してください。
充填期限切れのプロパンガスボンベ残ったガスを使うだけならOK?

中のガスを使うだけだとしても、充填期限を過ぎたプロパンガスボンベは使わないのが基本です。
充填期限は『この期間が過ぎたら、再検査が必要』という期限ですよね。
ということは、
『この期限を過ぎて検査せずに使うのは、危ないかもしれませんよ』
という意味でもあるのです。
充填期限を過ぎたら使用せず、できるだけ早く再検査をしてもらってください。
もちろん、『充填期限を1日でも過ぎたら危険』というほどではありません。
充填期限は、そんなギリギリには設定しませんから。
でも、使わないほうが無難です。
何年も前に期限が切れている場合は、絶対に使わないでください。
プロパンガスボンベの検査の間隔は?
充填期限を延長するためのガスボンベの検査は、
- ボンベのサイズ
- 製造から何年たっているか
で決められています。
10㎏以下のボンベ | 20㎏、50㎏などの大きいボンベ | |
製造から20年未満 | 6年に1度 | 5年に1度 |
製造から20年以上 | 2年に1度 |
20年以上たったボンベは、大きさに関わらず、1年おきの検査が必要です。
先にも触れましたが、20年を過ぎたボンベを使う人が少ないのは、検査のコストを抑えるためなのです。
メモ
平成元年3月31日以前に製造されたガスボンベは、それ以降に製造されたものとは保安点検の間隔が違います。
ただ、平成元年3月以前に作られたボンベは、すでに製造から30年を超えていますよね。
安全性を考えると、新しいボンベを使うほうが確実です。
古いガスボンベや放置されたガスボンベを見つけたら
- 山林などで、放置された古いガスボンベを見つけた
- 引っ越し先に、充填期限の分からないガスボンベがある
- 不法投棄されたらしいボンベを見つけた
- 水害で流されたらしいガスボンベを見つけた
など、誰も管理していなそうなガスボンベを見つけた時には、
- 触らない、動かさない
- 倒したり、衝撃や振動を与えたりしない
- コックを開けない
ということを必ず守ってください。
そして
ガスボンベにガス会社の名前が書いてある
⇒そのガス会社に連絡する
ガス会社の名前が書いていない、もしくはガス会社に連絡が取れない
⇒近くのプロパンガス会社に問い合わせる
近くのプロパンガス会社に連絡したが、対応できないと言われた
⇒『LPガス協会』に相談する(各都道府県の『LPガス協会』の連絡先は、こちらです。 )
という対応をしてください。
充填期限を大幅に過ぎたガスボンベは、劣化している可能性があります。
また、『充填期限を過ぎていなければ絶対に安全』というわけではありません。
不法投棄などのボンベは、どう扱われていたのかわかりませんから、
ガス漏れを起こしたり、破裂したりする可能性もあり、とても危険です。
ですから、絶対に触らないでくださいね。
カセットガスボンベの『使用期限』について
ここで、家庭で使うカセットガスボンベの使用期限についても、簡単に見ておきましょう。
カセットガスボンベの使用期限はどのくらい?
カセットガスボンベには『使用期限』があり、製造から6~7年くらいが目安です。
この期限を過ぎてしまうと、
カセットガスボンベの部品として使われているゴムパッキンが劣化してしまう可能性があります。
そのため、メーカーでは『安全に使用できるのは、製造から6~7年』としているのです。
カセットガスボンベの使用期限はどこを見ればわかる?
カセットガスボンベには、『使用期限』ではなく、『製造年月日』が書かれています。
製造年月日は、どこを見るとわかるかというと、缶の底です。

カセットガスボンベの製造年月日
(平成25年10月以前に製造されたカセットガスボンベだと、違う形式で書いてある場合もあります。)
この製造年月日から6~7年以内なら、安心して使えます。
使用期限を過ぎたカセットガスボンベは使える?
使用期限を『少し過ぎた』くらいなら、まず大丈夫ですが、
使用期限の切れたカセットガスボンベを使うのは、自己責任になります。
そのことは頭に入れておいてください。
使用期限を過ぎても、中のガスが劣化するわけではありません。
ただ、先に書いたように、ゴムパッキンは劣化していきます。
ですから、カセットガスボンベは、使用期限が過ぎる前に使い切るようにしましょう。
また、
- 製造年月日から6~7年を大幅に過ぎている
- 缶がさび付いている
- 製造年月日が読めないが、明らかに古い
- カセットガスボンベが変形している
- 使ってみたら、異臭や異音がした
という場合は、絶対に使わないでください!
