家庭で使われる『ガスボンベ』といえば、
- プロパンガスボンベ
- カセットガスボンベ
の二つですよね。
この二種類のガスボンベは、大きさも形も素材も違いますが、
- 一定の圧力で安全にガスを入れておく
- 使いやすくガスを使える仕組みになっている
という点は同じです。
どちらも、とてもうまくできているんですよ。
また、『ガスボンベ』といえば気になるのが、『爆発』のこと。
万が一、ガスを使っている時に爆発しないかどうか、気にしている人も多いです。
今回の記事では、プロパンガスボンベと、家庭でよく使うカセットガスボンベについて
- ガスボンベの仕組み
- 爆発する可能性はあるのかどうか
について解説していきます。
安全にガスを使うために、ぜひ読んでみてくださいね!
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プロパンガスボンベとカセットガスボンベの仕組み
プロパンガスの性質
プロパンガスボンベの仕組みには、中に入っているプロパンガスの性質が関わっています。
ですからまず、プロパンガスの性質について解説しておきましょう。
プロパンガスは、
圧力をかけると簡単に液体になり、気体の約250分の1の体積になります。
体積を小さくすることで、より多くのガスを効率的に保管や運送することができるのです。
効率的に保管や運送ができると言っても、液体のままではガスとして使えないですよね。
でもプロパンガスは、圧力がかかっていなければ、-42.1℃というとても低い温度で気体になります。
常温では、気体の状態です。
- 圧力がかかると、液体になる
- 圧力がかからず、気温が-42.1℃以上なら、気体になる
ということを、ここで覚えておいてください。
この先の話に繋がります。
プロパンガスボンベの仕組みはどうなってる?
プロパンガスボンベの中に入っているのは、多くが液体のプロパンガスです。
でも、中に詰められたプロパンガスの一部は、気体となって上の方に溜まっています。
ボンベからガスを出して使う時は、上に溜まっている気体のガスを使います。
気体のガスを使って中身が減ると、ボンベの中の圧力が下がりますよね。
圧力が下がると、液体のプロパンガスが気体となって上のほうに溜まります。
図にすると、こういうことです。
その結果、ボンベの中は
- 圧力は一定に保たれる
- 上のほうには、いつも気体のプロパンガスがある
という状態になっているのです。
ですから、『圧力が上がりすぎたり下がりすぎたりしてボンベが爆発する』ということはありません。
プロパンガスボンベの圧力について
『プロパンガスの中は、一定の圧力で保たれる』
と書きましたが、どのくらいの圧力でバランスがとれているかは、ガスボンベの外の気温によって変わります。
外気温 | 蒸気圧 |
0℃ | 0.37Mpa |
10℃ | 0.53MPa |
20℃ | 0.73MPa |
30℃ | 0.97MPa |
40℃ | 1.25MPa |
引用 タイナビSwitch『LPGボンベの容量や種類、設置基準、大きさ、圧力をわかりやすく解説!!』
ガスボンベに入っている状態では、ガスの圧力は高いです。
でも、ガスメーターを通って住宅に入り、ガス器具に届くまでには、1MPa以下になるように調整されています。
圧力を下げることで、ガス器具で安全に適切にガスを使えるようにしているのです。
カセットガスボンベの仕組み
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カセットガスボンベも、基本的な仕組みはプロパンガスボンベと同じです。
液体のプロパンガスが入っていて、一部が気体になっています。
そして、気体のプロパンガスが減ると圧力が減って、液体のガスが気体になり、一定の圧力が保たれるのです。
いいところに気が付きましたね!
横倒しでも、ちゃんと気体のガスが使えるようになっているんです。
カセットガスボンベの中には、L字型の管が入っています。
カセットガスボンベを正しくセットすると、この管の先が気体のガスの部分に出るようになっています。
この状態で缶の出口を開くと、気体のプロパンガスが出て来て、コンロの燃料として使えるのです。
カセットガスボンベには、切込みが入っていますよね。
この切込みを上に向けてセットすれば、L字型の管の先が、気体の所に出るのです。
もし、この切込みを下や横に向けてセットすると、管の先は液体の部分に入ってしまいます。
その状態で缶の出口を開くと、液体のガスが噴き出してしまい、火災などの大事故につながることもあります。
カセットガスボンベを使う時は、切込みを必ず上にして正しくセットして使ってください。
プロパンガスボンベは爆発する?
結論から言うと、プロパンガスボンベもカセットガスボンベも、
正しく使っていれば、そうそう爆発することはありません。
ただし、あくまでも『正しく使っていれば』です。
では、どんな場合にガスボンベが爆発する可能性があるのか、また、正しい使い方について、解説していきましょう。
プロパンガスボンベはどんな時に爆発する?
