キャンプや登山に持っていくガスボンベと言えば、やはり『OD缶』ですよね。
丈夫ですし、アウトドアにもって行きやすい形になっています。
でもこのOD缶、価格が高いのが玉にキズ。
それはダメです!
ガスの詰め替えは、爆発事故につながる可能性もある危険な行為で、法律でも禁止されているんですよ!
ということで今回は
- なぜCB缶からOD缶にガスを詰め替えてはいけないのか
- CB缶からOD缶へのガスの詰め替えで起きうる事故
について解説します。
『OD缶にガスを詰め替えて使おうかな』と考えている人は、ぜひ読んでくださいね!
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CB缶からOD缶にガスを詰め替えるのはアリ?
『そもそもCB缶からOD缶にガスを詰め替えても良いのかどうか』ですが、
ガスの詰め替えは、絶対にやらないでください。
- 事故が起きる可能性がある
- ボンベやカートリッジは、再充填(空のボンベに再度ガスを詰めること)を前提に作っていない
ということから、法律でも禁止されています。
メモ
この記事では主に『CB缶のガスをOD缶に詰め替える』ことについて解説していますが、
- OD缶のガスをCB缶に詰め替える
- CB缶のガスを別のCB缶に詰め替える
- OD缶からOD缶など、同じ種類の別のボンベに詰め替える
といった詰め替えも、同じです。
詰め替えは爆発などの事故につながる可能性がある
ガスの詰め替えは、ガス漏れや引火、爆発などの事故に至りかねない危険な行為です。
はい、そうです。
たとえば、
- ガスを充填するときにアダプタがきちんとつなげていなかったためにガス漏れが起きた
- ボンベにガスを入れすぎて、ガスを使うときにガスが勢いよく噴き出す
といった危険性があります。
ガス漏れが起きたりガスが噴き出したりしたところに火が付けば、火事や爆発が起きかねません。
カセットボンベは詰め替えに対応していない
OD缶やCB缶は、『使い切り』を前提に作られています。
- 再充填をして使うように作られていない
- 再充填して使った場合の安全性は確認していない
- 再充填して使うための、ボンベの法定検査などもされない
ということから、詰め替えて使った場合の安全性は保証されていません。
詰め替えに対応していないということは当然、事故が起きてもメーカーの保証の対象にはなりません。
ガスの詰め替えは違法
ここまでに書いたように、
- カセットボンベのガスの詰め替えは、事故のリスクがある
- カセットボンベもガスを詰め替えて使うようにはできておらず、安全性も担保されない
ということから、
カセットガスの詰め替えは、法律でもカセットボンベのメーカーでも禁止しています。
経済産業省からも、2007年11月の時点で、注意喚起の通知が出ています。
経済産業省『簡易な液化ガス容器への再充てん禁止に係る注意喚起』
ガスの詰め替えはやめよう!
確かにネット上には、詰め替えの方法や『詰め替えて使っている』といった話を書いている人もいますよね。
でも、『やっている人がいる』ことは、安全である根拠にはなりません。
なにより、
ガス漏れはちょっとしたことで大きな火災や大事故にもつながるのです。
大きな事故になってしまったら、他人を巻き込む可能性もありますよね。
ガスは、『可燃性の危険物』であることを忘れないでください。
法律でもメーカーでも禁止しているのは、やはり危ないからなのです。
ちょっと厳しい言い方になりますが、
- ガス漏れくらい大したことない
- 他にもやっている人がいるから大丈夫
などと思うとしたら、それは油断でもあるので、なおさら詰め替えをしないほうが良いです。
カセットボンベの詰め替えで起きた事故ってある?
実際にあった事故の事例
カセットボンベの詰め替えでは、実際に事故が起きています。
まず、その事例を見ていきましょう。
2018年9月に起きた事故では
事故の事例
CB缶からOD缶への詰め替えをする時に、詰め替えやすくしようとしてCB缶を加熱したところ、CB缶が破裂し、ガス漏れが起きた。
とのこと。
また、
事故の事例
ガスを詰め替えようとしてアダプタを取り付けたら、中のガスが液体のまま噴き出してきた。
という事例もあります。
この事例ではどちらも、幸い火災や爆発には至っていません。
でも、ガスカートリッジやボンベの破裂で怪我をする可能性がありますし、漏れたガスに引火したら大変なことになります。
カセットボンベの詰め替えでは、そこまでの大事故の例は、見つかっていません。
でも、消防署などに連絡しないで済ませてしまったガス漏れ事故も発生していると考えられます。
そういった事故も含めると、実際にはけっこうな事故件数がありそうです。
スプレー缶での大爆発事故
ガスの詰め替えではありませんが、ガスへの引火で大爆発が起きた例を1つ紹介しておきましょう。
2018年12月、北海道の不動産仲介業者の店舗内で、スプレー缶のガス抜き作業後に引火して爆発が起きた事故がありました。
この事故では、スプレー缶のガスによる爆発からプロパンガス設備が損傷して大爆発に至り、
- 爆発で不動産仲介業者の店舗と隣の居酒屋が倒壊、炎上
- 周辺の建物の窓ガラスが割れる
- 吹き飛ばされたトタン屋根が架線に接触したことで、200戸以上が停電
- 周辺の交通止めにより、バスの迂回運転や周辺店舗が休業
- 負傷者50名以上
という大きな被害が出ました。
この事故は、大量のスプレー缶のガス抜きがきっかけで起きたものです。
でも、
『ガスの事故は思わぬ大事故になる可能性もあるし、自分だけの被害で済まないこともある』
ということが、この事故からよくわかりますね。
だから、たとえカセットボンベ1つといえ、
- 注意事項を守って、正しく扱う
- 禁止されていることはしない
ということが大切なんですよ!
