家計の中で大きな割合を占めるのが『光熱費』。
特に、キッチンで使うガス代は、節約してもなかなか減らせないものです。


はい、IHにすれば確かにガス代は減らせますが、コンロを使う分の電気代は増えます。
IHコンロとガスコンロ、どちらが光熱費が安く済むのでしょうか?
ということで、今回は
- IHコンロとガスコンロではどちらが光熱費が安く済むのか
- IHコンロとガスコンロの比較
- キッチンのガス代を節約する方法
についてお伝えします。
ぜひ読んでくださいね!
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IHとガスコンロ、光熱費はどっちが安い?
今回は
- 電気1Kw/h分のエネルギーにかかる電気代・ガス代
- IHコンロとガスコンロで水1Lを沸騰させるのにかかる光熱費
を比べてみましょう。
せっかくなので、ガスは都市ガスとプロパンガスの料金で比べます。
電気1Kw分のエネルギーにかかる電気代とガス代を比較
まず、『電気1kWh分のエネルギーは、電気、ガスでどのくらいの光熱費になるのか』を見てみましょう。
今回は
電気1Kw分の熱量
⇒860Kcal
電気料金
⇒19.88円/kWh(東京電力 関東のスタンダードSプラン)
プロパンガスの従量料金
⇒607.1円(石油情報センター2022年10月確報 東京都の一般小売価格)
都市ガスの従量料金
⇒195.02円(東京ガス 2022年11月検針分料金)
という条件で計算しました。
結果は以下の通りです。
必要な電気・ガスの量 | 光熱費 (小数点2位以下は四捨五入) | |
電気 | 1Kwh | 19.9円 |
プロパンガス | 0.036立方メートル | 21.9円 |
都市ガス | 0.078立方メートル | 15.2円 |
ということで、安い順に
都市ガス
電気
プロパンガス
という結果になりました。
1リットルの水を沸騰させる光熱費で比較すると?
次に、コンロの熱効率も考慮に入れて『1リットルの水を沸騰させる場合の光熱費』を計算してみましょう。
水の温度
⇒15℃から100℃まで上げる(85Kcal必要)
電気料金(東京電力 関東のスタンダードSプラン)
⇒19.88円/kWh
プロパンガスの従量料金(石油情報センター2022年10月確報 東京都の一般小売価格)
⇒607.1円
都市ガスの従量料金(東京ガス 2022年11月検針分料金)
⇒195.02円
IHコンロの熱効率
⇒熱効率80%
ガスコンロの熱効率
⇒60%
電気1Kw分の熱量
⇒860Kcal
プロパンガスの熱量
⇒約24,000Kcal/立方メートル
都市ガスの熱量
⇒約11,000Kcal/立方メートル
として計算をします。
その結果を見てみると…。
光熱費 | |
電気 | 2.5円 |
プロパンガス | 3.6円 |
都市ガス | 2.5円 |
(小数点2位以下は四捨五入)
今度の比較では
電気・都市ガス
プロパンガス
という結果になり、金額の差もわずか約1円でした。
ただ、実際の生活でコンロを使う場合は
- もっと多い量のの水を沸かす
- 調理でもガスを使う
- 毎日、調理などでコンロを使う
という状況になるので、長期的には大きな差になる可能性が高いです。
計算方法
1Lの水を沸騰させるために必要な光熱費は
- 100℃ - 火にかける前の水の温度 = 水を1L沸騰させるのに必要な熱量(Kcal)
- 水1Lを沸騰させるのに必要な熱量 ÷(1kwあたりもしくは1立方メートルあたりの熱量 × 熱効率)= 水1Lを沸騰させるのに必要な電気やガスの量
- 水1Lを沸騰させるのに必要な電気やガスの量 × 従量単価 = 電気・ガス代
という手順で計算すれば、出すことができます。
実用場面でのIHとガスコンロの光熱費比較は難しい
ここまで2つの方法でIHコンロとガスコンロの光熱費を比較してきましたが、
今回の結果は、あくまでもざっくりとした条件での試算です。
実際に日常的に使うIHコンロやガスコンロでかかる光熱費は
- 契約している電気料金やガスの料金プラン
- IHクッキングヒーターやガスコンロの性能
- 鍋などの調理器具の材質(熱伝導率など)
- 気温や調理器具の温度
- プロパンガス、都市ガスの従量単価
などによって変化するので、一概に『どちらが安い』と断定することはできません。
ネット上には、『ガスのほうが安い』という話も『IHのほうが安い』という話もあります。
両方の説があるのは、状況によってかかる光熱費が違うからなのです。
もし、『自分の家計の場合』を計算してみたい場合は、先ほど紹介した計算方法を使って、実際に契約している電気やガスの料金で計算してみると良いですよ。
ただ、一般的には
- 都市ガスはプロパンガスより安い
- プロパンガスでも、料金が安いほど電気や都市ガスとの差が少なくなる