『何も理由がないのに、プロパンガスボンベが爆発する』ということはありません。
ガスボンベが爆発するとしたら、
- 中のプロパンガスが酸素と混ざった
- ガスボンベが倒壊した建物の下敷きになるなどして、押しつぶされた
- ガスボンベの強度を超えるほどの衝撃がかかった
という場合くらいです。
ボンベの中は、液体と気体のプロパンガスで満たされています。
ですから、酸素と混ざることはありませんし、ボンベの中でガスが勝手に爆発したり燃えたりもしません。
また、ボンベが押しつぶされた場合、ガスボンベには、ボンベ内の圧力が上がると、ガスを放出して圧力を下げる仕組みがあります。
なので、放出するのが間に合わないほど急激に、ものすごい力でつぶされることでもないと、爆発しません。
非常に強い衝撃がかかった場合は、ボンベが破裂する可能性がありますが、
ガスボンベは、かなりの強度があります。
ある人によると、『車がプロパンガスボンベに突っ込んだのを目撃したが、ボンベが壊れなかった』とのこと。
そのくらいですから、ちょっとぶつかったり倒したくらいでは壊れません。
プロパンガスボンベは非常に頑丈にできているんですよ!
プロパンガスの事故件数は?
プロパンガスの事故は、どのくらい起きているのでしょうか。
経済産業省の『LPガス一般消費者等事故集計表』(2019年)によると
ガス漏れなどの比較的軽度で済んだ事故を含めて、198件。
(このうち、『爆発』を伴う事故が何件だったのかは、不明です。)
プロパンガスを使っている世帯は、全国で2,600万世帯あります。
それに対しての198件ですから、
『プロパンガスの事故は限りなく少なく、爆発事故はめったにない』
ということがわかりますね。
プロパンガスボンベの安全対策
プロパンガスには、安全対策がされています。
- 圧力が一定以上になると、ガスを放出する安全弁
- 地震を感知して自動的にガスを止める装置
『安全弁』は、火災などでボンベの温度や圧力がある程度上がると、ガスを放出する弁です。
実は、その通りなんです。
でも、ガスボンベ自体が爆発することはありません。
もしガスを放出しなかったら、ガスボンベの圧力が上がり、大爆発してしまいます。
そうすると、被害はさらに大きくなりますよね。
ガスを放出することで、被害をより少なくすることができるのです。
また、ガスのメーターには、
震度5以上の地震を感知して、自動的にガスを止める装置が付いています。
万が一、大きな地震があってガス設備が壊れても、ガスが漏れないようになっているのです。
その他にも、ガスボンベを設置する時に
- 安定した水平な場所に設置する
- 転倒防止のチェーンを付ける
- 雪の多い地方などでは、落雪や雪によるボンベの埋没を防ぐ措置を取る
といった安全対策が取られています。
このように、ガスボンベ自体の安全策や、設置の時の安全基準を守ることで、ガスボンベを安全に使うことができるのです。
メモ
家庭のプロパンガスボンベは、ガス会社が設置してくれます。
法律で決められた基準に基づいて設置しているので、自分の判断で動かしたり、場所を変えたりしないでください。
プロパンガスを安全に使うには
ガスボンベには安全対策がしてありますが、やはり普段使うときも、
『安全に、正しく使うこと』
を意識することが大切です。
プロパンガスを安全に使うには、
- ガス設備の点検を受ける
- ガス漏れ検知器を設置する
- ガス器具も正しく使い、時々手入れをする
- ガスボンベを個人で所有するなら、設置や使用の注意を守り、ボンベの点検をきちんと受ける
というのが基本です
ガス設備の定期保安点検
ガス設備には、定期的な保安点検があります。
これは、ガスを安全に使うために
- ガス配管
- ガス風呂釜
- 給湯器
といったガス設備を点検するものです。
この点検は、実はガス会社に対する義務付けで、消費者側に対して義務付けられたものではありません。
でも、拒否すると、ガス会社によってはガスを止められてしまう場合もあります。
それ以上に、
点検をしないと、ガス器具の不具合やガス漏れなどに気づきにくくなる
というリスクがあります。
そのリスクを回避するためにも、定期保安点検は必ず受けるようにしましょう。
ガス漏れ警報器の設置
ガス漏れを知らせてくれるのが、『ガス漏れ警報器』です。
ガス漏れで特に多いのが
- ガスを点けたと思っていた
- 元栓を閉めたつもりで、閉まっていなかった
などの、人為的なミス。
ガス漏れ警報器は、そういったときのガス漏れを知らせてくれます。
ガス漏れ警報器の設置は、一般家庭では義務ではないことが多いです。
でも、万が一に備えて、必ず設置してくださいね。
メモ
ガス漏れ警報器の設置義務があるのは、
- 三世帯以上の集合住宅
- テーブルコンロや、立ち消え安全装置がついていない昔のコンロを使っている
- ガス器具がヒューズガス栓で接続されていない
という場合です。
ガス器具も正しく使おう!
ガスボンベ本体の話ではありませんが、
ガス器具の不具合などによって、不完全燃焼やガス漏れなどが起こることもあります。
それを防ぐためには、
- ガス器具は、ガスの種類に合ったものを使う
- 取扱説明書に従って、ガス器具を正しく使う
- 時々手入れをする
ということが大切ですよ!