なお、プロパンガスの事故の事例はこちらに詳しく書いています。
あわせて読んでみてください。
関連記事:プロパン(LP)ガスで起きた事故を調査!ボンベが爆発することはある?
ガスの詰め替えで起きる事故の原因は?
CB缶からOD缶への詰め替えでは、どんなことが事故につながるかというと、
アダプターを接続したときに、きちんと接続していなかった・アダプターのバルブを閉め忘れた
⇒ガス漏れが起きる
ガスが漏れていたところに静電気や電化製品の火花が散る
⇒引火して火災や爆発につながる
OD缶にぎりぎりまでガスを入れてしまう(入れすぎ)
⇒ガス器具に繋げて点火した時に、液体のままのガスが噴き出して火柱になり、火事になる
といったことです。
はい、危ないです!
というのも、ガスは
- 換気扇など、電気器具のスイッチで起きる火花
- 静電気の火花
といった、ほんのちょっとした火花でも引火し、火事や爆発につながる可能性があるからです。
『たかがガス漏れ』と思ってはいけませんよ!
CB缶のガスを使いたいなら
そうですよね。
『OD缶が高いから、CB缶のガスを使ってコストを抑えたい』という人は多いです。
そこでおすすめなのが
- CB缶に対応しているバーナーなどを使う
- CB缶をOD缶用のガス器具で使えるようにするアダプターを使う
という方法です。
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CB缶対応のガス器具を使う
『ぜひともCB缶のガスを使いたい』ということなら、
CB缶で使えるガス器具を使うのがおすすめです!
そうすれば、詰め替えしなくて済みますからね。
たとえば、バーナーなら
といったバーナーがあります。
他にも、
- ガストーチ
- ツーバーナー
- ランタン
などにも、CB缶で使えるガス器具があります。
CB缶をOD缶用のガス器具に対応させるアダプター
『OD缶用のガス器具をCB缶のガスで使いたい』ということなら、
CB缶に取り付けてOD缶用のガス器具を使えるようにする『変換アダプター』を使うのがおすすめです!
変換アダプターを使えば、わざわざ危険を冒してガスを詰め替える必要もありません。
しかも、製品によっては詰め替えアダプターよりも安く買えます。
『CB缶を立てて使うのは安定性が悪くて心配』という場合は、CB缶に付けたアダプターとガス器具をつなぐホースもありますよ。
注意
ネットショップなどでは、『変換アダプター』で検索すると詰め替え用のアダプターも一緒に表示されることがあります。
買うときには、変換アダプターかどうかや使い方をよく確認して買ってください。
OD缶のメリットを生かしたいなら
OD缶はアウトドア向けのガスカートリッジなので、やはり持ち歩きしやすいですよね。
また、CB缶より丈夫にできています。
そういったOD缶のメリットを生かしたいということであれば、コストはかかってもOD缶を買って使うのが一番良いです。
OD缶はたしかにCB缶より高いですが、『安全のためのコスト』と思えば、決して高くないですよ。
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まとめ
CD缶のガスをOD缶に詰め替えるのは、
- ガス漏れする
- 漏れたガスへの引火から火災や爆発が起きる
- OD缶にガスを詰めすぎたために、着火した時にガスが噴き出して火柱になってしまう
といった事故が起きる可能性があります。
危険ですから、絶対にやらないでください。
実際に、
詰め替えるためにボンベを温めたら、破裂してガスが漏れた
といった事故も起きています。
カセットガスボンベは、再充填して使うための安全性の確認や検査はしていません。
『カセットボンベのガスの詰め替えは危険性がある』ということで、法律でもガスボンベのメーカーでも禁止しています。
ですから、危険を冒して詰め替えをするのではなく、
- CB缶で使えるガス器具を使う
- OD缶用のガス器具でCB缶を使えるようにする変換アダプターを使う
- コストがかかってもOD缶を買う
といった方法を取ってください。
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アウトドアを楽しむためには、安全であることが大切ですよね。
もちろん、キャンプや登山に行くための準備も、『安全第一』です。
存分に楽しむためにも、カセットガスボンベやカートリッジは、正しく使いましょう!