寒い冬を乗り切るために、どんな暖房器具を使っていますか?
暖房器具にも、いろいろな種類がありますよね。
中でも群を抜いて優秀な暖房器具が『ガス床暖房』。
空気も汚さず、体にも優しく、心地よい温かさが魅力的です。
そしてもう1つ、とても使いやすい暖房器具が『エアコン』ですね。
手軽に安全に使えますし、暑い時期は冷房もできます。
ではこの2つ、
どちらがランニングコストが安いのでしょうか?
機能性は、どうなのでしょうか。
ということで、今回は
- ガス床暖房とエアコンのランニングコスト
- ガス床暖房とエアコンの特徴
を比較してみました。
ぜひ読んでくださいね!
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ガス床暖房とエアコンのランニングコスト比較
ガス床暖房とエアコン、ランニングコストはどっちが安い?
結論から言うと、
ガス床暖房よりエアコンのほうが、ランニングコストが安いです。
都市ガスで比べても、ガス床暖房はエアコンより高いです。
プロパンガスとなると、都市ガスよりも料金が高いですから、さらにランニングコストは高くなります。
そのため、プロパンガスで床暖房をと相談すると、
と言うガス業者もいるくらいなのです。
1か月のガス代・電気代を比べると
ランニングコストを考える時に、
『1か月のガス代や電気代がどのくらいになるか』
は気になりますよね。
『1日10時間使った場合』でざっくりと比べてみると、
この比較での『床暖房』は、都市ガスの場合と考えられます。
ですから、
プロパンガスを使った床暖房なら、まず10,000円は超えると考えておいてください。
関連記事:ガス床暖房をつけっぱなしにすると1日にかかるガス代はいくら?
実際のランニングコストについて
そう思うのも、わかります。
でも、実際のランニングコストは、
状況によってさまざまで、一概に『月にいくら』と具体的な額を出すのは難しいのです。
なぜかというと、暖房にかかるガス代や電気代は
- 外気温の変化
- 実際の使用時間やスイッチを入れたり切ったりする回数
- ガスや電気の料金設定
- スイッチを入れてからしばらくの間に多めにかかるガス代、電気代がどのくらいになるか
- ガス床暖房の配管の冷え具合
- 室外機の状況
- 住宅の気密性(熱の逃がしにくさ)
- 暖房器具の性能
といった、さまざまな条件で変わるからです。
また、ガス代も電気代も、『1か月のガス代、電気代』となると
- ガスや電気の『基本料金』
- 床暖房やエアコン以外で使った分のガス代や電気代
も加わるわけですよね。
ですから、『月のガス代、電気代がどのくらいになるか』は、場合によって、さまざまなのです。
『自分の家庭ならいくらくらいかかりそうか』を知りたいときは、ガス会社や電力会社に相談すると良いですよ。
『暖房負荷』にかかるコストで比べると
『実際のランニングコストを比べるのは難しい』と書きましたが、床暖房とエアコンが、どのくらいの差になるかを感じてもらうために、
『簡易暖房負荷計算式』を使って『暖房負荷にかかるコスト』を計算してみました。
豆知識
『暖房負荷』とは、簡単に言うと『暖房している時に壁や床などから奪われる熱量』のことです。
室内を暖房で温めても、実は床や壁などから、熱は奪われ続けています。
部屋を暖かくするには、奪われた分の熱を補充しないといけないですよね。
ここでは、その『奪われた熱を補充するためにかかるコスト』を計算してみます。
『簡易暖房負荷計算式』で比べた結果
今回は、参考のために都市ガスも加えて、
- 従量料金350円のプロパンガス
- 従量料金480円のプロパンガス
- 従量料金140円の都市ガス
- 電気料金20円/kwhで使ったエアコン
この4つで比べてみます。
その結果、こうなりました。
ガス床暖房 | エアコン※ | |||
プロパンガス (350円) | プロパンガス (480円) | 都市ガス (140円) | ||
1時間使用 | 9円 | 12.3円 | 7.8円 | 7.1円 |
8時間使用 | 72円 | 98.8円 | 62.5円 | 57.2円 |
8時間×30日 | 2,160円 | 2,964円 | 1,875円 | 1,716円 |