ということは言えます。
光熱費以外のIHコンロとガスコンロの比較
『コンロをIHにするかガスにするか』を考える時に大切なのは、光熱費だけではないですよね。
IHコンロとガスコンロの
- 安全性
- 使い勝手
- 機能
- 向いている料理
なども、ざっと比べてみましょう。
メリットは水色のマス、デメリットはピンクのマス、どちらとも言えない事柄は白マスと塗り分けてあります。
IHクッキングヒーター | ガスコンロ | |
火災の危険性 | 火を使わないので、火災になったりやけどしたりする可能性が低い ガス漏れの心配もいらない | 火を使うので、火災ややけど、袖への火移りなどに常に注意が必要 ガス漏れや不完全燃焼、消し忘れにも気を付けなければならない Siセンサーが付いていて、消し忘れても自動的に止めてくれる機能が付いたものが多い |
注意力など | 火が見えないので、『注意しなければ』という意識を比較的持ちにくい。 | 火が見えるので、『火事ややけどに気を付けなければ』という意識を持ちやすい。 子どもにも『火』について教えることができる。 |
熱効率 | 90%くらい。 鍋などに直接熱を伝えるので、熱効率が良い。 | 熱効率は50~80%。 熱が周りの空気にも行ってしまうので、熱効率が悪い。 |
調理器具 | IH対応のものを使わなければならない。 多層鍋や銅、アルミ、耐熱ガラスや土鍋、セラミックなどは使えない。 | どんな調理器具でも使える。 |
導入費用 | ビルトインの場合で、コンロの購入費用+工事費に6万円くらい 調理器具もIH対応の製品に買い替える必要がある | ビルトインコンロの場合で、本体価格+2万円くらい
|
火加減 | ボタンで調節。 簡単だが、火が見えないので、『火の強さ』がわかりにくく、微妙な火加減はしにくい。 ある程度の慣れも必要。 | つまみで調節。 火を見て強さを確認できるので、微妙な火加減もしやすい。 |
加熱の速さ | ガスより早い。 | IHクッキングヒーターより遅い。 |
複数の鍋での強火の調理 | コンロ上で複数の強火調理が難しい。 内線規程で使う電力の量が決められているため、超過するとブレーカーが落ちてしまうこともある。 | コンロ上で複数の強火調理ができる。 |
料理での使い勝手 | 調理器具が天板についていないと熱が伝わらないので、鍋を振って調理をすることができない。 | 均等な味付けや『程よく焦がす』ことなどがしやすい。 中華鍋を振ってかき混ぜたりもできるし、食材に味を行き渡らせやすい。 |
向いている料理 | 角煮やシチューなど、じっくり煮込む系の料理。 | 中華など、強い火力が必要な料理。 |
手入れ | 平らなので、手軽に掃除ができる。 | ゴトクを外したり、バーナーの穴を掃除したりなど、手間がかかる。 |
汚れ具合 | 水蒸気が発生しないので、水と油が混ざったようなベタベタした汚れが少ない。 | 水と油が混ざったベタベタ汚れが付きやすい。 |
頑丈さ | 調理器具を乱暴に置くと、天板が傷ついたりすることがある。 | 多少雑に鍋を置いたりしても大丈夫。 |
周りの汚れ | 壁や換気扇などの汚れが少ない。 | 壁や換気扇などにも汚れが付きやすい。 |
空気の汚れ | 空気が汚れず、二酸化炭素や窒素炭化物が発生しない | 二酸化炭素や窒素炭化物などが発生するため、換気が必要。 |
キッチンの暑さ | 室内に熱がこもりにくく、夏も比較的キッチンが暑くならない。 | コンロ周りの空気も温めるので、キッチンも暑くなる。 |
時間帯と、電気代・ ガス代の関係 | 契約プランにもよるが、電気代が高い時間帯に長時間使うと、電気代が高くなってしまう。 逆に、電気代が安い時間帯に調理すれば、節約できる。 | どの時間帯に調理しても、ガス代は一定。 |
停電に対する強さ | 停電時は使えない。 | 停電時でも、ガスの安全が確認できれば使える。 |
こうしてみると、どちらもメリットとデメリットがさまざまありますね。
IHクッキングヒーターにはガスコンロにはない良さがあり、ガスコンロにはIHクッキングヒーターにはない強みもあります。
選ぶときは、両方のメリットやデメリットも考えてじっくり検討しましょう。
特に、『ガス代を節約するためにIHコンロの導入を考えている』という場合は、
- IHコンロの導入にかかる費用
- 鍋やフライパンなどをIH対応の製品に買い替える費用
- IHコンロにした場合に、どのくらい電気代が増えそうか
などもよく考えて、今までのガス代よりも安くなりそうかどうか、本当にメリットがありそうかをよく検討してください。
コンロで使うガス代を節約する方法

IHコンロでベーコンを焼く
ガス代節約のためにIH導入を検討する前に

IHコンロを導入する目的が『ガス代の節約』であるなら、その前に
『安いガス会社に乗り換える』ことを検討するのがおすすめです!