カセットガスボンベの処分方法については、こちらの記事で解説しています。
あわせて読んでくださいね。
関連記事:プロパンガスのボンベを処分する方法を解説!自分で捨てるのはアリ?
プロパンガスボンベの使い方
プロパンガスボンベを使う時に大切なのは『正しく安全に使うこと』。
そのためには、
レンタル店や販売店で取り扱いの説明を受け、しっかり理解してください。
特に初めての場合は、使う時の手順や注意事項など、難しく感じることもあるかもしれません。
よく説明してもらい、わからないことは質問し、教えてもらってください。
もちろんこの記事でも、基本的な使い方について、お伝えします。
じっくり読んでくださいね。
プロパンガスボンベを安全に使うには
まず、
- ガスボンベの設置の仕方
- ガス器具について気を付けること
- 実際にガスを使う時の注意事項
- ガスボンベを返却する時
- ガスボンベの保管の仕方
についてチェックしていきましょう。
ガスボンベの設置の仕方
ガスボンベを設置する時には
- 火気から2m以上離す
- 調整器を付けてもらったら外さず、必ずつけたままにしておく
- ガスボンベが倒れないような、平らで安定した場所で使う
- 直射日光が当たる場所など、ボンベが温まってしまう場所を避ける
- ガスボンベやバルブに衝撃を与えない
- 物が落ちてきたり倒れてきたりしてガスボンベに当たらない、安全な場所に置くこと

そうなんです。
でも、これは『基本のき』です。
どれも、ガスを安全に使うためには欠かせないことなので、必ず守ってください。
とくに、夏の屋外では、直射日光が当たるとすぐボンベが温まってしまいます。
かならず日陰の、安全で安定して置ける場所に置いてくださいね。
関連記事:プロパンガスボンベの設置基準や保管(置き場)のルールを解説!
ガス器具について気を付けること
プロパンガスを使う時には、
- ホースやガス器具は、必ずプロパンガス用のものを使う
- ガスホースは確実に接続する
- ガスホースは、物陰を通したり折り曲げたり、上に物を乗せたりしない
- ガスホースが熱を持ったガス器具に触れないようにする
- ガスホースは分岐させたり継ぎ足したりしないで、1本で使う
ガスホースやガス器具は、必ずプロパンガス用のものを使いましょう。
都市ガスとプロパンガスでは、ガスの熱量や成分、空気と混ぜる割合が違うからです。
プロパンガスに都市ガス用のガス器具を使ってしまうと、不完全燃焼や過燃焼などが起きる可能性があり、危険ですよ!
関連記事:都市ガスとプロパンガスでコンロを共用できる?器具の違いを紹介
ガスホースや器具は、ゆるんだりしないように、確実に接続してください。
ゆるみがあったりすると、ガス漏れしてしまう可能性があります。
また、
- ガスホースが折れ曲がっている
- ガスホースの上に物が乗っている
- ガスホースが、熱くなったガス器具に触れている
という状態だと、ガスが正常に通らなくなったり、ガスホースが破損したりする危険性があります。
もちろん、ガスホースを踏んだりしないようにも、気を付けてください。
そして、
ガスホースは、コックからガス器具まで1本で使うこと。
ガスホースを分岐させるアイテムもありますが、分岐してガスを使うことは禁止されています。
継ぎ足しも、万が一にでも外れてしまうと危険なので、やめてくださいね。
使用前の点検
ガスを使う前には、もう1度、点検をしましょう。
点検のポイントは
- ガスボンベや調整器、ヒューズコック、ゴムホース、コンロなど、接続した部分に接続不良やゆるみなどがないか
- ガスホースに亀裂や焼け焦げはないか
- ガスホースが物陰を通っていたり、上に物が乗っていたり、折れ曲がったりしていないか
という点です。
レンタルでガスボンベを借りた場合は、ガス会社の人にも点検してもらいましょう。
プロに点検してもらうと、安心ですよ。
ガスを使う時に気を付けること
ガスを使っている時に気を付けるのは
- 十分換気のできる場所、屋外なら風通しの良い場所で使う
- ガス器具のそばに、燃えやすいものを置かない
- きちんと火がついたかどうか、目で見て確認する
- ガスの火が青い火になっているか、確認する
- ガスを使っている間は、そばを離れない
- 火を消したら、火が消えたことを目で確認する
- 使い終わったら、確実に元栓を閉める
キッチンでガスを使う時も、同じですよね。
これは火を使う時の基本です。
特に屋外では、風で枯葉や紙などが飛んできてコンロに接触し、火が点いてしまう可能性もあります。
なので、
常に、確実に、誰かが火のそばにいて対応できるようにしてください。
たとえわずかな間でも、油断しないでくださいね。
ガスボンベを返却する場合
レンタルのガスボンベを返却する時には、ガス会社の人が引き取りに来ることがほとんどです。
その時にガス会社の人が器具やホースを外してくれます。
『使い終わったら、器具などはつないだままにしておいてください』と指示されたら、その指示に従ってください。
むやみに自分で外したり片付けたりせず、そのままで、引き取りに来るのを待ちましょう。
関連記事:プロパン(LP)ガスボンベのレンタル料金をチェック!おすすめ業者は?