(小数点2位以下は四捨五入)
豆知識
エアコンは『ヒートポンプ』という、非常に効率の良い暖房方法を使っています。
中には、『単純に電気で熱を作る暖房器具の5倍強』の暖房能力がある機種もあるのです。
ここでは『電気で熱を作る暖房器具の2倍弱の暖房能力』と仮定して、『電気代を計算上の6割』としています。
参考 セレクトラ『電気暖房器具の例外エアコンがコスパ1位 』
さらに、今回の計算では除外していますが、
ガス床暖房は、運転し始めてから約1時間は、その後の運転の4倍以上のガスを使います。
それを加えて考えると、やはり
- プロパンガスの床暖房のコストは、エアコンにかなわない
- 都市ガスでもエアコンよりはコストが高くなる
ということなのです。
なお、計算するにあたっての条件は、
- 部屋の広さは8畳(13.24立方メートル)
- 外気温7℃、室内温度22℃(15℃差)
- 消費ガス量・消費電力の変化は除外し、一定の出力で運転しているものとする
- 床暖房、エアコンともに熱効率は75%とする
- 電気の料金は20円/kwh
- 小数点2位以下は四捨五入
としています。
床暖房の設定温度を低めにした場合
先ほどは、エアコンも床暖房も、同じ温度に設定した場合で計算しました。
でも実際には、
床暖房はエアコンよりも温度設定が2~4℃くらい低めでも、十分暖かく感じられます。
これは、エアコンが温風を吹き出して暖めるのに比べ、床暖房では輻射熱も使って部屋全体を暖めることができるからです。
そこで、次は室内温度を
『エアコンは22℃、ガス床暖房は20℃で使った場合』
の暖房負荷にかかるコストで比較してみましょう。
ガス床暖房 | エアコン | |||
プロパンガス (350円) | プロパンガス (480円) | 都市ガス (140円) | ||
1時間使用 | 7.8円 | 10.7円 | 6.8円 | 7.1円 |
8時間使用 | 62.5円 | 85.7円 | 54.1円 | 57.2円 |
8時間×30日 | 1,875円 | 2,571円 | 1,623円 | 1,716円 |
(小数点2位以下は四捨五入)
今度は、
- 都市ガスの床暖房なら、エアコンより安い
- プロパンガスでも、従量単価が安ければエアコンより『少し高い』程度
という結果になりました。
ただし、先ほども書いたように、
この計算では、『床暖房のスタート時にはガスをたくさん使う』ことは除外されています。
それを考えに入れて、
- 都市ガスの床暖房は、エアコンより少し高い
- プロパンガスだと、従量単価が安くてもやはりエアコンより高くなる
と考えておくのが妥当なところですね。
今回の試算で使った計算式
今回使った計算式を紹介しておきます。
- 暖房で使う熱量(W/h)= 部屋の広さ(平方メートル) × 熱損失係数(2.7) × 室内と外気温の差(℃) ÷ 熱効率 × 使用時間
- 1の式の『W/h』を『kW/h』に換算(1W=0.001kW)
- 2で出た熱量をガスの量(立方メートル)に換算
- ガスの料金 = 3の結果 × 従量料金
- 電気料金 = 2の結果 × 1kW/hの料金
という方法で計算しています。
(1の式が『簡易暖房負荷計算式』です。)
豆知識
- 1kW分の熱量を出すのに必要なプロパンガスの量 = kW数 × 0.036
- 1kW分の熱量を出すのに必要な都市ガスの量 = kW数 × 0.078
床暖房のほうがコストが安い可能性はある?
基本的に、エアコンのほうが床暖房よりランニングコストは安いです。
『床暖房のほうがランニングコストが安くなる』可能性があるとすれば、
- 料金の安い都市ガスを使っていて、電気料金が高い
- プロパンガス料金がべらぼうに安く、電気料金がとても高い
という場合くらいです。
でも、こうしたケースはめったにありません。
ガス床暖房のコストをもう少し下げるには
ガス床暖房はどうしてもエアコンよりランニングコストが高くなります。
でも、もう少しコストを下げられる可能性はあります。
それは
- ガス床暖房対応のガス料金プランを利用する
- 今利用しているガス会社で、ガス床暖房対応のプランがない場合は、ガス会社を変えることも検討する
という方法です。
ガス床暖房を使うなら、料金をできるだけ安く!