ガスボンベを所有するなら、設置や保管の基準を守って
プロパンガスボンベは、個人で購入し、ガスを充填してもらって使うこともできます。
もしガスボンベを所有するのであれば、
設置基準や保管の時の注意をしっかり守ってください。
設置基準というのは
ガスボンベ設置基準
- 火気から2m以上離す
- 車両などがぶつかったりする可能性のない、安全な場所に設置する
- 風通しの良い屋外に設置する
- ボンベの転落や転倒を防ぐ
- ガスボンベの腐食を防ぐ
- ガスボンベの温度は40℃以下に保つ
- バルブなどが損傷を受けない場所に設置する
というものです。
また、保管についても
ガスボンベ保管のルール
- ガスボンベ置き場には、携帯電灯以外の灯火を持って入らない
- ガスボンベの保設備には、不燃性や難燃性の素材で作った、屋根や遮蔽板などを設ける
- ガスが漏れた場合にもガスが滞留しないようにする
- 保管場所に鍵をかける
という安全策が必要です。
こうしたことをしっかり守って、管理してくださいね。
関連記事:プロパンガスボンベの設置基準や保管(置き場)のルールを解説!
カセットガスボンベが爆発する可能性は?
カセットガスボンベが爆発するのはどんな時
カセットガスボンベの爆発事故の主な原因は
『過熱』です。
たとえば
- カセットコンロを覆ってしまうくらいの、大きすぎる鍋を使っていた
- 電磁調理器の上で使っていて、間違って電磁調理器のスイッチが入ってしまった
- カセットコンロを複数台、並べて使った
- 夏場の暑い車内に放置してしまった
- カセットコンロで炭火を起こそうとした
といった使い方をすると、
カセットガスボンベが過熱し、爆発してしまいます。
カセットガスボンベが爆発した場合、半径数メートルに火が及び、周囲の人や物を巻き込んでしまいます。
片手で持てる程度のカセットガスボンベでも、爆発すると、そのくらいの威力があるのです。
カセットガスボンベは、手軽に使える反面、
『ついうっかり』や『少しくらい、という気のゆるみ』による事故が起こりやすいです。
楽しい時間でも気を抜かずに、注意深く使ってくださいね!
カセットガスボンベの安全な使い方
では、カセットガスボンベは、どう使えば安全に使うことができるのかというと、
『カセットガスボンベとガス器具の注意書きをよく読み、確実に守る』
これに尽きます。
と、これで終わっても仕方ないので、どんなことに注意するべきか、ざっとお話ししましょう。
カセットガスボンベを使う時の注意事項は、
- カセットガスボンベは、正しくセットする
- 電磁調理器の上で使ったり、電磁調理器の上にボンベを置きっぱなしにしたりしない
- カセットコンロに置く調理器具は、カセットガスボンベの入った部分を覆わないサイズのものを使う
- できるだけ、コンロに指定されているカセットガスボンベを使う
- 調理の用途にのみ使用する
- 家具やカーテン、壁などから15㎝以上離して使う
- 石綿やセラミック付き魚焼き器、陶板プレートなど、蓄熱性のある調理器具を使わない
- カセットコンロを複数並べて使用しない
- テントや車内で使わない
保管については、
- カセットガスボンベを高温になる場所に置かない
- 子どもや認知症の人の手の届かない場所、ペットがいたずらしない場所に保管する
- 捨てる時には、ガスを使い切って、自治体の決めた方法で捨てる
そして、その他の注意としては
- カセットガスボンベを火の中に投げ入れない
- ガスの再充填をしない
といった注意点があります。
こうして見ると、たくさんありますね。
でも、事故を防ぐためにはとても大切な注意事項なので、必ず守ってください。
注意ポイント
カセットガスボンベの場合、『事故』は爆発だけでなく『吸引』という事故もあり得ます。
プロパンガスは毒性のないガスですが、大量に吸引すると、
- 急激な酸素欠乏
- 脳のマヒによる酩酊状態
- 幻覚や幻聴、妄想など
- 酩酊状態や幻覚、妄想などにより、道路への飛び出しや転落などの事故を引き起こす
といった重大な危険性があり、時には命に関わる事態になりかねません。
吸引事故を防ぐためにも、必ず、子どもや認知症の人の手の届かないところに保管してください。
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まとめ
プロパンガスボンベもカセットガスボンベも、基本的な仕組みは同じです。
ボンベの中に液体のガスと期待のガスが入っていて、
- 気体のガスから使われる
- ガスが減るとボンベの圧力が下がる
- 圧力が下がった分、液体のガスが気体になる
という仕組みで、常に気体のガスが使えるようになっているのです。
ガスボンベは正しく設置や保管し、注意を守って使っていれば、めったなことで爆発することはありません。
ただし、
- ボンベが過熱する
- 押しつぶされるなどして、ボンベが破損する
といったことがあると、爆発したり、中のガスが出て引火してしまったり、ということが起こり得ます。
プロパンガスボンベの爆発事故は、めったにありませんが、カセットガスボンベの爆発事故は時々起こっています。
使い方を間違えると、大事故になることもあるので、十分注意して使ってください。
プロパンガスは、災害にも強く、安全に使いさえすれば、とても便利なガスです。
ぜひ、安全に活用してくださいね!