IHコンロを導入するには、本体の購入や工事費用、調理器具を買い替える費用もかかります。
それに、ガスの節約をがんばったとしても、料金が高ければ個人の努力では限界がありますよね。
安いガス会社に乗り換えれば、料金そのものが下がるので、ガス代を根本的に節約することができるのです。

大丈夫です。
ガス会社変更サービスを利用すれば簡単に、料金が安く、しっかりしたサービスを提供してくれるガス会社を紹介してもらうことができます。
私の家でも利用して、地域の一般小売価格より約180円も安い従量単価でガスを利用しているんですよ。
実際にどのくらい安くなるかは、状況にもよります。
また、場合によってはガス会社を乗り換えないほうがメリットが大きかったり、乗り換えられない場合もあります。
でも、ガス代を節約したいなら、一度ガス会社変更サービスに相談してみる価値はありますよ!
関連記事:【2022最新】プロパンガス料金を節約するサービス徹底比較
関連記事:ガス屋の窓口でプロパンガス会社を変更してみた【料金節約レビュー】
キッチンできるガス節約術
ガス会社を乗り換えたとしても、ガス代がもっと減るにこしたことはないですよね。
キッチンでのガス節約術は、けっこうたくさんあります。
- 調理のときの節約術
- 洗い物などで給湯器を使うときの節約術
を見ていきましょう。
調理のときのガス節約術
調理に使うガスを節約する方法は、
- 鍋の底の水を拭き取ってから火にかける
- 鍋の底から火がはみ出さないように調節する
- なるべく底が平らな鍋ややかんを使う
- 調理するときは、『中火』を中心に使う
- 給湯器がすでに点いているときに茹で物などでお湯を沸かすときは、給湯器のお湯を使う
- 凍っている食材は冷蔵庫や常温で解凍してから調理する
- 落し蓋を使う
- 圧力鍋を使う
- 食材に火が通った後は、新聞紙やバスタオルなどで鍋を包んで保温調理をする
- 1つのフライパンで複数の料理を同時に作る
- コップ一杯程度のお湯なら、電気ケトルを使って沸かす
- 具材を小さめに切る(ただし、食感や食べ応えも大事にできる範囲で)
といった方法があります。
なお、茹で物などに給湯器のお湯を使うのは、『すでに給湯器のスイッチが入っているとき』だけにしたほうが良いです。
わざわざ電源を入れてお湯が出るまで水を出すと、かえって水やガスがもったいないからです。
関連記事:電気・IHケトルとプロパンガスでお湯を沸かす光熱費を比較【電気代】
キッチンの給湯でのガス節約方法
お皿の洗い方などを工夫すると、給湯器で使うお湯やガスも節約できます。
- 給湯器の温度設定を、無理のない範囲で低くする
- 洗う時に、ゴム手袋をして洗う
- 調理器具やお皿の汚れを、新聞紙などで拭き取ってから洗う
- 食器や調理器具などは、溜め洗いする
- パスタやうどん、ホウレン草や卵などの茹で汁で下洗いをする(すすぎは水や給湯器のお湯で)
- 食洗器を使う
といった方法です。
洗い物で使うお湯は、『冷たくない』程度のお湯で十分です。
なるべく温度を下げて使いましょう。
温度を1℃下げるだけでも、節約には効果的です。
ゴム手袋をすれば、温度が低くても冷たく感じにくくなりますよ。
溜め洗いをする時には、
湯飲みなどの汚れの少ないものから順に洗い、油汚れなどのあるものは後のほうに洗う
というのがコツです。
食洗器は、水道代がかかるイメージがありますよね。
でも、節水型の機種を使えば、手洗いよりも使う水が少なくて済みます。
水道代の節約にもなりますね。
ガスコンロの手入れもお忘れなく
ガスを節約するためには、ガスコンロの掃除も大切です。
ガスコンロを掃除しておくと、
ガスの熱が鍋やフライパンに伝わりやすくなるので、効率良くガスを使うことができます。
効率よくガスを使えれば、ガスの節約にもなりますよね。
特にガスバーナーは火が出る部分なので、時々丁寧に掃除してください。
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まとめ
IHコンロとガスコンロ、どちらが光熱費が安いかということは、一概には言えませんが、
プロパンガスのコンロであれば、IHコンロより高くなる可能性があります。
水1Lを沸かすくらいなら、光熱費に大きな差はありません。
でも、日常的に使っていれば小さな差も大きな差になるでしょう。
ガスコンロにするかIHコンロにするか迷っているなら、
- IHコンロとガスコンロの導入にかかる費用やランニングコストをよく調べる
- IHコンロとガスコンロのメリット・デメリットをよく検討して、ライフスタイルに合うほうを選ぶ
というのがおすすめです。
また、
ガス代を減らす目的でIHコンロ導入を考えているなら、先にガス会社の乗り換えを検討することをおすすめします。
料金の安いガス会社と契約すれば、ガス代を根本的に減らすことができるからです。
そのうえで日々の節約を重ねていくのが、光熱費削減には効果的ですよ!