ガス会社にもよりますが、
ガス床暖房対応のガス料金プランを用意していることがあります。
ガス床暖房を検討するならまず、プランがあるかどうか、ガス会社に問い合わせてみてください。
そして、もしガス床暖房対応プランがない場合は、
- ガス床暖房対応プランのあるガス会社に変える
- もっとガス料金が安いガス会社に変える
ということをおすすめします。
安いガス会社を探す方法
そうなんですよね。
でも、心配いりません。
ガス会社変更サービスに相談すると、安くて良心的なガス会社を紹介してくれます!
これが最も簡単な、『安くて良心的なガス会社の探し方』です。
ガス会社変更サービスに
『ガス式の床暖房を使いたいので、料金が出来るだけ安くできるガス会社を紹介してほしい』
と相談してください。
そうすると、ガス会社変更サービスで、ガス会社を探してくれます。
しかも
- 相談料、紹介料などすべて無料
- 良心的なガス会社を探してくれる
- ガス会社を変更する時は、必要な手続きを新しいガス会社に代行してもらえる
- 料金保証がある場合は、不当な値上げにも対応してくれる
- うるさい勧誘などもない
と、至れり尽くせり。
とても簡単にガス会社を変えることができます。
もちろん、料金がどのくらい安くなるかは状況によりますが、相談してみて損はないですよ!
関連記事:【2021最新】ガス料金を節約するプロパンガス会社変更サービス比較
ガス床暖房とエアコンの比較
ここまで、ガス床暖房とエアコンのコストについて見てきました。
でも『コスト』の感覚って、実際は金額だけではないですよね。
どんな機能や特徴があるかや、使い心地によっても
『この機能性なら、このコストでも安い』
『こういう短所があるなら、やっぱりコストが高いかな』
と、判断は変わります。
ということで、ここでガス床暖房とエアコンの特徴を比べてみましょう。
ガス床暖房とエアコン暖房の特徴を比較
暖め方や空気のきれいさ、安全性など、ガス床暖房とエアコンの特徴を比較しました。
表の青のところは長所、ピンクのところは短所、白のところはどちらとも言えない面です。
ガス床暖房 | エアコン | |
暖め方について | 床下にめぐらした配管にお湯を循環させて温める。 足元から暖まり、輻射熱もあるので、暖かさが壁にも反射して、部屋全体が暖まる | 上から温風を吹き出して暖める。 サーキュレーターを使わないと、温かい空気が上に溜まってしまうため、足元が冷えやすい |
空気の乾燥具合 | 乾燥しにくい。 | 乾燥しやすい。 乾燥を防ぐために加湿器を使うと、結露の原因にもなってしまう。 |
部屋が暖まる早さ | 室温が上がるのに約1時間くらいかかる。 これは床からの輻射熱で部屋の空気を暖めるため。 早めにスイッチを入れる、部屋が暖まるまでの間、エアコンを使うなどの方法もある。 | 早い。スイッチを入れて数分で温風が吹き出す。 ただし、部屋全体を暖めたいなら、サーキュレーターを使ったほうが良い。 |
暖かさについて | 輻射熱で部屋全体が暖まるだけでなく、体感温度もエアコンより高いので、エアコンより低めの温度設定でも十分暖かく感じることができる。
| 温かい空気が上に行きやすいので、床暖房に比べて足元が寒く感じやすい。 そのため、人によってはつい温度を上げたくなったり、ホットカーペットと併用したりすることもある。 |
部屋の空気のきれいさ | きれい。ちりやほこりが舞い上がることもなく、フィルターもないので、カビが発生する心配もない。 火も使わないので、空気を汚さない。 | 温風で暖めるので、ちりやほこりなどが舞い上がる。 また、フィルターの掃除をしないと、カビや臭いの発生の原因になってしまう。 |
省エネ度 | 体感温度が高めに感じるので、エアコンより設定温度が低くても暖かく感じることができるという点では、省エネ。 ただし、配管などでの放熱があるので、エネルギーロスは生じる。 | 最近の機種では、エコ機能や省電力性が進歩している。 ただし、足元が寒いからとホットカーペットを使ったりすると、さらに電力を消費する。 |