ガスボンベの保管の仕方
ガスボンベを、自分で購入して持っている場合は、保管の時にも注意が必要です。
保管場所には条件があり、
- 火気から2m以上離れている
- 直射日光が当たらず、ガスボンベが40℃以上にならない
- 置いたガスボンベが転がったりせず、安定して置ける
- ガスボンベに車や物がぶつかったり、物が落ちてきて当たったりすることがない
- ボンベが腐食しない、水はけがよい場所
という場所に保管する必要があります。
また、
- ガスボンベを置いてある場所には、携帯電灯以外の燈火を持ち込まない
- ガスボンベを保管する設備は、不燃性、難燃性の素材で作る
- ガス漏れがあってもガスが滞留しないように対策をする
- いたずらや盗難防止のため、鍵をかける
といった注意も必要です。
どれも安全に保管するために、大切なことです。
必ず守ってくださいね。
関連記事:プロパンガスボンベの設置基準や保管(置き場)のルールを解説!
万が一ガス漏れがあったら
ガスを使っていて
『なんだかガス臭い』
『もしかしたら、ガス漏れかも?』
と思ったら、
- 使用中の火をすべて消す
- ガスボンベのバルブを閉める
- 屋内なら、窓を開けて換気をする(換気扇は絶対に使わないこと)
- 周囲の人にガス漏れの可能性があることを知らせ、火気厳禁を呼びかける
- ガスボンベの販売店、もしくはレンタル店に連絡する
- 点検してもらう
これを必ず守ってください。
屋外では、ガスの臭いが風に散らされて、感じられなくなることもあるかもしれません。
でも
点検をして異常がないことを確認できるまでは、絶対に使用を再開しないでください。
『臭いがしなくなったから大丈夫』は厳禁ですよ!
『火器厳禁』についての注意ポイント
『火気』とは、タバコやライター、花火などの、いわゆる『火』だけではなく、
- 電気器具のスイッチの火花
- 静電気の火花
- 草刈り機が石にあたったりして出る火花
も、『火気』です。
ガス漏れの時に『換気扇を使ってはいけない』というのは、スイッチを入れる時の火花が引火する可能性があるからです。
その他の電気器具のスイッチも、ガス漏れの時には危険です。
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まとめ
プロパンガスのボンベには、『充填期限』が書いてあります。
この充填期限を過ぎたら、再検査が必要です。
この検査に通らないと、ガスを充填してもらうこともできないので、必ず受けてください。
一方、カセットガスボンベには、『使用期限』があります。
カセットガスボンベの使用期限は、缶の底に書いてある製造日から6~7年。
期限が切れると、内部の部品が劣化していくので、期限内に使いきってください。
そして、プロパンガスボンベを使う時や保管する時には、注意することがあります。
注意することは、たくさんあるように感じるかもしれません。
でも、1つ1つ確認しながら対応していけば、大丈夫です。
プロパンガスボンベを購入する時、またレンタルする時には、ガス会社の人の説明をよく聞いて、守ってくださいね!
注意点さえ守れば、プロパンガスは安全で、とても便利なガスです。
上手に活用してください!