安全性 | 屋外の給湯器でガスを燃焼させるが、室内で火を使わず、燃料の補給作業もないので、安全性が高い。 本体は床下なので、子供のいたずらなどの心配もない。 ただし、低温やけどにならないよう、温度管理に気を付ける必要はある。 | ガスや石油の火を使わないので、安全度が高い。 高いところに取り付けるので、子どもが本体をいたずらしたりする心配もない。 小さい子どもや高齢者のいる家庭でも安心して使える。 |
操作しやすさ | 室内のリモコンで手軽に操作できる。 | 付属のリモコンで手軽に操作できる。 |
導入にかかる費用 | 広さにもよるが、おおまかな目安としては、60万円くらい。 熱源機や配水管、床暖房専用の床の仕上げ材の他に、工事費もかかる。 | 機能や対応する広さにもよるが、だいたい10~15万円くらい。 『暖房器具』として考えると、ストーブやファンヒーターに比べて高い。 ただし、夏は冷房に使えることを考えると、『そんなに高くない』とも考えられる。 |
取付工事 | 工事にかかる時間は、床下に設置するか今ある床の上に取り付けるか、また取り付ける場所の環境によって違うが、床上に付けるとしても、1日くらいはかかる。 | 取付場所や室外機を置く場所の状況にもよるが、目安としてだいたい2時間ほどの工事で済む。 |
耐用年数 | 温水の配管は30年以上だが、ガス温水器の熱源機は、他のガス器具同様10年くらい。 | 平均で10年ほど。 |
故障した場合の修理 | 床下部分が故障することは少ないが、万が一床下部分が故障すると、修理も大掛かりになるし、費用もかかる。 給湯器の修理なら、他の給湯器と同じようにできる。 | エアコン本体、もしくは室外機の修理で済む。 |
点検について | 故障を防ぐためにも、定期的な点検が必要。点検費用も掛かる。 | 特に点検は必要ない。 ただし、時々手入れが必要。 |
その他の長所 | 体に優しい温かさで、『コストはかかるけど、一度使ったらやめられない!』という人も少なくない。 | 『夏はクーラーとして使える』という、他の暖房器具にはない機能がある。 |
その他の短所 | やはり他の暖房器具に比べ、コストは高くなってしまう。 | 時々フィルターの手入れが必要だが、つい面倒でおろそかにしてしまうことも…。 状況によっては、内部の掃除を専門業者に頼む必要がある。 |
『暖房器具としての性能』とコストを考える
さて、ガス床暖房とエアコンの機能などに付いて比べてみましたが、どうでしょうか。
暖房の『コスト』を考える時には、ガスや電気にかかる費用そのものも、もちろん大切ですが
- 冬を快適に過ごせるだけの機能性があるかどうか
- ライフスタイルや家族の状況に合っていて、使いやすいかどうか
- 長い期間使えるかどうか
- メンテナンスの手間や費用
- かかるコストが、その暖房器具で得られる快適さに見合っていると思えるかどうか
といったことも、とても大切です。
費用を重視するあまり、寒いことを我慢しなければならなかったり、逆に『快適だけど、家計には辛い』ことになってしまうと、残念ですからね。
特に床暖房は、導入するにしても大掛かりですし、設置費用も掛かります。
とても快適で、見返りも多い暖房器具ですが、まずは
- 導入にかかるコスト
- メンテナンス費用
- ランニングコスト
- ガスや電気の料金をどれだけ安くできそうかや、料金プラン
などをよく調べて、じっくり検討してくださいね。
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まとめ
ガス床暖房は、よく言われるように、やはりコストがかかります。
それは都市ガスでも同じですが、プロパンガスで使うと、さらにコストは高くなってしまいます。
一方、エアコンでの暖房は、電気代はかかりますが、ガス床暖房よりコストがかかりません。
導入にかかる費用も工事の手間も、ガス床暖房より少なくて済みます。
それでも、ガス床暖房はメリットも多く、とても評判の良い暖房器具です。
かかりそうなガス代やライフスタイルを考えて、『コストに見合う』と思えるなら、床暖房を導入するだけのリターンは、十分にあります。
もちろん、他の暖房器具のほうが合っているなら、その器具を選ぶことが大切です。
どちらを選ぶにしても、自分に合った暖房の方法で、冬を暖かく過ごしてください!